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商談準備AIは、商談先の企業URLを1つ入れるだけで、企業調査から課題仮説、提案資料の下書きまで一度に出すところまで、Claudeへの依頼で実際に作れました。ただし出てきたものは下書きで、プレスリリースの取り違えや箇条書きだけの提案資料など、人が直す箇所は残ります。この記事では、商談準備ツール「ドヤ商談準備」の開発動画を一次情報として、実際に頼んだ内容、出てきた要件、実在企業で試した結果と課題を記録します。
あわせて、ツールを使わずに企業URLから商談前の企業調査を進める手順、商談準備チェックリスト、公開情報型とデータベース型という商談準備AIツールの選び方、自作・契約・併用の判断基準、コピペで使える要件定義と企業調査のプロンプトをまとめました。営業担当が「あの会社、調べておいて」と言われた翌日に、そのまま使える内容を目指しています。
30秒で分かる結論
商談準備のうちAIに任せられるのは「公開情報を集めて同じ型に整理する」部分です。動画では、商談先のURLを入れると調査・課題仮説・解決策・提案資料まで出すツールが、Claudeへの依頼から形になりました
出てきた結果には修正点が残りました。プレスリリースは「関連はするが先方が出したものとは違う」ものが混ざり、提案資料は「箇条書きが並んでいるだけ」で、三森は「叩き台として使うのがよい」と評価しています
人が調べる場合の型は、事業と顧客、直近の動き、公開されている数字、マーケと問い合わせ導線、相手個人の5項目を、確認できた事実・仮説・商談で聞く質問の3つに分けて書くことです
ツール選びは、公式サイトに載っていない情報が商談に必須かどうかでほぼ決まります。必須なら企業データベースを持つサービス、公開情報で足りるなら公開情報型のツールか自作が候補です
AIに渡す情報の線引きを先に決めてください。株式会社スリスタの調査では、業務AIの事故経験者の最多事案が「機密情報・個人情報をAIに入力してしまった」37.3%でした
まずは開発動画をご覧ください。11分33秒で、Claudeへの依頼、まとめられた要件、完成した画面での操作、実在企業で試した結果、提案資料の出来栄えまでを順に見られます。
商談準備に時間がかかるのは「調べる順番」が決まっていないからです
商談前の企業調査でやることは、はっきりしています。相手が誰に何を提供している会社かを把握し、直近の動きを拾い、自社が役立てそうな領域に当たりをつけ、商談で確かめる質問を用意する。この4つです。それでも毎回ゼロからやり直しになり、担当者によって深さが違うのは、手順が人の頭の中にしかないからです。
動画の中で三森は、企業によっては商談準備に「1時間かかっている人もいると思う」と話しています(3:14から)。会社概要を開き、サービスページを読み、プレスリリースを探してメモにまとめる。この作業は、見るページと書く項目を固定すれば、誰がやっても同じ順番で同じ項目が揃う作業です。今回のツール化の狙いは、凝った分析ではなく、この「型を固定する」ことにありました。
既存の営業支援ツールもこの工程に手を伸ばしています。動画の冒頭では、営業の状況管理やナレッジ共有、企業の事前準備を調べてくる機能を持つツールが既にあることに触れたうえで、「それでもAIで自社独自の商談準備ツールが作れたら、今日入ったばかりの営業担当でも一発でできる」という問題意識から開発を始めています(1:04から)。
商談準備AIを実際に作った記録:Claudeへの依頼文から完成まで
ここからは、動画で実際に行った手順を順番に記録します。チャンネル「SaaSは死にましぇん」は、SaaSを契約せずにAIで業務ツールを作れるかを検証するシリーズで、SFAを自作した回や営業リストツールを自作した回に続く一本です。
Claudeに頼んだこと(1:57から)
開発はClaudeへの依頼文から始まります(1:57から)。動画で読み上げている依頼内容を整理すると、次の5点です。
ドヤAIシリーズに新しいサービス「ドヤ商談準備」を作りたい
商談先企業のURLを入力したら、その企業に合わせた課題の仮説、解決方法、最後に提案資料まで一度に作ってほしい
大事なのは自社の情報をもとに提案資料を作れること。自社のURLと自社の情報をあらかじめアカウントに登録しておき、それをもとに提案する
以前作ったサービス(依頼文の表記は「ドヤ商談管理」)と同様に、他のアカウントを招待できる仕様にする
情報漏洩が起きない形で作る
そのうえで「要件を作ってください」と頼み、要件を分かりやすく提示するよう追加で指示しています(3:03から)。機能を細かく指定していないのが特徴で、「誰のために、何を入れたら、何が出るか」と「守ってほしい制約」だけを伝えています。

Claudeがまとめた要件:URL1つで裏側の4ステップ(4:02から)
Claudeは、過去に作った他のツールの情報を参照しながら要件をまとめました(3:46から)。動画で読み上げられた要件の一言要約は「商談先のURLを貼るだけで、課題の仮説・解決策・提案資料まで一発で揃うAIツール。営業の事前準備を数分に短縮する」でした(4:02から)。
コア機能は「URLの入力による全自動の商談準備」で、入力は商談先企業のURL1つだけ。裏側で次の4ステップを自動で実行する設計です。
リサーチ:サイトのスクレイピングと、法人番号による企業属性の取得
課題仮説:業界と、その企業に特有の困り事を、AIが複数の仮説として立てる
解決策:登録済みの自社情報と課題を突き合わせ、自社で解決できる案を提示する
作成:提案ストーリーに沿ってスライド資料を自動作成する
アウトプットは提案資料、トークスクリプト、想定Q&Aで、すべて編集可能という内容でした。三森はこの要件を見て「だいぶ良さそう」と判断し、このまま開発を進めています(4:46から)。
要件の中で注目したいのは、1番目のリサーチに「法人番号で企業属性を取得」が入っている点です。公式サイトの文章だけでなく、法人番号をキーにした公開データを併用する発想は、人が調べる場合にも使えます。詳しくは後述の手順で触れます。

完成した画面:自社情報を登録してから、商談先URLを入れる(4:56から)
完成したツールは「/shodan」というパスで、商談先のURLを入れるだけで深掘り調査、現状分析、課題仮説、解決策、提案資料までを一括で準備する構成になりました(4:56から)。データの持ち方は組織スコープ型で、自分の会社の情報を入力し、それに応じた提案や調べ物をする前提です(5:27から)。
画面の機能は3つです(5:52から)。
商談先のURLを入れて、その企業の商談準備を新規に作る機能
自社のURLから自社情報を読み取って登録し、商談準備に使う機能
メンバーを追加する機能
使い方の順番は、先に自社情報を登録することです。自社サイトのURLを入力すると、会社のカラーやどういった会社かを読み取り、提案内容の叩き台になります(6:24から)。動画では自社サービスとして「ドヤマーケ」を登録し、ターゲットや価格帯、導入の部分を保存しています。三森が「自社のサービスを企業に提案するうえで、ここを知っていないと提案できない」と話しているとおり、商談準備ツールの精度は、相手の情報だけでなく自社側の情報をどれだけ入れたかで決まります。

実在企業で試した結果:プレスリリースにずれがあった(7:07から)
自社情報を保存したあと、商談先として「セールスフォース」を入力して試しています(7:07から)。ツールは企業情報を読み取り、会社名を取得して情報を抽出し、関連するプレスリリースの一覧も表示しました。
ここで三森が指摘した課題が、この動画で最も実務に効く一次情報です。表示されたプレスリリースについて「セールスフォースに関連しているものの、セールスフォースが出したものとは違ったりするので、ここは修正が必要」と話しています(7:27から)。つまり、企業名を含むリリースと、その企業自身が発信したリリースの区別が、初回の実装ではついていませんでした。
これは人が調べる場合にも起こる取り違えです。大手企業ほど、取引先や提携先が「〇〇社と連携」と発表するリリースが多く、検索結果には先方発のものと第三者発のものが混ざります。商談で「御社の先日の発表ですが」と切り出して、相手が出していないリリースだった、という事故を防ぐには、発信元の企業名と公開日を一緒に残す必要があります。後述のチェックリストと調査プロンプトには、この点を条件として入れています。
仕様面では、調査のメイン処理はClaudeで行い、画像やスライドの生成はChatGPT系のAPIを組み合わせる構成だと説明しています(7:55から)。提案資料の生成には時間がかかるため、動画ではしばらく待っています。

提案資料の出来栄え:箇条書きの羅列で改善の余地あり(8:34から)
生成された提案資料は、「本日のアジェンダ」「現状理解」「想定される課題の仮説」「提案の全体像」「解決策」という構成でした(8:34から)。構成自体は提案書の型に沿っていますが、三森の評価は率直で、「ただただ箇条書きで並んでいるだけなので、ここは改善の余地がある」と話しています(8:52から)。
一方で評価した点もあります。検証仮説まで出していること、ドキュメントにSNS運用などの想定される課題が出てくることから、「一旦これを叩き台として作ってもらうのは結構いい」という結論です(9:21から)。文章の細かい部分は調整が必要、という留保つきです。
提案資料をスライドに仕上げる工程は、別の記事で詳しく扱っています。構成の考え方はBtoB営業資料の7パート構成、AIで短時間に起こす手順はClaudeで提案資料を作る手順を参照してください。

三森の総括:思ったよりうまくいった、次は調査の細かさと資料の質(9:36から)
動画の締めで三森は「正直、思ったよりうまくいった」と振り返り、今後は資料の品質を上げること、調査の内容をもっと細かくすることを依頼していくと話しています(9:36から)。
もう1つ、この開発記で大事な視点があります。今回は汎用的な商談準備ツールとして作りましたが、「自社が食品系なら、食品の内容を提案するような仕様にしたい」といった自社オリジナルの業務ツールが作れるのが、ClaudeによるAI開発の魅力だという指摘です(10:14から)。既製の商談準備ツールは業種を問わない作りになるため、自社の商材と業界の文脈を深く入れたいなら、自作のほうが向く場面があります。
完成した商談準備AI「ドヤ商談準備」で何ができるか(サービスページの記載)
動画の映像で確認できるのは、要件整理、自社情報の登録、商談先URLからの調査結果とプレスリリースの確認、提案資料の生成までです。公開されているドヤ商談準備のサービスページには、2026年10月6日時点で次の記載があります。動画の映像で見せた範囲と、サービスページに記載された機能は分けて読んでください。
商談先のURLを貼ると、公開されている従業員数、マーケ施策の実施状況、オウンドメディアの有無と所在を調査し、PR TIMES等の公開情報も確認する
プロプランでは、集めた情報から現状分析と課題仮説を優先度つきで生成し、「現状分析→課題仮説→解決策」の型で提案書をMarkdown形式で出力する。自社情報を登録すると自社の商材・強みに合わせた提案になる
メンバー招待と組織スコープに対応し、データは組織ごとに分離され、ログインユーザーの権限の範囲内でのみアクセスできる
料金は、無料プランが企業調査月5件まで(提案資料の生成はプロ)、プロプランが月額9,980円(税込)で企業調査月50件、提案資料・スライド生成、チーム招待。1つの契約でドヤマーケAIの全サービスのプロプランが使える
FAQには、Webサイトが公開されていれば業種を問わず調査できるが、公開情報が少ない企業では仮説の粒度が下がること、公開情報と仮説は商談前に確認してほしいことが明記されている
サービスページに載っている「株式会社みらい製作所」の調査レポートや課題仮説は、架空企業を使った操作イメージです。実在企業の調査結果や、準備時間の削減を実測したデータではありません。
商談前の企業調査のやり方:企業URLから5項目を30分で調べる手順
ツールを使わずに人が調べる場合も、動画の要件にあった「リサーチ→課題仮説→解決策」の順番はそのまま使えます。ここでは、企業URLを起点に30分前後で準備メモを作る手順を5項目で示します。各項目は「確認できた事実」「そこから考えた仮説」「商談で聞く質問」の3つに分けて書くのが前提です。
1. 事業と対象顧客をつかむ:会社概要・サービス・導入事例
最初に見るのは、会社概要、サービス一覧、導入事例、採用情報の4ページです。「誰に、何を、どう売っている会社か」を1〜2文で書けるようになれば十分です。導入事例は相手の顧客層と単価感が分かる一次情報で、採用情報は今どの職種を増やそうとしているかが分かります。
URLを起点にしていても、同名の別法人、グループ会社、古いページとの混同は起こります。会社名と所在地、法人格を会社概要で確認し、メモの先頭に正式名称とURLを残してください。
2. 直近の動きを拾う:プレスリリースは「発信元」と「公開日」をセットで
新サービス、資金調達、組織変更、提携、イベント出展は、商談の冒頭で触れやすい話題です。動画で起きた取り違えを防ぐため、リリースは次の3点を必ず一緒に残します。
発信元の企業名:先方が出したものか、取引先・提携先が出したものか
公開日:ニュースの公開日と、出来事そのものの日付は別です。古いリリースを「最近の動き」として扱わない
URL:商談で「それはいつの話ですか」と聞かれたときに出典を示せるようにする
先方の公式サイトにニュース一覧があれば、そこを一次情報にします。プレスリリース配信サービスで企業名検索をする場合は、発信元の欄を確認してから採用してください。
3. 公開されている数字を押さえる:法人番号をキーにした公開データ
Claudeがまとめた要件に「法人番号で企業属性を取得」とあったように、公式サイトの文章以外にも、法人番号をキーに参照できる公開データがあります。国税庁の法人番号公表サイトでは商号と所在地、経済産業省のgBizINFOでは法人番号に紐づく企業の基本情報を確認できます(2026年10月6日にサイトの公開を確認)。公式サイトに従業員数や資本金が載っていないときの補助線になります。
注意点は、公開データに載っていない数字をAIや自分の推測で補わないことです。「公式サイトに記載なし」「公開データに記載なし」と書いておくほうが、商談では安全です。公開データの使い方はgBizINFOで営業リストを作る手順でも扱っています。
4. マーケティングと問い合わせ導線を観察する
自社の商材がマーケティングや営業支援に関わるなら、相手のサイトの「売り方」そのものが調査対象です。広告の出稿有無、SNSアカウントの運用状況、オウンドメディアや技術ブログの更新頻度、問い合わせや資料請求の導線、導入事例の数と新しさを見ます。これらは「確認できた事実」として書けます。
ただし、ここから導く「課題」は仮説です。「技術ブログの更新が3か月止まっている」は事実、「更新体制が属人化している」は仮説、「ブログの運用体制はどうなっていますか」が質問です。この3段を混ぜないことが、商談で決め打ちをしないための最低限のルールです。
5. 相手個人と決裁の関わりを確認する
会社の調査と、当日会う相手個人の調査は別物です。相手の役職、部門、決裁への関わり方で、商談のゴールが変わります。公開されている範囲で、登壇歴やインタビュー、発信内容から関心のある領域を1〜2点拾っておくと、冒頭の会話が相手の文脈から始められます。個人情報を深追いするのではなく、相手が公の場で話している内容に限定してください。
商談準備チェックリスト(企業調査から当日、振り返りまで)
調査だけ終わっても、商談の準備は終わりません。企業調査の項目に加え、ゴール設定、資料、当日の環境、振り返りまでを1枚にしたチェックリストです。コピーして自社の書式に合わせてください。
企業調査(商談の2〜3日前まで)
正式な会社名、所在地、URLをメモの先頭に書いたか(同名の別法人・グループ会社でないか確認済みか)
「誰に何を提供している会社か」を1〜2文で書けるか
直近の公開情報を3件以内で拾い、それぞれ発信元・公開日・URLを残したか
公式サイトと公開データで確認できる数字と、「記載なし」の項目を分けて書いたか
確認できた事実、仮説、商談で聞く質問の3つに分けて書いたか。仮説には根拠となる事実を1行添えたか
相手の役職と決裁への関わり、公の場での発信内容を確認したか
ゴールと進め方(前日まで)
この商談の「次の一歩」を1つに決めたか(受注ではなく、次回の打ち合わせ設定や担当者紹介など)
商談で確かめる質問を5つ用意し、答えやすいものから順に並べたか
仮説が外れたときに引っ込める言い回しを用意したか
相手に近い業界の事例を1〜2件選び、背景・施策・結果を説明できるか
想定される断りや懸念への返答を用意したか
提案資料は「現状分析→課題仮説→解決策」の順になっているか。現状分析に推測の数字が混ざっていないか
当日の環境(直前)
オンラインなら回線、マイク、画面共有を試したか
前日に日時と接続先を連絡し、当日の内容を一言添えたか
議事メモの書式を、聞くことリストと対応させたか
振り返り(商談後)
準備した仮説が、実際の会話でどこまで当たったかを記録したか
相手から聞けた事実を、次回の準備メモの「確認できた事実」に移したか
よく出た質問や効いた切り返しを、チームの準備テンプレートに反映したか
営業の企業調査ツールはどう選ぶ?公開情報型かデータベース型か
企業調査ツールは、公式サイトに載っていない情報が商談に必須かどうかで選びます。「商談準備 AI」で検索すると、大きく2つのタイプのサービスが見つかります。1つは、自社で保有する企業データベースをAIにつなぎ、業績や組織、採用動向まで取得して仮説を組み立てるデータベース型。もう1つは、会社名やURLを入力すると公開情報を横断して調査レポートや資料を作る公開情報型です。今回作ったドヤ商談準備は後者にあたります。
この違いは、どのツールを選ぶかだけでなく、自作が成立するかにも直結します。営業リストツールを自作した回で分かったのは、価値がデータにあるサービスは機能を真似ても届かない、ということでした。何百万社分の連絡先や属性を統合したデータベースは、個人や中小企業が再現できるものではありません。一方、商談準備の中心作業は「相手の公式サイトとプレスリリースを読んで整理する」ことです。情報源は誰でも見られる場所にあり、価値は集め方と整理の型にあります。だから今回は自作が通用しました。
選ぶときの判断軸は次の4つです。
公式サイトに載っていない情報が商談に必須か:業績推移、組織図、採用動向、部署直通の連絡先まで要るならデータベース型。公開情報で足りるなら公開情報型
出力に出典と公開日が残るか:残らないツールは、商談で根拠を聞かれたときに答えられません。動画で起きたプレスリリースの取り違えも、発信元が表示されれば人が気づけます
事実と仮説が見分けられる表示か:混ざる設計だと、営業担当が仮説を断定して話す事故が起きます
自社情報を登録して提案に反映できるか:相手の調査だけで止まるツールと、自社の商材と突き合わせて解決策まで出すツールでは、商談準備の後半の手間が変わります
商談の「準備」ではなく、商談中のリアルタイム支援や商談後の分析が目的なら、別のカテゴリのツールになります。そちらはAI商談支援ツールの比較記事で、リアルタイム型と事後分析型に分けて整理しています。
商談準備ツールは自作・契約・併用のどれにするか
月に調べる社数、チームで型を揃えたいか、保守できる人がいるかの3点でほぼ決まります。次の問いに順に答えると、どこから検討すべきかが絞れます。
月に何社を調べるか:月に数社なら、生成AIにプロンプトを直接打つだけで足ります。月数十社を複数人で回すなら、入力と出力の型を固定したツールが効いてきます
チームで準備の型を揃えたいか:担当者ごとの品質のばらつきを抑えたいならツール化の価値が出ます。1人で使うだけなら、プロンプトの保存で十分です
提案資料まで一気通貫で出したいか:調査だけで止めるのか、課題仮説と提案骨子まで作るのかで、作る画面の数が変わります。最初は調査だけで始めるのが安全です
自社の業界や商材の文脈を深く入れたいか:動画で三森が触れたとおり、「食品系なら食品の提案に寄せる」といった自社専用の仕様は、汎用の既製ツールより自作のほうが実現しやすい領域です
社内に動作確認と修正を担える人がいるか:いなければ、自作したツールの保守が止まります。AIが生成するコードであっても、動かなくなったときに見られる人は必要です
既製サービスとの併用で済まないか:企業データベースの契約は維持し、課題仮説と提案骨子の生成だけ自作する、という組み合わせも現実的です
編集部の見立てでは、中小企業の営業チームで月に10〜50社程度を調べ、相手が中小・中堅企業で公開情報が中心になるなら、公開情報型のツールで十分に回ります。相手が上場企業中心で、有価証券報告書や組織の動きまで追う必要があるなら、データベース型を検討するか、両方を使い分けるのが現実解です。
ChatGPT・Claudeで企業分析するプロンプト(編集部作成の例)
以下は、動画で紹介した開発の流れを参考に、読者が自社用に試作したり、ツールを作らずに生成AIで同じ結果を得たりするために編集部が作成したテンプレートです。ドヤ商談準備の実際の開発指示文やソースコードを公開するものではありません。角括弧の部分を自社の情報に置き換えてください。
プロンプト1:要件定義(ツールを作る場合)
動画の依頼文にあった「誰のために、何を入れたら、何が出るか」と「守ってほしい制約」に加えて、動画で課題になった「プレスリリースの発信元」と「推測で数字を埋めない」を条件として足しています。
[ツール名]という商談準備ツールを作りたいです。
営業担当が商談前に相手企業を調べる作業を、誰がやっても同じ品質になるよう仕組み化するための要件を定義してください。
# 誰のためのツールか
・利用者:[例:営業担当6名。月に合計40社ほどを調べる]
・今のやり方:[例:各自が公式サイトとプレスリリースを見てメモ。まとめ方は人によって違う]
・一番困っていること:[例:準備の深さが担当者で違い、商談の質問が浅い]
# 入力
・商談先企業の公式サイトURL
・自社情報(あらかじめ登録しておく:自社URL、提供サービス、ターゲット、価格帯、導入事例)
# 集める情報(公開情報に限定する)
・事業内容と対象顧客
・会社概要に公開されている項目(従業員数・資本金など。無いものは「記載なし」)
・直近のプレスリリース(発信元の企業名・公開日・URLを必ず残す。先方発と第三者発を区別する)
・マーケティング施策の実施状況(広告、SNS、オウンドメディアの有無と更新状況)
・問い合わせや資料請求の導線
# 出力
・確認できた事実/そこから考えた仮説/商談で聞く質問、の3つに分けて表示する
・仮説には根拠となる事実を1行添える
・出典がない情報は「未確認」と表示し、推測で数字を埋めない
・提案骨子は「現状分析→課題仮説→解決策」の順で、自社情報と突き合わせた解決策だけを書く
# 最初は作らないもの
・企業リストの作成、商談の録音・要約、受注後の管理
・外部データベースとの連携、細かい権限設計
# 制約
・複数メンバーで使う。組織ごとにデータを分離し、他組織の情報が見えないようにする
# 出力してほしいもの
1. 画面の一覧(最初に作るもの/後回しにするもの)
2. 各画面の入力項目と表示項目
3. 調査結果の保存項目と、保存しない項目
4. 公開情報が少ない企業だったときの表示方法ポイントは「集める情報を公開情報に限定する」「事実と仮説を分けて表示する」「推測で数字を埋めない」の3つを要件に書き込むことです。ここを省くと、AIは見栄えのよい調査レポートを作ろうとして、根拠のない数字を補い始めます。
プロンプト2:企業調査メモ(ChatGPTやClaudeに直接頼む場合)
あなたは営業担当を補助するリサーチアシスタントです。
以下の企業について、商談前の準備メモを作成してください。
商談先の公式URL:[記入]
商談の目的:[例:初回訪問。自社のWeb制作サービスの提案につなげたい]
自社の提供サービスと強み:[記入]
材料は、上記URLの公式サイトと、その企業自身が発信した公開プレスリリースに限定してください。
第三者が発信したニュースを使う場合は、発信元を明記して区別してください。
次の5項目を、この順番で整理してください。
1. 事業内容と主な顧客(誰に何を提供しているか)
2. 直近の公開情報(3件まで。発信元・公開日・URLをセットで。古い情報を「最近の動き」と書かない)
3. 確認できた事実(出典のあるものだけ)
4. 仮説とその根拠(3つまで。根拠になった事実を必ず添える)
5. 商談で担当者に確かめる質問(5つ。答えやすい順に並べる)
出典がない情報は「未確認」と書き、仮説を事実のように書かないでください。
売上・従業員数など、公式ページに載っていない数字を推測で補わないでください。
情報が足りない項目は、空欄のままにして「商談で確認」と書いてください。出力が返ってきたら、出典URLを実際に開き、日付と本文が一致するかを確認してから使います。事実の抽出、変化の検出、課題仮説、質問化を4つの工程に分けて精度を上げる方法は、ChatGPTで商談前リサーチを回す4工程のプロンプト全文で詳しく掲載しています。
プロンプト3:課題仮説から提案骨子を作る
プロンプト2の準備メモをもとに、初回商談用の提案骨子を作成してください。
自社の提供サービスと強み:[記入]
提案の形式:現状分析→課題仮説→解決策の3部構成、Markdown形式
条件:
・現状分析には、準備メモの「確認できた事実」だけを使う
・課題仮説は優先度(高・中)をつけ、それぞれ根拠となる事実を1行で添える
・解決策は自社サービスで対応できる範囲に限定し、できないことは書かない
・箇条書きの羅列にせず、各項目に「なぜそう言えるか」を1文添える
・仮説の確認が取れていない段階なので、断定表現を避け、商談で確認する前提の文章にする「箇条書きの羅列にしない」という条件は、動画で生成された提案資料への三森の評価から入れたものです。提案骨子は、商談で相手の見解を聞く前の下書きです。相手が優先課題を別のところに置いていれば、その場で差し替える前提で持っていきます。
取引先の情報をAIに渡す前に決めること
先に決めるのは「入力してよい情報の線引き」です。商談準備ツールの入力は公開URLなので、営業リストやSFAに比べると扱う情報は軽く済みます。ただし、自社の商材情報を登録したり、商談メモや相手から受け取った資料をAIに読ませたりし始めると、話は変わります。
株式会社スリスタの一次調査では、業務でAIを使った際の事故・ヒヤリハット経験者51名のうち、最多事案は「機密情報・個人情報をAIに入力してしまった」37.3%(19名)で、「社内情報・取引先情報を含むデータを外部AIサービスにアップロードした」も19.6%(10名)でした。また、AIガイドラインの整備率は従業員1〜10名の企業で0.0%、11〜50名でも0.0%でした。小規模な営業チームが商談準備をAI化すると、ルールが無いまま取引先の情報を外部サービスに渡す運用になりやすい、ということです。
出典:株式会社スリスタ『企業の生成AI活用実態調査2026』(n=400)。詳細は業務AI事故・ヒヤリハット実態2026と企業のAIガイドライン整備実態2026で公開しています。
入力は公開情報とURLに限る。相手から受け取った提案依頼書や見積は、先方の許可と社内ルールを確認するまでAIに渡さない
自社情報の登録は、公開しているサービス説明の範囲にとどめ、未発表の価格や顧客名は含めない
利用するAIサービスの規約で、入力データの保存期間と学習利用の有無をプランごとに確認する
チームで使うなら、組織ごとにデータが分離される設計かを確認する。動画の依頼文でも、情報漏洩が起きない形で作ることを条件の1つに入れています
AIに入力してよい情報といけない情報を1枚にまとめ、営業チームに共有する
よくある質問
Q. 商談準備はAIでどこまで自動化できますか?
公開情報を集めて同じ型に整理し、課題仮説と提案骨子の下書きを出すところまでです。動画では、商談先URLの入力から調査結果、プレスリリース、提案資料までが一度に生成されました。一方で、プレスリリースの発信元の取り違えや、箇条書きだけの提案資料など、人が確認して直す箇所は残りました。導入背景、予算、意思決定の流れ、直近の優先順位は商談相手にしか聞けません。
Q. 商談前の企業調査は、何をどの順番で調べればよいですか?
事業と対象顧客、直近の動き、公開されている数字、マーケティングと問い合わせ導線、相手個人と決裁の関わり、の5項目を順に見て、それぞれを「確認できた事実」「仮説」「商談で聞く質問」に分けて書きます。30分前後で終わる分量に抑え、足りない項目は空欄のまま「商談で確認」と書くほうが、推測で埋めるより商談では役に立ちます。
Q. ChatGPTやClaudeに直接頼むのと、ツール化するのは何が違いますか?
1人で月に数社なら、本記事のプロンプトを保存して直接頼むだけで十分です。ツール化の価値は、入力と出力の型を固定して、誰がやっても同じ項目が揃う状態にすることと、自社情報を一度登録すれば毎回の提案に反映されることにあります。チームで準備の品質を揃えたいとき、月に数十社を回すときに差が出ます。
Q. AIが出した課題仮説をそのまま提案してよいですか?
そのままは使いません。仮説には根拠となる公開情報を添え、商談で相手の見解を聞いてから提案に進みます。根拠が弱い仮説は、提案ではなく質問に変えて持っていくほうが安全です。動画でも、生成された提案資料は「叩き台として使う」という位置づけでした。
Q. 公開情報が少ない企業はどうすればよいですか?
ドヤ商談準備のサービスページのFAQにもあるとおり、公開情報が少ない企業では仮説の粒度が下がります。空欄や「未確認」が多くなった場合は、その項目こそ商談で確かめる質問の候補です。法人番号をキーにした公開データで基本情報を補い、残りは商談の冒頭で聞く構成にします。
Q. 商談先のURLをAIサービスに入力しても問題ありませんか?
公開されているURLそのものは公開情報です。注意が必要なのは、相手から受け取った資料や商談メモ、自社の未発表情報を一緒に入力し始めたときです。入力してよい情報の線引きを先に決め、利用するサービスの規約でデータの保存期間と学習利用の有無を確認してください。
Q. 商談準備ツールは本当に自作できますか?
公開情報を集めて整理し、自社情報と突き合わせて提案骨子を出す範囲なら、できます。動画では、Claudeへの依頼から要件、画面、実在企業での動作確認までを一本で見せています。一方で、業績推移や組織図といった非公開に近い情報まで必要な場合は、企業データベースを持つ既製サービスのほうが現実的です。
まとめ:商談準備は「型を固定する」業務だからAIが効く
商談準備ツールは、企業URLから公開情報を集め、課題仮説と提案資料の下書きを出すところまでAIで自作できました。成立した理由は題材の選び方にあります。営業リストのように非公開の統合データが価値の中心にある業務は、機能を真似ても届きません。商談準備は、誰でも見られる情報を同じ順番で揃え、事実と仮説を分けて商談に持ち込む「型」に価値があるので、ツール化が効きました。
同時に、動画は人が直す箇所も正直に見せています。プレスリリースは発信元を確認する、提案資料は箇条書きの羅列から説明のある文章に直す、仮説は質問に変えて商談に持ち込む。この運用までを含めて、商談準備の仕組みです。ツールを使うにしても手で調べるにしても、本記事のチェックリストとプロンプトから、自社の書式に合わせて始めてみてください。
完成したツールはドヤ商談準備から無料プランで試せます(企業調査は月5件まで、提案資料の生成はプロプラン)。商談先のURLと自社サイトのURLを用意しておくと、登録から最初の調査結果までをその場で確認できます。


