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Web制作会社の営業には、他業種の営業にない条件があります。商談前に、相手の現物を無料で診断できることです。相手のサイトはURLを開けば誰でも見られ、表示速度も検索順位も外部から測れます。この優位を活かせていない会社は、提案準備に3時間かけて中身は一般論という状態になります。本記事では提案材料を「機械が測れる層/人が読む層/聞かないと分からない層」の3層に分け、15ツールを比較します。料金は2026年8月5日時点で公式サイトに掲載されていた表記のみを載せます。
この記事で分かること
提案材料を3層に分ける方法と、Web制作会社でこの分け方が効く理由
15ツールの層別比較表(2026年8月5日時点で公式サイトに掲載されていた料金のみ)
無料ツールだけで相手サイトを診断する「30分チェックリスト」(コピペ可)
診断結果を提案骨子に変換するプロンプト全文
提案書に書いてよい指摘と、書くと失注する指摘の線引き
案件規模別の判断フローチャート
1. 結論:3層のうち、①と②を商談前に埋めきる
Web制作・受託の営業で提案材料になるものは、取得元で3層に分かれます。
層 | 中身 | 誰が取るか | 取得できるタイミング |
|---|---|---|---|
①機械が測れる層 | 表示速度、Core Web Vitals、HTML構造、リンク切れ、検索順位、被リンク、流入推計 | ツール | 商談前(相手の許可不要) |
②人が読む層 | 訴求内容、導線設計、更新頻度、掲載情報の鮮度、競合との差、採用状況から読む組織の動き | 人+AI | 商談前(相手の許可不要) |
③聞かないと分からない層 | 予算、決裁経路、社内の運用体制、過去の制作会社との経緯、CMSの管理者、目標数値 | ヒアリング | 商談中 |
多くの制作会社の営業は、①だけを機械的に出して提案書に貼ります。PageSpeedのスコアが45点、というスクリーンショットを載せます。これは材料としては正しいですが、相手にとっての損失に翻訳されていないため響きません。
逆に、②を丁寧にやりすぎて1社に3時間かける会社もあります。これは受注確率で割ると割に合いません。
①を5分で取り、②を20分で読み、③を商談で聞きます。 この配分にするのが結論です。①は完全に自動化でき、②は生成AIで大半を下書きできます。
この3層分けがWeb制作会社で特に効く理由
BtoBの営業一般では、商談前に相手について分かることは限られます。企業サイトを見ても、実際の業務の中身は外からは見えません。
しかしWeb制作の提案対象は、サイトそのものです。提案対象が公開されており、外部から測定できます。この状況は他業種にはありません。
つまり制作会社の営業は、初回商談の時点で「御社のサイトはこうなっています」という事実を持って行けます。この事実の量が、そのまま初回商談の主導権になります。
2. 比較表:Web制作会社の営業効率化ツール15選
自社サービスであるドヤ商談準備を最上段に置きます。料金は2026年8月5日時点で各公式サイトに掲載されていた表記に限り、確認できなかったものはその旨をそのまま書きました。
①機械が測れる層
ツール | 注力 | 取れる材料 | 相手の許可が要るか | 無料で使えるか | 公開料金(2026年8月5日確認) | 欠点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
PageSpeed Insights | - | 表示速度、Core Web Vitals、改善提案の一覧 | 不要(URLを入れるだけ) | 無料で利用可 | 公式ページ上に料金の記載はなく、無料で提供されています | 1URL単位の測定で、サイト全体の傾向は別途まとめる必要があります。実際のユーザーデータが少ないサイトでは実測値が表示されません |
Lighthouse | - | パフォーマンス、アクセシビリティ、SEO、ベストプラクティスの監査結果 | 不要 | 無料のオープンソース。Chrome DevTools/CLI/Node/Chrome拡張/PageSpeed Insights から実行可 | 無料(公式ドキュメントにオープンソースと明記) | 出力が技術者向けで、そのまま提案書に貼ると相手に伝わりません |
Google Search Console | - | 検索クエリ、表示回数、クリック数、インデックス状況 | 必要(サイト所有権の確認が要ります) | 無料 | 無料 | 相手の許可がないと使えません。初回提案の前段では使えず、受注後または相手が権限を渡してくれた場合に限られます |
Screaming Frog SEO Spider | - | 全ページのタイトル・見出し・リンク切れ・重複・リダイレクト | 不要(ただしクロール実施の配慮が要ります) | 無料版は500URLまでクロール可 | €245/年(1〜4ライセンス)、5〜9ライセンス €235、10〜19 €219、20以上 €209 | ユーロ建てで為替の影響を受けます。相手サーバーに負荷をかけるため、クロール速度の設定と実施タイミングの配慮が必要です |
Ahrefs | - | 自然検索キーワード、被リンク、競合との比較 | 不要 | 有料プラン終了後に機能限定の無料版へ切り替わる旨の記載あり。無料ツール群も提供 | Starter $29/Lite $129/Standard $249/Advanced $449/Enterprise $1,499(いずれも月額)/Brand Radar AI $199から | ドル建てです。中小規模サイトはデータが薄く、提案材料になりにくいです |
Similarweb | - | 流入チャネル構成、参照元、競合サイトとの流入比較(いずれも推計) | 不要 | 「Start your free trial」の記載あり | 「Web Intelligence plans from $125/mo」と記載されています。個別プラン名と各プランの金額は公式ページ上で確認できませんでした | 数値は推計です。提案書に載せる場合は推計であることの明示が要ります。小規模サイトは精度が落ちます |
②人が読む層(診断結果を提案材料に翻訳する)
ツール | 注力 | 取れる材料 | 出力が提案書にそのまま使えるか | 無料で使えるか | 公開料金(2026年8月5日確認) | 欠点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
ドヤ商談準備 | ★注力 | 相手企業の事業・公開情報の整理、課題仮説、提案骨子 | Markdownで骨子まで出ます。体裁は別途整えます | 無料版あり | 月9,980円(税込)/全14サービス使い放題の統一プランに含まれる | サイトの技術的な計測(表示速度・HTML構造)は行いません。①の数値は別ツールで取り、入力する必要があります。提供開始が新しくレビュー件数が少ないです |
ChatGPT | - | 診断結果の翻訳、課題仮説、提案骨子 | テキストまでです。毎回プロンプトが要ります | Freeプランあり | 公式料金ページでプラン名(無料版/Go/Plus/Pro)は確認できましたが、金額は公式ページ上で確認できませんでした | 制作提案の型が製品側にないため、担当者ごとに出力の粒度が変わります |
Notion(Notion AI) | - | 診断結果と提案の蓄積、テンプレート管理 | データベースとして残ります | フリープランあり | フリー $0/プラス $10/ビジネス $20(1ユーザー月額)/エンタープライズはカスタム。日本語ページで円建て金額は確認できませんでした | 提案書の体裁は作れません。AI機能の範囲がプランで変わります |
③提案の形にする層
ツール | 取れる材料 | 出力形式 | 無料で使えるか | 公開料金(2026年8月5日確認) | 欠点 |
|---|---|---|---|---|---|
Gamma | 提案スライドの体裁 | スライド/Webページ/ドキュメント | Freeプランあり | プラン名(Free/Plus/Pro/Ultra)は確認できましたが、金額とクレジット数を公式ページ上で確認できませんでした | AI利用が回数制で月内の生成量に上限があります。既存テンプレートへの厳密な合わせ込みには向きません |
| 提案スライドの体裁 | スライド | 14日間の無料トライアル(クレジットカード登録が必要と記載) | Pro:年払いで $12/月。単発プレゼン $45。Team(2〜20ユーザー):年払い $40/月/ユーザー、月払い $50/月/ユーザー | 英語圏製で、日本語フォントの体裁は実データで要確認です |
Plus AI | 提案スライドの体裁 | Googleスライド/PowerPoint | 7日間の無料トライアル(1,000 AIクレジット) | Basic $10/Pro $20/Team $30/Max $200(1ユーザー月額・年払い)。月払いは $15/$25/$40/$240 | GoogleスライドまたはPowerPointに依存します。診断機能はありません |
Microsoft 365 Copilot | 提案資料・見積の下書き | Word/PowerPoint/Excel | 公式ページ上で無料試用の記載を確認できず | Copilot Business(既存プランへの追加):¥2,698/ユーザー/月(年払い・割引価格)、通常価格 ¥3,148。Business Standard+Copilot Business:¥3,523/ユーザー/月(年払い) | Microsoft 365契約が前提です。社外サイトの診断は用途外です |
案件管理・受注後の層
制作会社の営業は、提案だけで終わりません。受注後の案件管理まで含めて初めて「営業効率化」になります。ここも同じ列で並べます。
ツール | 取れる材料 | 無料で使えるか | 公開料金(2026年8月5日確認) | 欠点 |
|---|---|---|---|---|
ドヤ営業管理 | 取引先・商談・タスクの一元管理 | 無料版あり | 月9,980円(税込)/全14サービス使い放題の統一プランに含まれる | 大企業向けの高度な予実分析やワークフロー承認機能はありません |
ドヤプロマネ | 案件の進捗・収支・人件費の管理 | 無料版あり | 同上(統一プランに含まれる) | ガントチャートの高度な依存関係設定など、大規模開発向けの機能は持ちません |
HubSpot Sales Hub | 商談パイプライン、メール履歴 | 無料プランあり(¥0/月) | Starter:公式ページに「最低利用料金 ¥840/月/シート」と「¥2,400/月/シート」の両表記あり。Professional:「¥10,800」「¥12,000」の両表記。Enterprise:「最低利用料金 ¥18,000/月/シート」 | 表記が複数あり、月次契約と年次契約で条件が変わります |
Zoho CRM | 商談管理、見積管理 | 3ユーザーまで永久無料 | スタンダード ¥1,760/プロフェッショナル ¥3,260/エンタープライズ ¥5,660/アルティメット ¥7,360(1ユーザー月額・年間契約時) | 設定の自由度が高い分、項目設計を決めきらないと使われません |
kintone | 案件・見積・進捗をアプリ化 | スタンダードコースは30日間無料 | ライト 1,000円/スタンダード 1,800円/ワイド 3,000円(1ユーザー月額・税抜)。最低契約はライト・スタンダードが10ユーザー、ワイドが1,000ユーザー | 最低10ユーザーからのため、5人以下の制作会社では実質10人分の費用がかかります |
Salesforce Sales Cloud | 商談管理、予実管理 | Free Suite(0円)の記載あり | Starter Suite 3,000円/Pro Suite 12,000円/Enterprise 21,000円/Unlimited 42,000円/Agentforce 1 Sales 66,000円(1ユーザー月額・年間契約) | 構築工数が重く、少人数の受託会社には過剰になりやすいです |
比較対象の選び方について
同一カテゴリ内で15製品を並べていません。制作会社の営業は診断・翻訳・提案・案件管理という異なる性質の作業でできており、カテゴリ内比較では実務の判断材料にならないからです。各層から実在するツールを選び、「取れる材料」「相手の許可の要否」「無料枠」「公開料金」「欠点」という同じ列で評価しています。
3. 【コピペ可】サイト診断30分チェックリスト
無料ツールだけで、初回提案に必要な材料をそろえます。費用ゼロで、ここまでは全社ができます。
3-1. 実施手順(所要30分)
■ サイト診断30分チェックリスト
対象サイト:https://________ 実施日:____ 担当:___
【0〜5分】表示速度(PageSpeed Insights)
□ トップページ モバイル:__点 PC:__点
□ 主要サービスページ モバイル:__点 PC:__点
□ 問い合わせページ モバイル:__点 PC:__点
□ LCP(最大コンテンツの表示時間):__秒
□ CLS(レイアウトのずれ):__
□ 実測フィールドデータの表示:ある/ない
(「ない」の場合、そのページの訪問者数が少ないことを示す。
これ自体が提案材料になる)
【5〜10分】スマホでの実機確認(ツール不要)
□ ファーストビューに何が表示されるか:________
□ 電話番号がタップできるか:はい/いいえ
□ 問い合わせボタンまでのスクロール回数:__回
□ フォーム項目数:__項目
□ フォーム送信までに必要な操作回数:__回
【10〜18分】構造とコンテンツ(Screaming Frog 無料版/ブラウザ)
□ 総ページ数(500URLまで):__ページ
□ titleが空・重複しているページ数:__
□ meta descriptionが空のページ数:__
□ h1がないページ数:__
□ リンク切れ(404)の件数:__
□ https化:済/未
□ 最終更新が確認できる最新の記事・お知らせの日付:____
【18〜25分】検索での見え方(Google検索/無料SEOツール)
□ 「社名」で検索したときの1位:自社サイト/他サイト(___)
□ 「地域名+業種」で検索したときの順位:__位/圏外
□ サイト内検索(site:ドメイン)でのインデックス件数:約__件
□ 競合3社のサイト(社名を記入):
1. ______ 2. ______ 3. ______
【25〜30分】事業側の動き(採用ページ・お知らせ)
□ 直近3か月のお知らせ・プレスリリース件数:__件
□ 採用募集中の職種:________
□ 募集職種から読み取れる注力領域:________
□ SNSアカウントの最終投稿日:____
3-2. 診断結果を「損失」に翻訳する対応表
数値をそのまま出しても伝わりません。相手の言葉に置き換えます。
診断結果 | 提案書に書く言い方 | 根拠にする考え方 |
|---|---|---|
LCPが4秒 | 「スマホでページが表示されるまで4秒かかっており、この間に離脱が発生している」 | 表示までの待ち時間と離脱の関係を、自社の実績データがある場合のみ数値で示します |
フォーム項目が15個 | 「問い合わせフォームの入力項目が15個あり、途中離脱が起きやすい構造になっている」 | 項目数と完了率の関係です。自社の実績がない場合は「一般に」ではなく事実の指摘に留めます |
最終更新が2年前 | 「お知らせの最終更新が2年前で、訪問者が事業の現在の状況を判断できない」 | 更新日という客観的事実のみ |
titleの重複が30件 | 「30ページで同じタイトルが使われており、検索結果でどのページが表示されるかを制御できていない」 | 事実の指摘 |
実測フィールドデータなし | 「Googleの実測データが表示されない=一定期間の訪問者数が閾値に達していない」 | Googleの仕様に基づく事実 |
「一般的にCVRが◯%改善します」と書きません。 自社の実績データがなければ根拠がなく、書いた瞬間に約束になります。事実の指摘と、自社が実際に持っている実績を分けて書きます。
4. 提案書に書いてよい指摘と、書くと失注する指摘
これはツールの話ではありませんが、診断を提案に変える工程で最も事故が起きる場所です。
指摘の種類 | 書いてよいか | 理由 |
|---|---|---|
測定できる事実(速度、リンク切れ、構造) | 書いてよいです | 検証可能で、誰が測っても同じ結果になります |
相手が改善を望んでいる領域の指摘 | 書いてよいです | 事前のやり取りで課題として挙がっています |
デザインの好き嫌い(「古い」「ダサい」) | 書きません | 主観であり、そのサイトを作った担当者が社内にいる可能性があります |
前任の制作会社への批評 | 書きません | 相手の過去の意思決定を否定することになります。関係が続いている可能性もあります |
相手が明示していない事業戦略への口出し | 慎重に | 外から見える情報だけで事業判断を否定すると信頼を失います |
最も多い失注要因は、デザインへの主観的な批評です。 サイトを作ったのが社内のデザイナーだった、社長の親族だった、というケースは珍しくありません。測定できない指摘は口頭でも書面でも出さず、事実だけを並べます。
事実だけを並べても、材料が十分なら提案は成立します。表示速度、リンク切れ、フォームの項目数、更新の停止。これらは全て測定可能で、誰も傷つけません。
5. 【プロンプト全文】診断結果を提案骨子に変換する
チェックリストで集めた材料を、提案の形にします。生成AIで動きます。【 】の中だけ差し替えます。
プロンプト1:診断結果を課題に翻訳する
あなたはWeb制作会社の営業担当です。
以下のサイト診断結果を、相手企業にとっての課題として翻訳してください。
【対象サイトURL】:https://example.co.jp/
【相手企業の事業】:(例)地域密着型の住宅リフォーム会社。施工エリアは〇〇県内)
【想定される相手のゴール】:(例)問い合わせ件数を増やしたい)
【診断結果】
- PageSpeed(モバイル):トップ _点 / サービス _点 / 問い合わせ _点
- LCP:_秒 / CLS:_
- 実測フィールドデータ:あり/なし
- フォーム項目数:_項目
- 総ページ数:_ / titleの重複:_件 / h1なし:_件 / 404:_件
- お知らせの最終更新:_年_月
- 「社名」検索の1位:___
- 競合3社:___
# 出力
## 1. 事実の要約(診断結果をそのまま5行以内で)
## 2. 課題(3つまで。優先度順)
各課題について以下を書く:
- 課題(1文、40字以内)
- なぜそれが問題か(相手の事業の言葉で。専門用語を使わない)
- 根拠にした診断結果(どの数値か明記)
- 改善した場合に何が変わるか(断定せず、変化する対象だけを書く)
## 3. 今回の提案では扱わないこと
- 診断で見つかったが、優先度が低い/相手が望んでいない可能性がある項目
# 制約
- 「一般的に〇%改善します」のような、根拠のない数値を書かない
- デザインの主観的な評価(古い、見にくい等)を書かない
- 前任の制作会社への言及をしない
- 専門用語(LCP、CLS、canonical等)は、初出で1行の説明を添える
プロンプト2:提案骨子を作る
続けて、上の課題をもとに提案の骨子を作ってください。
【自社が提供できること】:(例)サイトリニューアル、LP制作、保守運用、コンテンツ制作)
【想定予算レンジ】:(例)150万〜300万円)
【想定納期】:(例)3〜4か月)
【自社の実績で、この業種に近いもの】:(例)同県内のリフォーム会社1社。詳細は〇〇)
# 出力フォーマット
| No | スライド見出し | 言い切ること(1文・40字以内) | 載せる要素 | 根拠にした診断項目 |
# 構成の条件
- 全10枚。表紙・会社紹介・料金表は含めない
- 1〜2枚目:現状(診断結果の事実のみ。評価を混ぜない)
- 3〜4枚目:課題(優先度順に3つまで)
- 5〜7枚目:打ち手(課題と1対1で対応させる)
- 8枚目:進め方とスケジュール
- 9枚目:体制(誰が何を担当するか)
- 10枚目:初回で決めてほしいこと(1つだけ)
# 制約
- 打ち手は課題と1対1で対応させ、対応する課題がない打ち手を入れない
- 数値目標は、自社の実績がある場合のみ、実績の出典を添えて書く
- 相手に確認しないと決められない事項は「確認事項」として別に列挙する
プロンプト3:商談で聞くことを決める(③の層)
上の提案骨子について、初回商談で確認しなければ提案を確定できない項目を洗い出してください。
# 出力フォーマット
| No | 質問文(そのまま読み上げられる日本語) | この回答がないと決まらないこと | 想定回答A→次の一手 | 想定回答B→次の一手 |
# 必ず含める観点
- 現在のサイトの管理体制(CMSの種類、更新担当、サーバー・ドメインの管理者)
- 過去の制作・改修の経緯(いつ、どういう体制で作ったか。批評はしない)
- 社内で数値を見ている人がいるか(アクセス解析の権限を持つ人)
- 予算の考え方(既存費用の置き換えか、新規予算か)
- 決裁の流れと時期
# 制約
- 8問以内
- 診断で分かることは質問にしない
- 前任の制作会社を評価させるような聞き方をしない
- 各質問は40字以内
実務上の注意
プロンプト1の「今回の提案では扱わないこと」を必ず読みます。 ここに挙がる項目が、2回目の提案や追加受注の種になります。
数値目標は自社実績がある場合だけ書きます。 AIは聞かれれば数字を出しますが、その数字が提案書に載ると約束として扱われます。
専門用語の説明を省きません。 相手が情報システム部門でない場合、LCPやCLSは通じません。
6. 判断フローチャート:どこから手を付けるか
【START】Web制作の営業提案を効率化したい
Q1. 商談前にサイト診断をやっているか?
├ NO → 【まず第3章のチェックリストを回す】
│ 費用ゼロ。ここをやるだけで初回商談の内容が変わる。
│ ツールの検討はこの後でいい。
└ YES → Q2へ
Q2. 診断の実施手順は、担当者が変わっても同じ結果になるか?
├ NO → 【診断の型化が先】チェックリストを社内で共有し、
│ 記入済みの実例を2〜3件そろえる。
│ 型がない状態でAIを入れると、入力がばらついて出力もばらつく。
└ YES → Q3へ
Q3. 診断結果を提案書の文章に翻訳する工程に、1本あたり何分かかるか?
├ 60分以上 → 【②の層のAIツール】
│ 翻訳がボトルネック。プロンプト1〜3で大半が下書きできる。
├ 30〜60分 → Q4へ
└ 30分未満 → Q5へ
Q4. 月間の新規提案は何本か?
├ 11本以上 → 【②の層のAIツール】本数で回収できる
└ 10本以下 → Q5へ
Q5. 受注後の案件で、想定より工数が超過することがあるか?
├ ある → 【案件管理・工数管理から】
│ 営業の効率化より、受注済み案件の採算改善のほうが金額が大きい。
│ 提案準備を30分削るより、1案件の赤字を防ぐほうが効く。
└ ない → 【体裁の層を1つだけ】
診断も翻訳も回っているので、残る削りしろは資料の整形。
Q5が重要です。 受託会社では、営業効率化より案件の採算管理のほうが金額インパクトが大きいケースが多いです。月10本の提案準備を各30分短縮しても月5時間ですが、1案件の工数超過は数十万円になります。両方に手を出さず、金額の大きいほうから着手します。
7. 他社サイトを診断するときの配慮
診断は相手の許可なくできますが、無制限に何をしてもよいわけではありません。
7-1. クロール系ツールはサーバーに負荷をかける
Screaming Frogのようなクローラーは、短時間に大量のリクエストを送ります。相手のサーバーが小規模だと、実際に表示が遅くなることがあります。
クロール速度を落とす設定にします(同時接続数とリクエスト間隔)
相手の営業時間内・アクセスが多い時間帯を避けます
robots.txtの記述と、サイトの利用規約を確認します500ページを超える大規模サイトは、代表的な数十ページに絞ります
「速度が遅い」と提案しに行った側が、診断で負荷をかけていたという事態は避けます。
7-2. 診断結果の共有範囲
診断結果には、相手が公開しているとはいえ整理されていない情報が含まれます。提案が不成立に終わった場合、その資料を他社への提案の事例として使いません。社内の共有範囲も、案件担当者に限定します。
7-3. AIに入力する情報
サイトのURLと公開されている情報は、公開情報のため入力の判断がしやすいです。一方、相手から事前に共有された資料(現行サイトの管理情報、アクセス解析のスクリーンショット等)は扱いが変わります。秘密保持契約を結んでいる場合、第三者サービスへの入力が「開示」に該当しえます。 社内のAI利用ルールと契約条項を確認し、判断に迷う場合は資料そのものを入力せず、自分が要約した文章だけを使います。
8. ツールでは解決しない部分
正直に書きます。
8-1. 「なぜ今リニューアルするのか」は診断から出ない
サイトに問題があることと、相手が今それに予算を出すことは別です。予算が動く理由は、社内の出来事(担当役員の交代、新事業の立ち上げ、補助金の採択、競合の動き)にあることが多いです。これは外から測れず、③の層で聞くしかありません。
診断がどれだけ充実していても、タイミングが合わなければ受注しません。 診断は「今検討している相手」への提案精度を上げるものであって、検討していない相手を検討させるものではありません。
8-2. 見積の根拠
診断で課題が3つ見つかっても、それを直す工数の見積は人が出します。AIに「このサイトのリニューアル費用は」と聞いても、自社の単価と体制を知らないため意味のある数字は出ません。見積は過去案件の実績工数から出します。
8-3. 受注後の期待値のズレ
初回提案で診断結果を並べると、相手は「この会社は技術的な指摘ができる」と受け取ります。実際の制作フェーズでその期待に応えられないと、次の案件がなくなります。営業の提案精度と、制作チームの実行力を揃えておく必要があります。
8-4. 継続的な関係づくり
制作会社の売上は、新規受注より既存クライアントの追加案件で安定します。診断ツールは初回商談で効きますが、2案件目以降は診断ではなく運用中の関係で決まります。ここは仕組みではなく、担当者の対応で決まる部分が大きいです。
9. よくある質問
Q1. 無料ツールだけで提案できるか?
できます。第3章のチェックリストはPageSpeed Insights、Screaming Frog無料版(500URLまで)、ブラウザだけで完結します。初回提案に必要な材料は、費用ゼロでそろいます。 有料ツールが必要になるのは、被リンクや競合の流入構造まで踏み込む場合と、月間の提案本数が増えて手作業の時間が積み上がった場合です。
Q2. Google Search Consoleのデータは提案に使えるか?
相手のサイトのSearch Consoleは、サイト所有権の確認が必要なため、許可なく見ることはできません。 初回提案の段階では使えません。商談で「一度アクセス権をいただければ、検索での見え方をより正確に分析できます」と提案し、権限を渡してもらうのが通常の流れになります。権限をもらえること自体が、相手の本気度の判定材料にもなります。
Q3. 診断スコアが良いサイトには提案できないか?
スコアが良くても、フォームの項目数、更新の停止、検索での露出、競合との差といった材料は残ります。表示速度は診断の一部でしかありません。 チェックリストの5つのブロックのうち、速度は最初の5分だけです。残り25分で取れる材料のほうが提案としては効きやすいです。
Q4. AIが出した課題をそのまま提案書に載せてよいか?
載せる前に、根拠の数値を自分で確認します。プロンプト1で「根拠にした診断結果(どの数値か明記)」を出させているのはこのためです。数値と課題文が一致していない場合は書き直します。また、デザインへの主観的評価が混ざっていないかを必ず確認します。
Q5. 案件管理ツールと営業支援ツールは分けるべきか?
規模によります。5人以下なら分けないほうがいいです。ツールを2つに分けると、受注のタイミングでデータを転記する作業が発生し、それが漏れます。案件の進捗と収支を同じ場所で見られる状態を優先します。人数が増えて営業と制作が別チームになった段階で、分離を検討します。
Q6. 提案書の体裁にどこまで手をかけるべきか?
初回提案では、体裁より材料の量が効きます。診断結果という事実を持っている側は、体裁で勝負する必要がありません。 競合プレゼンや最終選考の段階では体裁も効いてくるため、そこで初めて資料生成ツールを検討します。順序としては、診断の型化 → 翻訳の効率化 → 体裁、になります。
10. 手順まとめ:3週間で回す
週 | やること | 費用 |
|---|---|---|
1週目 | 第3章のチェックリストを、既存クライアント1社と見込み客2社で回します。所要時間を実測します | 0円 |
2週目 | 診断結果を第4章の対応表で翻訳し、記入済みの実例を社内に共有します。診断手順を1枚にまとめます | 0円 |
3週目 | 次の提案1本で、第5章のプロンプト1〜3を回します。手作業との時間差を実測し、ツール導入の要否を判断します | 無料プランで可 |
1週目と2週目は費用ゼロで、効果が最も確実に出ます。 ここを飛ばしてAIツールから入ると、診断の型がないまま入力がばらつき、出力の質も安定しません。
3週目の工程だけをツールで飛ばしたい場合、相手企業のURLを入力すると事業の整理から課題仮説、提案骨子までを一括で生成するという条件で探しているなら、ドヤ商談準備(株式会社スリスタの自社サービス)が候補になります。月9,980円(税込)の統一プランに含まれ、無料版でも試せます。ただし前述のとおり、表示速度やHTML構造といった技術的な計測は行わないため、①の層の数値はPageSpeed InsightsやScreaming Frogで別途取得し、入力する必要があります。
受注後の工数超過のほうが金額として大きいと判断したなら、営業側の効率化より先に案件管理を整えるほうが効きます。順序を間違えないことが、この記事で一番言
いたいことです。



