AI・マーケトレンド
「最近、Googleで調べる回数が減った気がする」。心当たりがある方は多いのではないでしょうか。何かを知りたいとき、ChatGPTに聞いて終わり。比較したいときも、AIに「おすすめを3つ教えて」と頼んで終わり。この変化は、BtoBの買い手側でも確実に起きています。
この記事では、ChatGPT検索とGoogle検索がそれぞれ何が得意なのかを整理し、ビジネスの現場でどう使い分けるべきかを解説します。後半では視点を変えて、「探す側」ではなく「探される側」、つまり自社が顧客からAIで検索されるようになった今、企業が取るべき対策までまとめました。
30秒で分かる結論
ChatGPT検索は「答えを1つにまとめてほしい」とき、Google検索は「情報源を自分で確かめたい」ときに向いている
使い分けの軸は3つ。回答の速さはAI、情報の網羅性と鮮度の確認はGoogle、意思決定の根拠づくりは両方の併用
BtoBの購買では、比較検討の一部がAIとの対話の中で完結し始めており、検索結果に表示される前に候補から外れるリスクが生まれている
企業側の対策は「AI言及率の把握」「引用されるコンテンツづくり」「AI経由流入の計測」の3つ
AIの回答に自社が出てくるかは、実際に聞いてみないと分からない。まず現状把握から始める
ChatGPT検索とは?Google検索と何が違うのか
ChatGPT検索とは、ChatGPTがWeb上の最新情報を検索し、複数の情報源を統合して1つの回答にまとめてくれる機能です。2026年7月時点では無料ユーザーでも利用でき、回答には参照元のリンクが付きます。特別な設定は不要で、最新情報が必要な質問には自動でWeb検索が走ります。ブラウザのデフォルト検索をChatGPTに置き換える公式のChrome拡張機能も提供されており、「検索窓に打ち込む先」をGoogleからChatGPTに変えている人も増えています。
Google検索との本質的な違いは、「リンクの一覧を返すか、答えそのものを返すか」です。
Google検索:クエリに対して関連ページのリンクを順位付きで表示する。読む・比べる・判断するのはユーザーの仕事
ChatGPT検索:質問に対して要約済みの回答を返す。複数サイトの内容を読み、比べ、まとめる作業をAIが代行する
つまりChatGPT検索は「検索エンジン」というより「調べ物の代行者」に近い存在です。この構造の違いが、後述する企業側への影響につながります。
使い分けの基準:どちらが得意な仕事か
実務では「どちらか一方」ではなく、タスクの性質で使い分けるのが現実的です。
ChatGPT検索が向いているタスク
概念の理解:「インボイス制度を営業向けに簡単に説明して」のような、要約と噛み砕きが必要な調べ物
選択肢の洗い出し:「中小企業向けのSFAツールを5つ、特徴つきで教えて」のような比較の初期段階
条件付きの相談:「従業員30名の製造業で、まず導入すべきITツールは?」のような、自社の文脈を踏まえた相談
横断的な整理:複数の情報源に散らばった内容を1つの表にまとめる作業
Google検索が向いているタスク
一次情報の確認:公式サイト、法令、価格表、仕様書など「原文」を見る必要がある調べ物
鮮度が命の情報:障害情報、ニュース、株価など、数時間単位で変わる情報
特定ページへの到達:社名やサービス名を知っていて、そのページに行きたいだけの指名検索
網羅的な調査:AIの要約から漏れた情報を拾いたいとき
実務での併用パターン
私たちが顧客に推奨しているのは「AIで下調べ、Googleで裏取り」の順番です。まずChatGPTで全体像と候補を10分で把握し、絞り込んだ候補だけGoogle検索で公式情報を確認する。この順番にすると、調査時間はおおむね半分になり、かつ誤情報を掴むリスクも抑えられます。
三森の実務メモ:私は調べ物の「入口」をほぼAIに切り替えましたが、稟議や提案書に載せる数字だけは必ずGoogle検索で原典に当たります。理由は単純で、AIの回答は「もっともらしい要約」であって「引用の正確性」は保証されないからです。一度、AIが示した市場規模の数字が引用元レポートと微妙に違っていたことがあり、それ以来「数字は原典」をルールにしています。
BtoBの購買行動はこう変わった
ここからが本題です。買い手の検索行動が変わるということは、売り手である自社の「見つけられ方」が変わるということです。
変化1:比較検討がAIとの対話の中で完結し始めた
従来のBtoB購買は「検索→比較サイトや各社サイトを見る→候補3社に問い合わせ」という流れでした。今は最初の2ステップがChatGPTとの対話に置き換わるケースが増えています。買い手は「おすすめのツールは?」とAIに聞き、AIが挙げた3〜5社だけを見に行く。ここで名前が挙がらない企業は、検索順位が高くても土俵に上がれません。
この「AIの回答に自社が登場する割合」をAI言及率と呼びます。ChatGPTに自社が出てこない原因と対策は、ChatGPTで自社が紹介されない理由で詳しく解説しています。
変化2:クリックされない検索が増えた
AIが答えを出してしまうため、Webサイトを訪問せずに調べ物が終わる「ゼロクリック」の割合が増えています。表示回数は変わらないのにクリック率が下がっている場合、この影響を疑う価値があります。
変化3:AI経由の流入は「少ないが濃い」
一方で、AIの回答からリンクをたどって来る訪問者は、すでにAIの説明で前提知識を得た状態で来るため、商談化しやすい傾向があります。当社が運営するこのメディアでも、GA4上で「AI Assistant」チャネルからの流入が発生しており、月間セッション数は検索の1%程度と少ないものの、確実に増え続けています。
変化4:同じ業界でも「AIへの載り方」に大差がついている
見落とされがちなのが、AIの回答への登場しやすさは企業間で既に大きな格差があるという事実です。当社がAppleとXiaomiを対象に4つのAIで言及率を実測した調査では、同じスマートフォンメーカーでも言及率はAppleの49%に対しXiaomiは37.5%と、10ポイント以上の開きがありました。世界的企業ですらこの差です。中小企業の商材カテゴリーでは、「AIが必ず挙げる1〜3社」と「一度も出てこないその他」への二極化が既に始まっています。
しかもこの差は検索順位と違って目に見えません。順位なら下落に気づけますが、AIの回答から外れていても、何も起きていないように見えるだけです。だからこそ、次章の対策は「まず可視化」から始まります。
企業側が取るべき3つの対策
対策1:AI言及率を実測する
まず「ChatGPT・Gemini・Claude・Perplexityに、自社の商材カテゴリーを聞いたとき、自社と競合がどう紹介されるか」を確認します。感覚ではなく、同じ質問セットで定期的に聞き、登場回数を記録するのがポイントです。
対策2:AIに引用されるコンテンツを作る
AIは回答を作るとき、根拠となる情報源を参照します。独自の調査データ、具体的な事例、体系的にまとまった解説記事は引用されやすいコンテンツの代表です。逆に、どこにでも書いてある一般論の寄せ集めは、AIにとって引用する理由がありません。コンテンツ側の具体的な対策は、LLMO対策の基本で網羅的に解説しています。
対策3:AI経由の流入を計測できる状態にする
対策の効果を判断するには計測が必要です。GA4でChatGPTやPerplexity経由の流入を分けて見る設定は、GA4でAI経由の流入を計測する方法で手順を公開しています。
AIで現状を確認するプロンプト例
自社の「AI検索上の見え方」は、次のようなプロンプトで今日から確認できます。
あなたは中小企業の購買担当者です。
「(自社の商材カテゴリー。例:中小企業向けのSEO記事作成ツール)」を
導入したいと考えています。
・おすすめのサービスを5つ、それぞれの特徴と選ぶ理由つきで教えてください
・情報源が分かる場合は、参照元も示してください
・知らない場合は「分からない」と答えてください(推測で埋めない)これをChatGPT・Gemini・Claude・Perplexityの4つで実行し、自社名が出た回数を記録します。月1回、同じ質問で繰り返すと変化が見えます。
三森の実務メモ:この定点観測を手動でやると、4エンジン×10質問で毎月2〜3時間かかります。私は最初エクセルで記録していましたが、質問の言い回しを少し変えるだけで結果が変わるため、「同じ質問を機械的に繰り返す」ことの重要性を痛感しました。人間がやると、つい質問を改善したくなって、時系列比較が壊れるのです。
なお、この定点観測を自動化したのがドヤマーケAIのドヤAIOです。4エンジンでの自社と競合の言及率・推奨のされ方・引用元を毎月自動で記録できます。
社内の「調べ物ルール」も更新しておく
個人の使い分けが定まったら、チームのルールも一度見直すことをおすすめします。当社が支援先に提案している最小構成は次の3つです。
用語の定義:社内報告で「調べました」と言うとき、AI検索のみか、原典確認済みかを区別する。「AI調べ」「原典確認済み」の2語を使い分けるだけで、情報の信頼度の誤解が消える
提出物の基準:社外に出す資料に載せる数字・引用は、原典確認済みのみとする
禁止事項ではなく推奨手順:AI検索の禁止は現実的に守られない。「AIで下調べ→Googleで裏取り」を公式手順にするほうが、隠れ利用による事故を防げる
ルール作りに時間をかける必要はありません。この3行をチームのドキュメントに追加するだけで十分です。
動画で学ぶ
AI検索時代のマーケティングやAI活用の実務ノウハウは、YouTubeチャンネル・三森のAIマーケ研究所でも解説しています。記事と併せてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. ChatGPT検索の情報は信頼できますか?
参照元リンクが付く分、以前より検証しやすくなりましたが、要約の過程で数字やニュアンスが変わることがあります。意思決定に使う情報は、AIの回答を「地図」として使い、最終確認は参照元の原文で行うのが安全です。特に価格・法令・統計は原典確認を必須にしてください。
Q. Google検索はもう対策しなくてよいのですか?
いいえ。2026年7月時点でも、BtoBの流入の主力はGoogle検索です。当社の計測でもAI経由の流入は検索全体の数%に過ぎません。重要なのは、SEOをやめることではなく、SEOで作った資産(良質なコンテンツ)がAIにも引用される状態にしておくことです。両者の対策は7割方重なります。
Q. 自社がAIにどう紹介されているか、無料で確認できますか?
できます。本文のプロンプトを使って各AIに聞くだけなら無料です。ただし手動での定点観測は工数がかかり、質問のブレで比較が崩れやすいため、本格的に追うならツール化をおすすめします。まず1回、手動で現状を見てから判断すれば十分です。
Q. AI経由の問い合わせは本当に増えているのですか?
業界によって差がありますが、増加傾向は明確です。当社および支援先では「ChatGPTで知った」という商談が2026年に入ってから実際に発生しています。件数はまだ少ないものの、AI経由の見込み客は事前理解が深く、商談化率が高いのが特徴です。母数の小ささで軽視せず、早めに計測体制を作ることをおすすめします。
まとめ:探す側の変化は、探される側の課題
ChatGPT検索とGoogle検索の使い分けは「要約はAI、裏取りはGoogle」が基本です。調べ物の効率は確実に上がるので、まだの方は今日から併用を始めてください。
そして忘れてはいけないのが、あなたの顧客も同じように検索行動を変えているという事実です。AIの回答の中で自社がどう紹介されているか、競合とどれだけ差があるか。まだ一度も確認したことがない方は、ドヤAIOで現状を数字で把握するところから始めてみてください。編集部の補足調査データ(2026年最新・n=400)
「Googleで調べる回数が減った」変化は、データにも現れています。株式会社スリスタが全国の会社員400名に実施した『企業の生成AI活用実態調査2026』では、業務での生成AIツール利用率はChatGPT 60.8%・Google Gemini 49.7%・Microsoft Copilot 41.8%・Claude 7.8%で、ChatGPTが头一つ抜けた首位。AI利用者の49.0%が複数ツールを併用(平均1.82ツール)しており、ChatGPT検索とGoogle検索を目的に応じて使い分ける行動が定着しつつあります。
出典:株式会社スリスタ『企業の生成AI活用実態調査2026』(n=400)。全クロス集計は職場の生成AIツールシェア実態2026、プレスリリースはPR TIMESで公開中。
▶ 動画で学ぶ:ドヤマーケAIチャンネル(マーケティング×AIの実践)


