動画・音声・デザイン

テキスト読み上げ(TTS)

    テキスト読み上げ(TTS:Text-to-Speech)とは、文章を合成音声に変換して読み上げる技術です。音声を文字にする文字起こしとは逆方向の処理です。本記事では、音声合成の仕組み、日本語の読み間違いへの対処、ナレーションへの使い方、導入時の確認項目を解説します。

    読み方:テキストよみあげ/ティーティーエス。本記事のTTSは音声技術の意味で扱います。

    TTSとは:文字を声に変える音声合成技術

    例えば「次のページをご覧ください」という原稿から、その文章を読み上げる音声を作る処理がTTSです。録音を用意しなくても、入力した文章を音声で伝えられます。動画のナレーション、操作案内、教材、Webページの読み上げなどに使います。

    TTSはAI登場後に初めて生まれた技術ではありません。ニューラルネットワークを利用する音声合成もありますが、TTSという言葉自体は文字から音声への変換を指します。自然さや読みの正確さ、調整できる項目は、サービス・言語・音声モデルによって異なります。参考:AWSのテキスト読み上げ解説。

    TTS・文字起こし・音声変換の違い

    技術

    入力から出力

    使う場面

    TTS(テキスト読み上げ)

    文章→合成音声

    原稿からナレーションを作る

    STT/音声認識

    音声→文字

    会議や取材の録音を文字にする

    音声変換

    音声→声の特徴を変えた音声

    収録した発話の声質を変換する

    ボイスクローンは、特定の人の声の特徴を再現する技術を指します。上の入出力による分類とは異なり、クローンした声をTTSに使う場合もあります。文章から声を作ることと、実在する人の声を再現することを混同せず、利用する声と素材の許諾を確認してください。

    テキストが音声になる仕組み

    文章の表記を整理 → 読み方・区切り・抑揚を扱う → 音声を生成

    これは理解のために分けた説明です。実際の処理構成はモデルによって異なり、各工程が必ず独立しているわけではありません。

    1.数字・略語・記号を読める形にする

    「9,980円」は数字を一桁ずつ読むのか金額として読むのか、「9/9」は日付なのかを文脈から扱います。英字の社名や略語は、想定と違う読みになることがあります。原稿に読み方を指定する機能があるか、確認が必要です。

    2.読み方や話し方を扱う

    単語の読み、アクセント、文の区切り、話す速度や間が聞き取りやすさに関わります。声質を選ぶことと、すべての文が正しく読まれることは別です。専門用語を含む実際の原稿で試聴してください。

    3.音声データを生成する

    文字や音響的な情報から音声を作ります。ファイルとして書き出す方式も、アプリが必要に応じて音声を返す方式もあります。概要を知りたい方はAppenのTTSの仕組み解説も参照してください。

    BtoBでの活用例と向いている使い方

    用途

    使い方の例

    確認すること

    製品・サービス動画

    説明原稿をナレーションにする

    画面の切り替えと音声のタイミング

    操作マニュアル・研修

    手順ごとに案内音声を作る

    ボタン名・数字・更新時の差し替え

    記事・資料の音声版

    読む以外の利用方法を用意する

    図表の説明、リンク先の案内、文章版の併設

    電話・受付の案内

    選択肢や注意事項を読み上げる

    聞き返しやすさ、番号、有人対応への案内

    更新の多い案内文では、原稿を修正して必要な部分を生成し直す運用が考えられます。一方、演技やブランド特有の表現を重視する場合は、人による収録も比較候補です。「テレビCM以外ならAIで十分」と一律に決めず、視聴者・内容・求める表現で判断します。

    TTSでナレーションを作る6ステップ

    1. 原稿を整える:一文を短くし、括弧内の補足や箇条書きを、耳で聞いて分かる文章に直します。

    2. 声と日本語対応を確認する:見本だけでなく、社名や製品名を含む短い原稿で選びます。

    3. 読み方と区切りを調整する:辞書や読み指定に対応していれば使い、長い文章は意味の切れ目で分割します。

    4. 生成して全文を聴く:原稿と照合し、数字・単位・否定表現・読み飛ばしを確認します。

    5. 動画や資料へ配置する:編集ソフトが受け付ける音声形式で出力し、画面とタイミングを合わせます。

    6. 公開前に再確認する:音量、文の欠落、字幕との一致、利用条件を確認してから公開します。

    スライドやPDFをそのまま読ませると、「右の図」のように音声だけでは分からない説明が残ります。図表の結論を文章に補い、聞くだけでも理解できる原稿にしてください。

    日本語の読み間違いを減らす方法

    起きやすい問題

    試す修正

    再確認する点

    社名・製品名の読みが違う

    読み指定、辞書、読みやすい表記へ変更

    本文と字幕の正式表記は保てるか

    数字や単位が意図と違う

    日付・金額・数量を文章で明確にする

    桁・小数点・単位が変わっていないか

    文の区切りが不自然

    句読点や短文への分割、対応する間の指定

    不自然な無音や途中切れがないか

    英語と日本語の切り替えが不自然

    対象言語に対応した声や読み方を選ぶ

    略語と固有名詞が聞き取れるか

    長文で音量や話し方が変わる

    区間ごとに生成し設定を記録する

    結合箇所の音量・間・声の連続性

    辞書登録やSSMLを使っても、すべての文の読み間違いがなくなるわけではありません。文脈やモデルの変更後は、以前正しく読めた用語も再確認します。

    SSMLで間を入れる例

    SSMLは、読み方や間などを指定するためのマークアップ言語です。次は、間を指定するタグに対応したサービスで使う説明用の例です。通常のテキスト入力欄にそのまま貼っても、同じ動作になるとは限りません。

    <speak>料金をご案内します。<break time="500ms"/>詳しくは料金表をご確認ください。</speak>

    Amazon PollyはSSMLとbreakタグを案内しています。ただし、利用できるタグや調整項目は音声エンジンによって異なります。使用前にSSMLの入力方法と対応タグ一覧を確認してください。上の例は特定サービスで生成した音声の実測結果ではありません。

    導入前に試す日本語原稿と確認シート

    以下は編集部作成の動作確認用例文です。特定サービスの生成結果ではありません。自社の社名・製品名・よく使う数字に置き換え、候補サービスに同じ原稿を入力して比較します。

    9月9日、3社のSaaSを比較します。
    月額9,980円、税込です。
    初期費用は含まれません。
    詳しくは、画面右側の料金表をご確認ください。

    この例では「SaaS」を「サース」と読む前提にします。「9月9日」は「くがつここのか」、「9,980円」は「きゅうせんきゅうひゃくはちじゅうえん」として、意図する読みを先に記録してください。音声のみで使う場合は、最後の一文を料金表の内容を説明する文章へ直します。

    評価する項目

    確認内容

    記録欄

    意味の正確さ

    日付・金額・単位・「含まれません」が保たれている

    合格/要修正と該当箇所

    固有名詞と略語

    指定した読み方で聞き取れる

    修正した表記・辞書設定

    欠落

    文の途中や末尾が抜けずに再生される

    問題の時刻と原稿

    聞き取りやすさ

    想定する端末・音量で内容が分かる

    声・速度・間の設定

    作業負担

    生成だけでなく修正と確認にかかった時間

    再生成回数・確認時間

    自然な声に聞こえても、金額や否定表現が変わっていたら採用しません。音声の再生時間と生成にかかった時間も別の数値として記録しましょう。

    TTSツールを選ぶときの確認項目

    • 日本語と用語:必要な言語、社名や製品名の読み、辞書機能の有無。

    • 調整方法:速度・間・発音を変更できるか。選んだ音声モデルで対応するか。

    • 利用方法:画面で原稿を入力するだけか、自社アプリに組み込むAPIが必要か。

    • 料金と利用枠:文字数、音声時間、生成回数などの課金単位。再生成や上限超過の扱い。

    • 納品条件:音声ファイルの形式、長さの上限、分割出力、編集ソフトとの互換性。

    • 利用条件:商用利用、広告や再配布、声ごとの条件、必要な表示。

    • データ:入力文や録音の保存・学習利用・削除方法。未公開情報を入力してよいか。

    「無料」だけで商用利用や書き出しが可能とは判断できません。月額料金だけでなく、必要な音声量と修正回数を含めて比較します。発話の表現や監修を人に依頼する場合は、その費用と作業範囲も分けて見積もります。

    録音を原稿へ整理するなら:ドヤインタビュー

    取材や説明の録音から原稿を準備する工程には、ドヤマーケAIシリーズの「ドヤインタビュー」がおすすめです。音声・動画の文字起こし、話者の分離、Q&Aやストーリー形式の下書き作成を支援します。

    これは録音から文章を整理するための案内で、TTS音声を生成する機能の案内ではありません。生成した文章を原音と照合し、ナレーション用に編集したうえで、別途選んだTTSツールへ渡します。本メディアとドヤインタビューは株式会社スリスタが運営しています。

    ドヤインタビューの機能・料金・利用枠を確認する

    よくある質問

    TTSと音声合成は同じですか?

    TTSは文章を入力して音声を作る技術です。音声合成は人工的に音声を作る技術を指す広い言葉で、文脈によってTTSの意味でも使われます。

    TTSは必ずAIを使いますか?

    いいえ。TTSは文字から音声への変換を指し、方式をAIだけに限定する名称ではありません。ニューラル音声合成は、その実現方法の一つです。

    無料の読み上げ機能と音声制作ツールはどう違いますか?

    画面の文章を聴くための機能と、動画などに使う音声ファイルを作る機能では目的が異なります。書き出し、商用利用、調整機能、利用上限を個別に確認してください。

    TTSでプロのナレーターを置き換えられますか?

    用途によります。必要な読み方や表現を実際の原稿で比較してください。演技、演出に合わせた収録、細かい表現の相談を重視する場合は、人による収録も候補です。

    文章に読み上げ音声を付ければSEO順位は上がりますか?

    音声を付けただけで順位が上がるとは判断できません。文章でも内容が理解できる状態を保ち、読者にとって音声が役立つ場面で提供します。利用状況と検索結果は別々に確認してください。

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    Writer /

    この記事の著者

    Katuski.Mitsumori

    三森 捷暉(みつもり かつき)

    著者プロフィールはこちらから↓
     /author/mitsumori
    BtoBマーケティング × SEO × AI活用 専門家|株式会社スリスタ 代表

    BtoBマーケティング、SEO、コンテンツマーケティング、生成AI活用を専門とするマーケター/事業責任者です。
    2021年、新卒第1号として株式会社Piece to Peace(CarryMe)に入社し、広報・マーケティング・デザイン・コンテンツ制作を横断的に担当。SEO記事、比較記事、ホワイトペーパー、ウェビナー、広告施策を組み合わせた商談創出の仕組み化を推進してきました。

    その後、株式会社スリスタ(設立:2025年3月14日/代表:三森 捷暉)を設立。
    現在はスリスタにて、AIを活用したマーケティング業務の自動化・省力化に注力しています。

    スリスタでは、SEO記事制作、比較記事、一次情報設計、バナー制作、構成案作成といったマーケティング業務を、ユーザーが「選ぶだけ」「スワイプするだけ」で進められる設計思想をもとに、AIツールとして実務レベルで実装。
    マーケティングを「1人でも回せる状態」にするための仕組みづくりを行っています。
    ウェビナー・登壇実績
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