AI・マーケトレンド
「競合分析をやれと言われたが、何をどこまで調べればいいのか分からない」。BtoBマーケティングの現場でよく聞く悩みです。競合のサイトを眺めて終わり、資料にまとめたが施策に繋がらない、という経験がある方も多いのではないでしょうか。
この記事では、BtoBの中小企業でも1〜2日で回せる競合分析のやり方を5ステップで解説します。定番フレームワークの使い分け、調べる項目のチェックリスト、AIで情報収集を効率化するプロンプト例に加えて、2026年のいま押さえておきたい「AI検索上の競合分析」までまとめました。
30秒で分かる結論
競合分析の目的は「勝てる土俵を見つけること」。網羅的な調査より、意思決定に使う項目に絞るほうが成果に繋がる
手順は「競合を3社に絞る→調べる項目を決める→情報収集→比較表→打ち手に落とす」の5ステップ
フレームワークは3C(全体像)→4P(打ち手の比較)→SWOT(方向づけ)の順で使うと迷わない
情報収集はAIで大幅に時短できる。ただし出典の確認は人の仕事
2026年は検索結果だけでなく「AIが自社と競合をどう紹介しているか(AI言及率)」も比較対象になる
競合分析とは?何のためにやるのか
競合分析とは、同じ顧客を取り合う他社の戦略・商品・マーケティング活動を調べ、自社が勝てる土俵を見つけるための調査です。
重要なのは、競合分析は「競合に勝つため」というより「顧客に選ばれる理由を設計するため」に行うという点です。顧客は常に複数の選択肢を比較しています。比較の中で自社がどう見えるかを把握しない限り、価格を下げる以外の打ち手が出てきません。
競合分析から得られるものは主に3つあります。
ポジショニングの根拠:競合が手薄な訴求ポイントが分かり、自社の打ち出し方を決められる
施策の優先順位:競合が成果を出しているチャネル(SEO、広告、展示会など)から、自社が投資すべき場所を判断できる
営業トークの材料:「他社と比べてどうなの?」という商談での質問に、事実ベースで答えられるようになる
競合分析で調べる7つの項目
BtoBの場合、次の7項目を押さえれば意思決定に十分な材料が揃います。全部を均等に調べる必要はなく、目的に応じて濃淡をつけます。
商品・サービス:機能、対応範囲、導入形態、サポート体制
価格:料金体系、プラン構成、無料トライアルの有無
ターゲット:どの業種・規模・役職に売っているか(導入事例から逆算できる)
訴求メッセージ:サイトのファーストビューで何を約束しているか
集客チャネル:SEO、広告、展示会、ウェビナー、SNSのどこに力を入れているか
実績・信頼要素:導入社数、事例の質、受賞歴、認証
体制・リソース:従業員数、資金調達、採用状況(攻勢の予兆が分かる)
定番フレームワーク3つの使い分け
フレームワークは「埋めること」が目的化しやすい道具です。それぞれ何を決めるために使うのかを先に押さえてください。
3C分析:全体像の整理に使う
Customer(顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)の3つの視点で市場の全体像を整理するフレームワークです。競合分析の最初に使い、「顧客が求めているもの」「競合が提供しているもの」「自社が提供できるもの」の重なりとズレを見ます。3つの円が重なる場所ではなく、顧客と自社だけが重なり競合が空いている場所が狙い目です。
4P分析:打ち手の比較に使う
Product(製品)・Price(価格)・Place(流通/提供方法)・Promotion(販促)の4軸で、競合と自社のマーケティング施策を並べて比較します。競合を2〜3社選び、4Pの表を作って横に並べると、「どこで差がついているか」「どこなら勝てるか」が一目で分かります。前章の7項目は、この4P表を埋めるための調査項目と考えると整理しやすいです。
SWOT分析:戦略の方向づけに使う
Strength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)を整理し、調査結果を「で、どうするか」に変換するフレームワークです。3Cと4Pで集めた事実をSWOTの4象限に振り分け、「強み×機会」の掛け合わせから優先施策を決めます。SWOTは調査の最後に使うもので、最初に書き始めると根拠のない思い込みが並びます。
競合分析のやり方5ステップ
ステップ1:競合を3社に絞る
最初に「誰と比較されているか」を確定します。社内の思い込みではなく、商談で実際に名前が挙がる会社、営業が失注理由に書く会社を優先してください。直接競合(同じ商品カテゴリ)だけでなく、「エクセルでの内製」「外注」といった代替手段も1枠入れると、提案の幅が広がります。分析対象は3社まで。5社以上並べると表を作った時点で力尽きます。
ステップ2:調べる項目を決める
「何を決めるための分析か」から逆算して項目を絞ります。価格改定の判断なら価格とプラン構成を深く、コンテンツ戦略ならSEOと発信内容を深く調べます。先の7項目から、今回の目的に効く3〜4項目を選ぶイメージです。
ステップ3:情報を集める
情報源は公開情報だけでも十分に揃います。競合のWebサイト・料金ページ・導入事例、プレスリリース、採用ページ、比較サイトのレビュー、展示会の出展情報などが定番です。もう1つ確実なのは自社の商談記録です。「他社の見積もりではこうだった」という顧客の生の発言は、公開情報より正確なことが多いです。
ステップ4:比較表にまとめる
集めた情報は、縦に調査項目・横に自社+競合3社を並べた1枚の比較表に集約します。資料を何十ページも作る必要はありません。各セルは事実(数字・引用)で埋め、感想は書かないのがコツです。空欄はそのまま残してください。埋めるために推測を書くと、表全体の信頼性が落ちます。
ステップ5:自社の打ち手に落とす
比較表を見ながら「競合が手薄で、顧客が求めていて、自社ができること」を探し、打ち手を3つ以内に絞ります。打ち手が決まったら、訴求メッセージやコンテンツに反映します。誰に向けた打ち手かを明確にするため、ペルソナの作り方も併せて整理しておくと、施策のブレが減ります。
三森の実務メモ:競合分析で一番もったいないのは「差別化しなきゃ」と焦って、競合の良い点を無視することです。私はまず競合の勝ちパターンを1つ真似るところから始めます。競合が事例記事で受注しているなら、まず事例を同じ型で作る。差別化はその土台ができてから考えたほうが、結果的に早く成果が出ます。
Web・SEOでの競合分析
オンラインの集客を強化したい場合は、検索エンジン上での競合分析を追加します。見るポイントは3つです。
競合が上位表示されているキーワード:自社が取りに行くべきテーマが分かる
競合のコンテンツの型:上位記事の構成・網羅範囲・一次情報の有無
検索結果上の顔ぶれ:実業の競合とSEO上の競合は別であることが多い(メディアや比較サイトが上位を占めるキーワードもある)
キーワードの調べ方と優先順位の付け方は、SEOキーワード選定のやり方で詳しく解説しています。
AI検索時代の競合分析:「AI言及率」という新指標
2026年のいま、顧客はGoogleだけでなくChatGPTやGeminiに「おすすめの〇〇を教えて」と聞くようになりました。つまり、AIが自社と競合をどう紹介しているかが、新しい比較の土俵になっています。
ここで使う指標が「AI言及率」です。想定質問に対してAIの回答に自社(または競合)が登場する割合を測ります。検索順位と違って目に見えないため、定点観測しないと「競合ばかりがAIに推薦されている」状態に気づけません。
実際にどのくらい差が出るのかは、AppleとXiaomiのAI言及率を4つのAIで実測した調査で公開しています。同じスマートフォンメーカーでも、言及率には10ポイント以上の差がありました。
自社と競合のAI言及率を継続的に比較したい場合は、ドヤマーケAIのドヤAIOを使うと、ChatGPT・Gemini・Claude・Perplexityの4エンジンでの言及率・推薦のされ方・引用元を定点観測できます。
三森の実務メモ:AI言及率の競合比較で面白いのは、「なぜ競合が引用されるのか」の理由まで見えることです。AIの回答には引用元が付くことが多く、競合がどのメディア・どの記事経由でAIに推薦されているかが分かります。つまり「AIに選ばれるために、どこに露出すべきか」まで逆算できる。従来の被リンク分析のAI版のようなものです。
AI検索で選ばれるためのコンテンツ側の対策は、LLMO対策の基本にまとめています。
AIで競合分析を効率化するプロンプト例
情報収集と整理はAIでかなり時短できます。競合のWebサイトの情報を貼り付けて、次のようなプロンプトで比較表の下書きを作らせるのが実務的です。
あなたはBtoBマーケティングのコンサルタントです。
以下の3社の情報から、競合比較表を作成してください。
・比較項目:ターゲット顧客/主要機能/価格体系/訴求メッセージ/導入実績
・出力形式:表形式(縦=比較項目、横=会社名)
・不明な項目は「不明」と記載(推測で埋めない)
・最後に「A社(自社)が差別化できそうなポイント」を3つ提案
【A社(自社)の情報】
(自社サイトの内容を貼り付け)
【B社の情報】
(競合サイトの内容を貼り付け)
【C社の情報】
(競合サイトの内容を貼り付け)ポイントは「推測で埋めない」と明記することです。AIは空欄を嫌ってもっともらしい数字を作りがちなので、必ず元情報と突き合わせて確認してください。
また、比較の前提となる「どの顧客像にとっての比較か」を固めるには、ドヤマーケAIのドヤペルソナAIでターゲットのペルソナを作ってから分析すると、評価軸がブレません。
動画で学ぶ
AI活用やマーケティングの実務ノウハウは、YouTubeチャンネル(三森のAIマーケ研究所)でも解説しています。記事と併せてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 競合分析はどのくらいの頻度でやるべきですか?
がっつりした比較表の更新は半年に1回で十分です。ただし競合の価格改定・新機能・大型事例の3つは、月1回のチェックをおすすめします。プレスリリースの購読と競合サイトの料金ページ確認だけなら30分で終わります。AI言及率のような自動で定点観測できる指標は、ツールに任せて月次で見るのが現実的です。
Q. 競合が大手ばかりで、比較しても勝てる気がしません
大手と全項目で戦う必要はありません。むしろ大手の「手厚くできない部分」(特定業種への特化、導入スピード、サポートの近さ)こそ中小の勝ち筋です。比較表で自社が負けている項目ではなく、「顧客が重視しているのに競合の評価が低い項目」を探してください。
Q. 競合の情報はどこまで調べていいのですか?
公開情報(Webサイト、プレスリリース、登記情報、レビューサイト)の範囲なら問題ありません。一方、身分を偽って商談を申し込む、内部資料を入手するといった行為はコンプライアンス違反になり得ます。公開情報と自社の商談記録だけでも、意思決定には十分な材料が揃います。
Q. 競合分析の結果はどう社内共有すればいいですか?
1枚の比較表と「打ち手3つ」だけを共有するのがおすすめです。調査の過程を全部見せると、受け取った側は結論を探すところから始めることになります。営業には「商談で他社名が出たときの切り返し」の形に変換して渡すと、そのまま使ってもらえます。
まとめ:競合分析は「絞って、表にして、打ち手に落とす」
競合分析は、調べる範囲を広げるほど成果から遠ざかります。競合3社・目的に効く項目3〜4つ・打ち手3つ以内。この絞り込みを守るだけで1〜2日で意思決定に使える分析になります。
そして2026年は、検索結果に加えてAIの回答の中でどう紹介されるかが新しい競争の土俵です。競合とのAI言及率の差を定点観測したい方は、ドヤAIOを無料でお試しください。自社と競合が4つのAIにどう紹介されているか、数字で比較できます。編集部の補足調査データ(2026年最新・n=400)
競合分析の新しい視点として、「競合がAIにどう言及されているか」が重要になっています。株式会社スリスタが全国の会社員400名に実施した『企業の生成AI活用実態調査2026』では、業務での生成AIツール利用率はChatGPT 60.8%・Google Gemini 49.7%・Microsoft Copilot 41.8%・Claude 7.8%で、AI利用者の49.0%が複数ツールを併用(平均1.82ツール)。買い手が複数のAIで情報収集する以上、従来の3C・4Pに加えて「AI言及率」を競合比較の指標に加える価値が高まっています。
出典:株式会社スリスタ『企業の生成AI活用実態調査2026』(n=400)。全クロス集計は職場の生成AIツールシェア実態2026、プレスリリースはPR TIMESで公開中。
▶ 動画で学ぶ:ドヤマーケAIチャンネル(マーケティング×AIの実践)


