AI・マーケトレンド
競合分析は、顧客が自社と何を比較しているかを調べ、訴求・商品・営業施策の判断につなげる取り組みです。BtoBでは「対象を選ぶ→項目を決める→情報を集める→比較表にする→打ち手を決める」の5ステップで進めます。
この記事では、調査項目と比較表のテンプレート、3C・4P・SWOTの使い分け、架空のBtoB事例、AIを使うプロンプトを紹介します。Web・SEOに加え、AI検索上で自社と競合がどう言及・引用されるかを比較する方法も解説します。競合の施策が見えることと、その施策で成果が出ていることは分けて判断してください。
競合分析に使えるドヤマーケAIサービス
AI検索での言及・引用元を継続比較する:ドヤAIO
ドヤAIOでは、ChatGPT・Gemini・Claude・Perplexityを対象に、質問群を使った言及や引用元の比較を支援します。測定対象と条件をそろえ、回答の内容も確認しながら利用してください。
比較する顧客像の仮説を整理する:ドヤペルソナAI
ドヤペルソナAIは、顧客像の仮説を下書きするための選択肢です。仮説を実際の顧客の声と混同せず、商談やヒアリングと照合して比較項目を決めます。
競合分析とは?何のためにやるのか
競合分析では、同じ商品カテゴリの会社だけでなく、顧客が同じ課題を解決するために選ぶ内製・外注・現状維持も調べます。目的は、他社との違いを列挙することではなく、顧客の選定条件に対して、自社が何を提供し、何を改善するかを決めることです。
ポジショニング:どの顧客の、どの課題に応えるかを明確にする。
施策の優先順位:比較時に不足する説明・事例・機能を見つける。
営業提案:料金や対応範囲を同じ条件で説明し、顧客が選べる材料を用意する。
「競合が手薄」に見える領域でも、需要が小さい、採算が合わないなどの理由があるかもしれません。空いている領域を見つけただけで有望と判断せず、顧客の必要性と自社の提供能力を確認します。
競合分析で調べる7つの項目
次の7項目から、今回の判断に必要なものを選びます。公開情報だけで埋まらない項目は、未確認として残してください。
項目 | 調べる内容・情報源 | 比較時の注意 |
|---|---|---|
商品・サービス | 公式機能ページの対応業務、導入形態、サポート範囲 | 対象プランと追加オプションを分ける。記載なしを機能なしにしない |
価格 | 料金ページの基本料金、初期費用、従量課金、契約条件 | 税、人数、利用量、契約期間をそろえる |
ターゲット | 公式の対象顧客、導入事例の業種・規模・課題 | 掲載事例が全顧客の構成を表すとは限らない |
訴求メッセージ | サイト・広告・資料の見出しと、その根拠 | 宣伝表現と確認可能な仕様・実績を分ける |
集客チャネル | 検索結果、公開広告、イベント、ウェビナー、SNS | 実施の確認と、費用対効果の確認は別 |
実績・信頼要素 | 導入事例、認証、受賞、導入社数の公式表記 | 定義・対象時点・集計範囲を確認する |
体制・リソース | 会社情報、IR、採用情報、公式発表 | 採用や資金調達だけで戦略・業績を断定しない |
定番フレームワーク3つの使い分け
3C:顧客・競合・自社の関係を整理する
3CはCustomer(顧客・市場)、Competitor(競合)、Company(自社)の視点で事業環境を整理します。競合分析はその一部です。顧客の選定条件、競合が応えている内容、自社が提供できる内容を照合し、差別化の仮説を作ります。図の空白だけで機会を判断せず、顧客にとって違いが重要かを確かめます。
4P:商品・価格・流通・販促の組み合わせを比較する
4PはProduct(製品・サービス)、Price(価格)、Place(流通・販売経路)、Promotion(販促)を整理するマーケティングの枠組みです。BtoBなら直販・代理店などの販売経路、提案や資料請求の導線も確認できます。4つを埋めることよりも、対象顧客に対して組み合わせがどう機能するかを考えます。
SWOT:内部要因と外部要因を分けて戦略を考える
SWOTはStrengths(強み)・Weaknesses(弱み)という内部要因と、Opportunities(機会)・Threats(脅威)という外部要因を整理します。たとえば自社の導入支援体制は内部要因、顧客業界の制度変更は外部要因です。強みと機会だけでなく、弱みを補う方法や脅威への対応も検討します。
3C→4P→SWOTは進め方の一例であり、固定の順序ではありません。最初にSWOTで仮説を出して調査し直すこともできます。いずれも、根拠のある事実と担当者の解釈を区別して使います。
競合分析のやり方5ステップ
ステップ1:判断したいことを決め、競合を選ぶ
価格改定、訴求の見直し、新市場への参入など、分析後に何を決めるかを先に設定します。商談で名前が挙がる会社や失注記録を手がかりに、直接競合と代替手段を選びます。実業の競合と検索結果上の競合は分けて管理してください。
対象数に一律の正解はありません。重要な競合を詳しく調べる場合と、市場全体の候補を広く把握する場合では必要数が違います。選んだ理由と除外した範囲を記録し、分析の途中で不足が分かれば追加します。
ステップ2:顧客の選定条件に合わせて項目を決める
料金改定なら契約条件と提供範囲、コンテンツ改善なら検索意図・説明内容・事例・問い合わせ導線を深く調べます。項目に重みを付ける場合は、実際の顧客ヒアリングや商談の選定理由を根拠にします。担当者の好みを総合点に置き換えないようにしてください。
ステップ3:情報を集め、出典と条件を残す
公式サイト、料金ページ、導入事例、IR、プレスリリースなどを確認し、URL・確認日・対象時点・該当箇所を記録します。レビューは利用者の条件や投稿時期を確認し、少数の声を全利用者の評価に広げないようにします。
商談記録も手がかりになりますが、顧客が聞いた料金は個別条件や過去の情報かもしれません。「顧客からの伝聞」「見積条件未確認」として、公式情報と区別します。取り扱える範囲の資料だけを使ってください。
ステップ4:比較表を作り、未確認と条件差を見えるようにする
比較表は自社と競合に同じ項目を適用します。以下は記入用テンプレートです。セルには結論だけでなく出典IDを添え、別の出典台帳でURLや日付を確認できるようにします。
比較項目 | 自社 | 競合A | 代替手段B |
|---|---|---|---|
対象顧客・課題 | [条件・出典ID] | [条件・出典ID] | [想定条件] |
提供範囲・導入条件 | [対応内容] | [プラン・対応内容] | [必要な作業・体制] |
費用と契約条件 | [同条件の費用] | [条件差も併記] | [人件費等の算定前提] |
実績・確認できる根拠 | [事例・対象時点] | [事例・対象時点] | [実際の運用記録] |
未確認点 | [追加確認事項] | [非公開・未確認等] | [仮定している点] |
「非公開」は情報が公開されていないこと、「未確認」はまだ確かめられていないこと、「対象外」は今回の比較条件に当てはまらないことです。「条件差あり」は、そのまま優劣を決められない項目に使います。空欄や「なし」だけで済ませないようにします。
ステップ5:事実から仮説を作り、施策と検証方法を決める
比較表から「確認できた事実→顧客にとっての意味の仮説→施策→検証方法」の順にまとめます。担当者、期限、必要な工数、継続・見直しの基準まで決めると、調査で終わりにくくなります。顧客像の整理はペルソナの作り方も参考にしてください。
架空のBtoB例:比較表を提案改善につなげる
以下は説明用の架空例です。実在企業の比較結果や、施策の効果を示すものではありません。見積作成サービスを提供する自社が、競合と表計算ソフトによる内製を比較する場面を想定します。
観点 | 比較表への記入例 | 判断・次の行動 |
|---|---|---|
導入支援 | 自社は初期設定支援を提供。競合は支援の範囲が未確認 | 競合が支援しないとは断定せず、自社の支援内容と準備物を説明する |
費用 | 自社は月額制、競合は従量制。内製の作業時間は未計測 | 同じ利用量で算定する。単純な月額ランキングは作らない |
顧客課題 | 初期設定への不安が課題ではないかという仮説 | 商談で設定の担当者・必要な支援・見送り理由を確認する |
施策 | 導入までの手順と支援範囲の説明資料を作る | 説明後に残る質問、提案の進行状況、見送り理由を記録する |
この例では「自社が優れている」と結論付ける前に、比較条件の不足を埋め、顧客が判断できる情報を追加します。資料公開後の変化も、顧客層や提案条件の変化と分けて確認してください。
Web・SEOでの競合分析
狙うキーワードの検索結果を実際に開き、広告やAIによる表示と通常の検索結果を区別して記録します。検索日・地域・端末などで表示が変わるため、1回の結果を固定の順位と扱わないようにします。
検索意図:読者が知識、手順、比較、購入のどれを求めているか。
回答内容:結論、比較基準、具体例、一次情報、未解決の疑問があるか。
使いやすさ:目次、表、図、表示サイズ、次の行動への導線が適切か。
上位記事の見出しを写したり、文字数だけを増やしたりせず、読者が判断できない点を補います。優先するキーワードは、自社の検索表示やクリックと商談との関係も踏まえて選びます。詳しくはSEOキーワード選定のやり方をご覧ください。
AI検索の競合分析:言及・推薦・引用を分けて測る
AI回答を比較するときは、ブランド名が出ること、候補として勧められること、サイトが根拠として引用されることを分けます。引用があっても推薦されるとは限らず、回答が好意的でも自社サイトの引用がない場合があります。
指標と分母を先に定義する
以下は本記事で比較するための集計ルール例です。ツールによって指標名や分母は異なるため、利用するサービスの定義を確認し、異なる集計方法の数値を直接比較しないでください。
言及率:ブランド名が登場した有効回答数÷有効回答総数。1回答内の同じブランドの重複は1件とするなど、数え方を固定する。
推薦率:事前に決めた「選択候補として勧めている」条件を満たす回答数÷有効回答総数。単なる例示や否定的な言及は分ける。
引用率:指定した自社ドメインへの引用がある回答数÷有効回答総数。外部サイト上の自社紹介は別に記録する。
SoV:比較対象ブランド間の言及シェア。ブランド別言及回答数を使う場合は、その合計を分母にする。言及率とは分母が違う。
複数社が同じ回答に登場するため、各社の言及率の合計が100%を超えることがあります。たとえば架空の計算例として有効回答20件のうち自社が8件に登場した場合、言及率は40%です。この数字は計算の説明であり、ドヤマーケの実測値ではありません。
質問セット・モデル・日時・回数を記録する
顧客の実際の検討場面に沿って、課題、用途、業種、比較条件の異なる質問を作ります。自社名を含まない質問と指名質問は分け、質問文とセットの版を保存します。特定の質問だけを選んだ結果を市場全体のシェアと呼ばないでください。
モデル・製品名、分かる場合はモデルの版、検索の有無、言語、実行日時、会話履歴の扱い、質問ごとの実行回数を記録します。複数回の回答を保存し、エラーや未完了を除外する条件も先に決めます。ブランドが出なかった正常な回答は、都合よく分母から外さないようにします。
質問10件を各3回実行した場合、予定回答数は30件です。実際の有効回答数と失敗件数は別に示し、モデル別・質問別に集計します。同じ条件でも回答は変わり、モデル更新や検索結果の変化も影響するため、反復しても完全な再現性は保証できません。
競合との差分から改善仮説を作る
自社が出ない質問について、競合がどのように説明され、どのURLを引用されているかを記録します。競合に引用元がある場合はそのページを開き、料金条件、用途、事例、比較可能な仕様など、自社で説明が不足している情報を確認します。
引用された理由や内部の評価過程までは、回答から確定できません。「競合の事例が引用された→自社にも同じ記事を作れば引用される」とは断定せず、事実の誤り、重要情報の欠落、顧客にとっての必要性、修正工数から優先順位を決めます。改善前後は同じ質問セットで観測し、セットを変更した結果は分けて比較してください。
関連する調査はAppleとXiaomiのAI言及率を比較した記事、コンテンツ改善はLLMO対策の基本をご覧ください。個別の調査結果を他社や別の質問へそのまま当てはめないようにします。
AIで競合比較表の下書きを作るプロンプト
以下の資料を使い、BtoBの競合比較表を作成してください。
【判断したいこと】[訴求変更/価格改定/提案改善など]
【対象顧客・利用条件】[業種、規模、用途、利用量]
【比較対象】[自社、競合、代替手段と選定理由]
【比較項目】[今回の判断に必要な項目]
【資料】[利用可能な資料と出典URL・確認日]
行を比較項目、列を比較対象として表にしてください。
各セルに根拠の出典と対象時点を付けてください。
事実、解釈、仮説を分けてください。
記載のない項目は「なし」ではなく「未確認」としてください。
料金・機能等の条件が違う場合は「条件差あり」と説明してください。
競合の売上や施策の成果を、公開活動だけから推測して埋めないでください。
最後に、確認済みの事実から考えられる施策案と、追加検証が必要な点を出してください。調査の依頼と出典を確かめる手順は、AIリサーチのやり方とプロンプトでも解説しています。
AIの表は下書きです。出典を開いて各セルを確認し、提案された差別化が顧客にとって重要かを別途確かめます。顧客像を整理する際は、ドヤペルソナAIで作った仮説も商談やヒアリングと照合してください。
競合分析のよくある質問
何社まで調べればよいですか?
判断に影響する競合と代替手段を優先し、調査の目的に応じて増減します。全社を同じ深さで調べる必要はありません。対象を絞った場合は、分析でカバーしていない範囲を残します。
どのくらいの頻度で更新しますか?
価格改定、新機能、顧客の選定条件の変化など、判断に影響する変化があったときに見直します。定期確認の間隔は市場の変化と運用体制に合わせて決め、比較表に最終確認日を表示します。
大手との比較で強みが見つからない場合は?
全項目の総合点で勝とうとせず、顧客が重視する条件と自社の提供可能な範囲を照合します。業種への対応や支援体制も候補ですが、競合が対応できないと決めつけず、根拠を確認してください。
社内には何を共有すればよいですか?
問い、比較表、判断、未確認点、次の行動を共有します。出典台帳も残し、営業には条件をそろえた説明として渡します。事実確認のない競合批判や、根拠のない優位性を営業文言にしないようにします。
まとめ:比較条件をそろえ、施策の検証まで決める
競合分析は、対象を選び、項目を決め、情報を集め、比較表にし、打ち手に落とす5ステップで進めます。3C・4P・SWOTは目的に応じて使い、事実・仮説・未確認を分けてください。AI検索の比較でも、質問・モデル・実行条件・分母を残すことが、差分を判断する前提になります。
AI検索での言及・引用元を継続して比較する方は、ドヤAIOの機能を見るからご確認ください。マーケティングとAI活用の情報はドヤマーケAIのYouTubeチャンネルでも発信しています。




