BtoBマーケ支援

採用ピッチ資料をAIで作る|プロンプト雛形つき

採用ピッチ資料はAIで自作できます。必要なのは事例集ではなく、「何枚目に何を書くか」を固定した構成表と、そこに自社の情報を流し込むプロンプトです。この記事では14枚分のプロンプト雛形をそのまま配ります。AIツールは10種類を日本語の崩れにくさ・pptx書き出し・料金で比較しました。所要時間は初稿まで2〜3時間、公開までで1〜2週間が目安になります。

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事例を100本見ても手が動かない、本当の理由

「採用ピッチ資料」で検索すると、出てくるのは2種類だけです。事例をひたすら並べた記事(25選、100選、150選)と、制作代行会社のサービスページ。実際、この記事を書いている時点で1位の記事も25社の事例紹介が本体で、AIツールへの言及は1文字もありません。

事例集は役に立ちます。ただし、役に立つのは「作り終わったあとの答え合わせ」としてです。SmartHRの57枚の会社紹介資料(Speaker Deckで公開中)を見て「うちもこうしたい」と思っても、次に開くのは白紙のPowerPointで、そこで手が止まります。

止まる理由は3つに分解できます。

1. 情報が社内に散らばっている 売上や従業員数はコーポレートサイト、評価制度は人事の共有フォルダ、事業の強みは営業の提案書、現場の空気は社員の頭の中。1枚のスライドを作るのに4箇所を漁る必要がある状態では、着手のハードルが高すぎます。

2. 「何枚目に何を書くか」が決まっていない 事例を見ると各社バラバラの構成に見えます。実際には定番の型があるのですが、25社を並べて見せられても型は抽出できません。抽出作業そのものが仕事になってしまいます。

3. デザインで詰まる テキストが書けても、それをスライドに配置する段階で「なんかダサい」となって止まります。ここで制作代行の見積もりを取り、金額を見て、また止まります。

AIが解決できるのは2と3、そして1の「文章化」の部分です。逆に言えば、自社の素材(数字・制度・現場の言葉)を用意する工程だけはAIに任せられません。この記事はその前提で組み立てています。

前提|採用ピッチ資料は「よく見せる資料」ではない

作り始める前に、ここを外すと全部が無駄になります。

採用ピッチ資料の目的は応募数を増やすことではなく、ミスマッチを減らすことです。会社説明会のトークを資料化したもの、と説明されることが多いですが、本質的な違いは「候補者が一人で読む」点にあります。面接官のフォローが入らない状態で読まれるので、都合の良いことだけ書いてあると、入社後に必ず落差が生まれます。

この違いは書き方に直結します。

会社紹介資料(営業・IR向け)

採用ピッチ資料

強みを最大化して見せます

強みと弱みを両方出します

意思決定者向けの数字

働く人が知りたい数字(残業・給与レンジ・評価)

「すごい会社である」と伝えます

「合う人には最高、合わない人には辛い」と伝えます

読み手=取引先・投資家

読み手=候補者本人と、その家族

採用ピッチ資料で成果が出ている会社は、例外なく不都合な情報を書いています。制度が未整備であること、事業がまだ赤字であること、リモートが縮小したこと。これを書くと応募母数は減ります。減った上で、面接に来る人の質と歩留まりが上がります。母数を追う施策ではありません。

そして、この「不都合な情報を書く」部分がAIと最も相性が悪いです。何も指示せずに生成すると「風通しの良い社風で、成長意欲の高いメンバーが集まっています」というどこの会社でも通る文章が出てきます。後半でこの回避方法に1章割きます。

採用ピッチ資料の全体構成|14枚の型

事例から抽出した定番構成がこれです。順番にも意味があります。候補者は最初の3枚で「読み続けるか」を決めるので、会社の歴史や沿革を冒頭に置くと離脱します。

枚

スライド

ここで答える問い

P1

表紙

何の資料か

P2

この資料の目的と読み方

なぜ読む価値があるか

P3

事業を一言で

何をやっている会社か

P4

ミッション・存在意義

なぜやっているか

P5

事業内容と市場

儲かる仕組みはあるか

P6

数字で見る会社

会社は健全か

P7

組織図と人員構成

誰と働くか

P8

カルチャー・行動指針

どう振る舞うことが期待されるか

P9

働き方

生活はどう変わるか

P10

給与・評価・福利厚生

いくらもらえて、どう上がるか

P11

キャリアパスとオンボーディング

3年後どうなっているか

P12

正直に伝える弱みと課題

何が辛いか

P13

募集ポジションと求める人物像

自分は対象か

P14

選考フローと応募方法

次に何をすればいいか

枚数を増やしたい場合は、P5(事業)とP8(カルチャー)を分割します。社員インタビューを入れるならP11の後ろが定位置です。ただし初版は14枚で作り切ることを勧めます。30枚の企画倒れより14枚の完成版のほうが採用には効きます。

採用ピッチ資料に使えるAIツール10種を比較

比較の軸は4つに絞りました。日本語の崩れにくさ(英語圏のツールは日本語フォントの行間・禁則処理が崩れます)、pptx書き出しの可否(人事が後から数字を差し替えるため、社内にPowerPointで渡せるかは実務上ほぼ必須)、画像生成の質、そして料金です。

料金は各社の公式ページで確認しました。公式ページが動的生成で数値を取得できなかったものは、推測せず「公式サイトで要確認」と記載しています。

ツール

日本語の崩れにくさ

pptx書き出し

画像生成の質

無料枠

料金(公式確認)

★ドヤスライド(注力)

画像生成なのでフォント崩れは起きません。ただし文字の微修正は不可

画像として出力。編集可能なpptxは公式に明記なし

全スライドを画像で生成。表紙・カルチャーページの見栄えは最も強いです

あり(FREEプラン ¥0)

プロプラン月9,980円(税込)/ドヤマーケAI統一プランで14サービス使い放題

Gamma

日本語入力は可。行間・改行位置は手直し前提

対応(無料プランからPPTX/PDF/PNG/Googleスライド書き出し可と公式明記)

AI画像モデル搭載。上位プランで高品質モデル

あり(1プロンプトあたり10枚まで、クレカ不要)

Free/Plus/Pro/Ultraの4段階。公式料金ページが動的表示のため金額を確認できず、公式サイトで要確認

イルシル

日本語テンプレート前提の国産ツールです。崩れにくいです

パーソナルプラン以上で対応(フリープランはPDF/PPTX出力不可)

テンプレート型です。画像生成の派手さは弱いです

あり(3ドキュメントまで、PDF/PPTX出力不可)

パーソナル月1,680円(税別)/法人プランは要問い合わせ

Canva

日本語フォント資産は豊富です。AI生成文の改行は手直し必要です

対応(ダウンロード形式にPowerPointを含む)

画像生成機能あり。素材ライブラリが強いです

あり(無料プラン)

公式料金ページから金額を取得できず、公式サイトで要確認

Microsoft 365 Copilot

PowerPointネイティブなので崩れは原理的に起きません

ネイティブ(そもそもpptx)

画像生成は補助的

なし(既存M365契約が前提)

Copilot Business:¥2,698/ユーザー/月(年間契約、税別)。Business Standard+Copilot:¥3,523/ユーザー/月

Google Workspace(Gemini in スライド)

Googleスライドの日本語表示は安定

Googleスライドからpptx書き出し可

Gemini画像生成を利用可

なし(Workspace契約が前提)

Starter/Standard/Plus/Enterprise。Standard以上でスライドのGemini機能が拡張。公式ページから金額を取得できず要確認

Beautiful.ai

英語圏設計です。日本語の行送りは崩れやすいです

対応(Proプラン以上で編集可能なPowerPoint書き出し)

テンプレート駆動。写真素材中心

なし(14日間無料トライアル、クレカ必要)

Pro $12/月(年払い)/単発$45/Team $40/ユーザー/月(年払い)・$50(月払い、2〜20席)/Enterprise要問い合わせ

SlidesAI

公式に日本語対応の明記なし。要検証

Googleスライド/PowerPoint/ChatGPT/Webアプリで利用可

画像生成は限定的

あり(Basic:年12本、1本あたり2,500文字、年120クレジット)

Pro $10/月(年払い$120)/Premium $20.83/月(年払い$250)

Plus AI

PowerPoint/Googleスライド内で動くため崩れにくいです

ネイティブ(既存のpptx・Googleスライドを直接編集)

補助的

なし(7日間無料トライアル、1,000クレジット付き)

Basic $10/月(年払い)・$15(月払い)/Pro $20・$25/Team $30・$40/Max $200・$240/Enterprise要問い合わせ

Tome

―

PDF書き出しは対応

―

あり(Basic $0)

Professional $16/月/Enterprise要問い合わせ。ただし現在はセールス向けAIプラットフォームに転換済み(公式サイトに「Tome is now more than slides」と明記)。採用ピッチ資料用途では選外

この表の読み方

社内でpptxを回して数字を毎期差し替えるなら、Microsoft 365 Copilot、Plus AI、イルシルの3択になります。人事担当が変わっても運用が続く形が最優先だからです。

まず1本作って社内の温度を上げたいなら、ドヤスライドかGamma。特に表紙・ミッション・カルチャーの3枚は、画像として派手に生成したほうが決裁が通りやすいです。「採用ピッチ資料を作りたい」と口頭で説明しても伝わりませんが、それっぽい14枚を見せると話が進みます。

ドヤスライドの欠点を先に書いておきます。 全スライドを画像で生成する仕様のため、後から「この数字だけ直したい」ができません。修正は再生成になります。したがって、給与テーブルや評価制度など文字量が多く更新頻度の高いページには向きません。逆に表紙・ミッション・カルチャー・募集ポジションのように、印象で勝負するページとは相性が良いです。画像で作るページとpptxで作るページを分けるのが現実的な運用になります。

【コピペ可】採用ピッチ資料14枚分のプロンプト雛形

ここがこの記事の本体です。上から順にAIに投げれば14枚分の原稿が揃います。〔 〕の中だけ自社の情報に差し替えます。

使う前の準備:共通の前提プロンプト

最初にこれを1回投げます。以降のプロンプトはこの前提を引き継ぎます。

あなたは日本のBtoB企業の採用広報担当です。これから採用ピッチ資料を14枚作ります。

【前提】
・会社名:〔 〕
・事業:〔 〕
・従業員数:〔 〕名(うち正社員〔 〕名)
・設立:〔 〕年
・募集ポジション:〔 〕
・読み手:〔中途/新卒〕、〔想定年齢層〕、〔現職の業種〕

【この資料の目的】
応募数を増やすことではなく、入社後のミスマッチを減らすこと。
良いことだけを書かない。合わない人には「合わない」と伝わる資料にする。

【文章ルール】
・1スライドあたり日本語150〜250字
・「風通しが良い」「成長できる環境」「アットホーム」など、
 どの会社でも書ける言葉は使用禁止
・形容詞ではなく事実と数字で書く
・語尾を「〜だと思います」「〜かもしれません」にしない
・私が「不明」と書いた項目は勝手に埋めず、
 「【要確認】〇〇の情報が必要」と返す

理解したら「OK」とだけ返してください。

最後の1行が効きます。「不明な項目を勝手に埋めない」と明示しないと、AIは平気で架空の数字を書きます。採用資料で虚偽の数字を出すと、内定辞退どころではない事故になります。

P1|表紙

表紙スライドを作ります。
会社名〔 〕、資料名「〔 〕で働くということ」の代替案を5つ出してください。
条件:「採用ピッチ資料」という言葉を使わない/
候補者が「自分に向けられた資料だ」と感じるトーン/
15字以内。

P2|この資料の目的と読み方

2枚目「この資料の目的」を書いてください。
含める要素:
(1) この資料を作った理由(面接の時間内では伝えきれないため)
(2) この資料に書いていること・書いていないこと
(3) 読んでほしい人/読まなくていい人
(3)は特に重要です。「〔 〕を求める人には向きません」と
はっきり書いてください。

P3|事業を一言で

3枚目「事業を一言で」を書いてください。
〔事業内容の説明を200字程度で貼り付け〕
これを、業界知識ゼロの人が5秒で理解できる1文に圧縮してください。
候補を5案。専門用語・カタカナ語を使った案と、
使わない案を混ぜてください。
比喩を使う場合は「〇〇業界の△△」の形にしてください。

P4|ミッション・存在意義

4枚目「ミッション」を書いてください。
当社のミッション:〔 〕
このミッションについて、以下の3点を書いてください。
(1) 言葉そのもの
(2) なぜこの言葉になったのか(〔創業の経緯を貼り付け〕)
(3) 日々の業務でこのミッションがどう現れるか(具体的な場面を1つ)
(3)は抽象論を禁止します。実際の会議や意思決定の場面で書いてください。

P5|事業内容と市場

5枚目「事業内容と市場」を書いてください。
・提供しているもの:〔 〕
・顧客:〔 〕
・収益モデル:〔 〕
・市場規模:〔不明なら「不明」と書く〕
・競合:〔 〕
候補者が知りたいのは「この会社は儲かる仕組みを持っているか」です。
その問いに答える構成にしてください。
市場規模の数字が不明な場合は捏造せず【要確認】と返してください。

P6|数字で見る会社

6枚目「数字で見る会社」のスライド設計をしてください。
候補者が判断材料にする数字を10個提案し、
そのうち採用ピッチ資料に載せるべき6個を選んでください。
売上・従業員数以外の、候補者目線の数字(平均年齢、
男女比、中途入社比率、平均勤続年数、離職率、有給取得率など)を
必ず含めてください。
数字は私が後で入れるので、項目名と「なぜこの数字を出すのか」の
一言解説だけ書いてください。

P7|組織図と人員構成

7枚目「組織と人員構成」の説明文を書いてください。
組織構成:〔 〕
募集ポジションが所属するチーム:〔 〕名、平均年齢〔 〕歳、
バックグラウンド〔 〕
「入社したら誰と働くのか」が具体的に想像できる文章にしてください。
役職名の羅列ではなく、チームの意思決定の仕方を書いてください。

P8|カルチャー・行動指針

8枚目「カルチャー」を書いてください。
当社の行動指針:〔 〕
各指針について「これができている状態/できていない状態」を
1行ずつ具体例で書いてください。
抽象的な標語の解説にしないこと。
社内で実際に起きた出来事として書けるレベルまで具体化してください。
出来事の材料が足りない場合は【要確認:〇〇の具体例が必要】と返してください。

P9|働き方

9枚目「働き方」を書いてください。
・勤務時間:〔 〕
・リモート可否:〔 〕
・平均残業時間:〔 〕時間/月(実績値)
・繁忙期:〔 〕
・出張頻度:〔 〕
繁忙期の実態を隠さず書いてください。
「〇月は残業が増える」と明記し、その理由も書いてください。
残業時間は実績値のみ使用し、目標値と混同しないでください。

P10|給与・評価・福利厚生

10枚目「給与と評価」を書いてください。
・募集ポジションの給与レンジ:〔 〕万円〜〔 〕万円
・評価のタイミング:〔 〕
・評価軸:〔 〕
・昇給の実績:〔 〕
候補者の最大の関心事です。曖昧にせず、
「何ができると、いつ、いくら上がるのか」を書いてください。
評価制度が未整備の場合はその事実を書き、
いつまでに整備予定かを添えてください。

P11|キャリアパスとオンボーディング

11枚目「入社後の3ヶ月と3年」を書いてください。
・入社1ヶ月でやること:〔 〕
・3ヶ月時点で期待される状態:〔 〕
・実際にあったキャリアの例:〔 〕
架空のモデルケースではなく、実在の社員の異動・昇進の
パターンをベースに書いてください。
実例がない場合は【要確認:実在のキャリア事例が必要】と返してください。

P12|正直に伝える弱みと課題(最重要)

12枚目「正直にお伝えする、当社の課題」を書いてください。
以下は社内で実際に出ている不満・課題です。
〔箇条書きで貼り付け。退職者の退職理由、
社内サーベイの低スコア項目、直近半年の social な揉め事など〕

書き方のルール:
(1) 課題を書いたあとに「でも成長できます」等のフォローを入れない
(2) 課題ごとに「現在の対応状況」を事実だけ書く
   (対応していないなら「未着手」と書く)
(3) この課題を許容できない人には向かない、と明記する
(4) 一般論(「ベンチャーなので制度が未整備」等)に丸めない。
   固有名詞と具体的な場面で書く

P13|募集ポジションと求める人物像

13枚目「募集ポジション」を書いてください。
・職種:〔 〕/業務内容:〔 〕/必須要件:〔 〕/歓迎要件:〔 〕
「求める人物像」は、以下2つの列で書いてください。
左列:活躍している人の共通点(実在の社員の行動特性)
右列:合わなかった人の共通点(退職・ミスマッチ事例の特徴)
右列を書くことが目的です。省略しないでください。

P14|選考フローと応募方法

14枚目「選考フロー」を書いてください。
・選考ステップ:〔 〕
・各ステップで見ていること:〔 〕
・所要期間:〔 〕
・カジュアル面談の有無:〔 〕
候補者が「次に何をすればいいか」で迷わない導線にしてください。
問い合わせ先と、応募前に相談だけしたい人の窓口を明記してください。

生成後:デザイン化するときのプロンプト

原稿が揃ったら、画像生成型ツール(ドヤスライドなど)に渡します。ここでも指示が要ります。

以下の14枚分の原稿をスライドにしてください。
・比率:16:9
・トーン:〔業界〕の候補者に違和感のない〔落ち着いた/エネルギッシュな〕トーン
・1枚あたりの文字量:見出し20字以内+本文150字以内
・P12(課題のページ)だけ、他のページより色を落ち着かせる
 (明るい配色で課題を書くと軽く見える)
・ロゴ:〔アップロード〕
・テーマカラー:〔 〕

弱み・課題を正直に書くパートの作り方

P12は他社の記事がほぼ触れないパートで、かつ最も難易度が高いです。ここだけ独立して手順を書きます。

なぜAIに任せると当たり障りのない文章になるのか

AIは学習データの中で「無難な採用広報文」を大量に見ています。指示がなければその平均値を返します。結果、こういう文章が出ます。

ベンチャー企業のため制度がまだ整っていない部分もありますが、その分、自分たちで仕組みを作っていく面白さがあります。

これは課題を書いているようで、何も書いていません。「制度が整っていない」は情報量ゼロで、後半のフォローで打ち消されています。候補者はこの手の文章を読み慣れているので、むしろ不信感が増します。

回避方法1:AIに考えさせず、素材を人間が用意する

課題の抽出はAIの仕事ではありません。以下の4つを人間が集めます。

  1. 直近1年の退職者の退職理由(面談記録の原文。人事の要約ではなく本人の言葉)

  2. 社内サーベイの低スコア項目(下位3項目とスコア)

  3. 中途入社者が入社3ヶ月で感じたギャップ(オンボーディング面談で聞く)

  4. 経営会議で繰り返し議題に上がっている未解決課題

この4つが揃えば、P12は事実の書き起こしになります。AIの役割は「集めた素材を候補者が読める日本語に整える」ことだけです。

回避方法2:フォローの禁止をプロンプトに書く

前掲のP12プロンプトで「課題を書いたあとにフォローを入れない」と明示しています。これを書かないと100%フォローが付きます。生成結果に「しかし」「とはいえ」「その分」が入っていたら、その文を削って再生成します。

回避方法3:3段階の粒度で書く

課題は粒度を揃えると嘘っぽくなります。以下の3層を混ぜます。

層

例(架空)

書く効果

制度の課題

評価制度の改定が2期連続で延期されています

会社の実行力の実態が伝わります

業務の課題

顧客からの問い合わせ対応が特定の2名に集中しています

入社後の日常が想像できます

数字の課題

直近1年の離職率は〇%で、業界平均を上回っています

隠していないという信頼になります

書いてはいけないこと

正直に書くことと、無防備に書くことは違います。以下は法務・労務の確認が必要になります。

  • 個人が特定できる退職理由(「元マネージャーのパワハラで3名が退職」など)

  • 未確定の事業計画(資金調達の進行状況、未発表の事業撤退)

  • 訴訟・労基署対応など係争中の事案

  • 特定の顧客名を出した依存度の記載(取引先との守秘義務に抵触します)

離職率や残業時間など、公表すると採用広告の記載内容との整合が問われる数字は、必ず一次データと突き合わせます。

AIが出した原稿を人が直すべき箇所チェックリスト

生成された14枚を、この順で点検します。上から3つは省略不可です。

A. 数字の裏取り(全項目、一次データと照合)

  • [ ] 売上・従業員数は最新の確定値か(決算期をまたいでいないか)

  • [ ] 平均残業時間は実績値か。目標値・所定外労働の定義を確認したか

  • [ ] 離職率の計算方法を定義したか(分母は期首人数か平均在籍人数か)

  • [ ] 有給取得率は取得日数÷付与日数で計算したか

  • [ ] 給与レンジは実在の等級テーブルと一致するか

  • [ ] 市場規模の出典(調査会社名・調査年)を明記したか

  • [ ] AIが勝手に補完した数字が1つも残っていないか(最頻出の事故)

B. 法務・労務の確認が要る記述

  • [ ] 給与レンジの記載が求人票・求人広告と矛盾しないか(労働条件明示義務との整合)

  • [ ] 「みなし残業」「固定残業代」の時間数と金額を正確に書いたか

  • [ ] 退職理由の記載から個人が特定されないか

  • [ ] 未発表の事業計画・資金調達に触れていないか

  • [ ] 顧客名・取引先名の掲載許可を取ったか

  • [ ] 社員の顔写真・実名の掲載同意を書面で取ったか

  • [ ] 「業界No.1」「日本初」等の優良誤認になりうる表現を使っていないか

C. 現場社員の言葉に置き換える箇所

AIが書いた文章のまま出すと、全体が均質で体温がない資料になります。以下は現場の言葉を貼り直します。

  • [ ] P8(カルチャー)の具体例 → 実際に社内で起きた出来事に差し替え

  • [ ] P11(キャリアパス)→ 実在社員の異動歴に差し替え

  • [ ] P12(課題)→ 退職者・サーベイの原文表現を1つ以上そのまま引用

  • [ ] P13(合わなかった人の共通点)→ 現場マネージャーにヒアリングした表現に

  • [ ] 全体を通して、社内でしか使わない言い回しを1つ以上残します(読み手は「作り込まれていない箇所」で本物だと判断します)

D. 最終レビューの体制

  • [ ] 経営陣レビュー(P4ミッション、P5事業、P12課題)

  • [ ] 現場マネージャーレビュー(P7組織、P9働き方、P13人物像)

  • [ ] 直近の中途入社者レビュー(最重要。入社前の期待と実態の差を知っている唯一の人)

  • [ ] 人事・労務レビュー(P9、P10、P14)

作成から公開までの5ステップ

STEP1:素材集め(2〜5日) 数字、制度、そしてP12の素材4種。この工程が全体の6割を占めます。ここを飛ばすと、以降どれだけAIを使っても当たり障りのない資料になります。

STEP2:プロンプト投入と初稿生成(2〜3時間) 前掲の雛形を上から順に投げます。1枚ずつ確認しながら進めます。14枚まとめて生成させると精度が落ちます。

STEP3:人による修正(3〜5日) チェックリストのA→B→Cの順。Cの「現場の言葉」を集めるヒアリングに最も時間がかかります。

STEP4:デザイン化(半日〜2日) 印象で勝負するページは画像生成型、数字を扱うページはpptx編集型、と使い分けます。全ページを1つのツールで完結させようとすると、どちらかが犠牲になります。

STEP5:公開と運用(継続) 自社採用サイト、Speaker Deck、求人票からのリンクの3箇所に置きます。数字は四半期ごとに更新します。更新されていない資料は「この会社は採用に本気ではない」というメッセージになります。

よくある質問

Q1. AIで作った採用ピッチ資料だと、候補者に「手抜き」と思われませんか?

思われるとしたら、それはAIを使ったからではなく、中身が空だからです。候補者が見ているのは制作手段ではなく、離職率や課題ページのように「普通は書かない情報が書いてあるか」です。逆に、制作代行に数十万円払って作った資料でも、良いことしか書いていなければ読み飛ばされます。

Q2. 何枚くらいが適正ですか?

初版は14枚です。運用が回り始めたら30〜60枚まで増やしてよいです。前掲のSmartHRの公開資料は57枚あります。ただし枚数を増やすほど更新コストが上がるので、更新の担当者と頻度を決めてから増やしてください。

Q3. 無料のAIツールだけで完結しますか?

原稿生成までは完結します。詰まるのは書き出しです。たとえばイルシルのフリープランはPDF・PPTX出力ができず、Gammaの無料プランは1プロンプトあたり10枚までという制限があります(いずれも各社公式サイトの記載)。社外に配布する形式で書き出す段階で有料プランが必要になるツールが多いので、最初から書き出し要件を確認して選びます。

Q4. 日本語のフォントが崩れるのはどう対処すればいいですか?

対処法は2つです。ひとつはPowerPointやGoogleスライドの中で動くツール(Microsoft 365 Copilot、Plus AI)を使い、そもそも変換工程を作らないこと。もうひとつは、スライドを画像として生成するツールを使い、フォントレンダリングの問題を回避すること。海外製のWebスライドツールからpptxに書き出す経路が最も崩れやすいです。

Q5. 弱みを書いたら応募が減りませんか?

減ります。減ることが目的の資料です。判断すべきは応募数ではなく、書類通過率・面接通過率・内定承諾率・入社1年以内の離職率の4つです。母数だけを追うなら採用ピッチ資料は不要で、求人広告に予算を回したほうが早いです。

Q6. 制作代行に頼むのとAIで自作するのは、どう使い分けますか?

素材(数字・制度・現場の声)が揃っていないなら、代行に頼んでも同じ場所で止まります。代行会社の工数の大半はヒアリングだからです。素材が揃っていて、デザインの品質だけが課題ならば代行に価値があります。素材集めから始める段階なら、AIで初版を作って社内の議論を起こすほうが速いです。

まとめ

  • 事例集で手が止まるのは、構成が分からないからではなく自社の素材が揃っていないからです

  • 採用ピッチ資料は応募を増やす資料ではなく、ミスマッチを減らす資料です

  • 14枚の構成を固定し、プロンプトに流し込めば初稿は2〜3時間で出ます

  • P12(課題ページ)の素材だけは人間が集めます。退職理由・サーベイ・入社3ヶ月のギャップ・未解決課題の4つです

  • AI原稿は必ず、数字の裏取り→法務確認→現場の言葉への置換、の順で直します

  • ツールは「pptxで運用するか、画像で見せるか」で選びます。全ページを1つに寄せません

表紙・ミッション・カルチャー・募集ポジションといった「印象で決まるページ」を、デザイナーなしで先に形にして社内の合意を取りたい——という条件なら、ドヤスライドが候補になります。 テーマと資料タイプ(採用資料/ピッチ資料のプリセットあり)、枚数(3〜12枚)、比率、テーマカラー、自社ロゴを指定すると、全スライドを画像で生成します。無料のFREEプランで出力の雰囲気を確認できます。継続利用する場合はプロプラン月9,980円(税込)で、ドヤマーケAIの14サービスがすべて使い放題になります。数字を頻繁に差し替えるページは別途pptxで管理する前提で組み合わせるのが現実的です。

→ ドヤスライドを見る


参考にした一次情報

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この記事の著者

Katsuki.Mitsumori

三森 捷暉(みつもり かつき)

著者プロフィールはこちらから↓
 /author/mitsumori
ドヤマーケ運営・ドヤAI開発者|株式会社スリスタ 代表

ドヤマーケの運営者であり、AIツール群「ドヤAI」の開発者です。専門はBtoBマーケティング、SEO、コンテンツマーケティング、生成AI活用。
2021年、新卒第1号として株式会社Piece to Peace(CarryMe)に入社し、広報・マーケティング・デザイン・コンテンツ制作を横断的に担当。SEO記事、比較記事、ホワイトペーパー、ウェビナー、広告施策を組み合わせた商談創出の仕組み化を推進してきました。

その後、株式会社スリスタ(設立:2025年3月14日/代表:三森 捷暉)を設立。
現在はスリスタにて、オウンドメディア「ドヤマーケ」を運営しながら、記事作成・バナー・スライド・営業リストなどのマーケティング業務をAIで進める「ドヤAI」を開発しています。

スリスタでは、SEO記事制作、比較記事、一次情報設計、バナー制作、構成案作成といったマーケティング業務を、ユーザーが「選ぶだけ」「スワイプするだけ」で進められる設計思想をもとに、AIツールとして実務レベルで実装。
マーケティングを「1人でも回せる状態」にするための仕組みづくりを行っています。

YouTubeでは、AI活用の実務を発信する「【ドヤAI】ミツモリ」と、世の中のSaaSをAIで実際に作ってみる「SaaSは死にましぇん【AI開発】」を運営しています。
ウェビナー・登壇実績
CarryMe主催ウェビナー
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