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広告代理店の提案書作成|1案件あたり何時間減るか

代理店の提案書作成が重いのは、1本あたりの作業量が多いからではありません。月に何本も作るのに、毎回ゼロから作っているからです。1本3時間かかる作業を2時間に短縮しても月10本なら10時間しか浮きませんが、10本のうち7本分を使い回せる形にすれば20時間以上が浮きます。本記事では提案書を「変動層」と「資産層」に分け、13ツールをその軸で比較します。料金は2026年8月5日時点で公式サイトに掲載されていた表記のみを載せます。

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この記事で分かること

  • 提案書を「変動層」と「資産層」に分ける方法と、代理店で効く理由

  • 13ツールの層別比較表(2026年8月5日時点で公式サイトに掲載されていた料金のみ)

  • 提案書のスライドを1枚ずつ仕分ける「部品棚卸しシート」(コピペ可)

  • ツール費用を回収できる月間本数を出す計算式

  • クライアントURLから提案骨子12枚分を作るプロンプト全文

  • 月間提案本数別の判断フローチャート


1. 結論:代理店の提案書は「1本目」ではなく「2本目以降」を速くする

事業会社の営業は、1本の提案書を時間をかけて作り込みます。代理店は違います。同じ週に業種の違う3社へ提案を出すことが日常で、しかも競合プレゼンなら受注確率は1/3以下です。1本にかける時間の上限が構造的に決まっています。

この状況で「AIで資料作成を効率化」と言われて資料生成ツールを入れると、多くの場合こうなります。

  • 1本目:AIがきれいなスライドを出しました。速いです。

  • 2本目:業種が違うので、また最初から指示を出します。1本目とデザインの雰囲気が揃いません。

  • 3本目:結局、過去の提案書からコピーして作り直しました。

原因は、資料生成AIの多くが1本目のコストを下げる設計になっていることにあります。代理店で効くのは2本目以降のコストを下げる仕組みです。

提案書を4層に分解する

代理店の提案書は、中身の性質で4層に分かれます。

中身

スライド枚数の目安

案件ごとに変わるか

①クライアント調査層

相手企業の事業、競合、現在の広告出稿状況、Web上の露出

3〜5枚

毎回変わります

②数値・実績層

自社の運用実績、業界別の指標、シミュレーション

3〜6枚

一部変わります(数字の差し替え)

③戦略骨子層

課題の整理、打ち手、媒体構成、KPI設計

5〜8枚

毎回変わります

④体裁層

表紙、会社紹介、体制図、料金表、フォーマット

5〜10枚

ほぼ変わりません

20枚の提案書のうち、毎回作り直す必要があるのは①と③の8〜13枚だけです。②は数字の差し替えで済み、④は完全に使い回せます。

にもかかわらず、多くの代理店で20枚全部を「今回の提案書」として作っています。過去の提案書をコピーして上書きしていくため、資産としての管理単位が「提案書1本」になってしまい、部品として再利用できません。

変動層と資産層

この4層を、対処法の違いで2つに束ねます。本記事ではこれを分類軸に使います。

  • 変動層(①③):案件ごとに中身が変わります。速く作る仕組みが要ります。ここにAI調査・骨子生成が効きます。

  • 資産層(②④):一度作れば使い回せます。部品として切り出して管理する仕組みが要ります。 ここにテンプレート管理・レポート自動化が効きます。

ツールを選ぶとき、その製品がどちらの層に効くのかを先に判定します。両方に効く製品はほとんどありません。


2. 比較表:提案書作成関連ツール13選

自社サービスであるドヤ商談準備を最上段に置きます。料金は2026年8月5日時点で各公式サイトに掲載されていた表記に限り、確認できなかったものはその旨をそのまま書きました。

①クライアント調査層(変動層)

ツール

注力

効く層

1本目の短縮

2本目以降の短縮

無料で試せるか

公開料金(2026年8月5日確認)

欠点

ドヤ商談準備

★注力

変動層(①+③)

大(URL入力で調査〜課題仮説〜提案骨子まで一括生成)

中(同じ操作を繰り返すだけで、部品の蓄積はしません)

無料版あり

月9,980円(税込)/全14サービス使い放題の統一プランに含まれる

出力はMarkdownが基本で、代理店の既存PowerPointテンプレートへ直接流し込む機能はありません。広告媒体の実績データを取り込む機能もありません。提供開始が新しくレビュー件数が少ないです

ChatGPT

変動層(①+③)

小(毎回プロンプトを貼り直します)

Freeプランあり

公式料金ページでプラン名(無料版/Go/Plus/Pro)は確認できましたが、金額は公式ページ上で確認できませんでした

提案書の型が製品側にないため、担当者ごとに出力の粒度が変わります。クライアント名を含む情報の入力可否は社内ルールの整備が要ります

Similarweb

変動層(①)

中(競合サイトの流入構造を数分で把握)

「Start your free trial」の記載あり

「Web Intelligence plans from $125/mo」と記載されています。個別プラン名と各プランの金額は公式ページ上で確認できませんでした

日本の中小企業サイトは推計値の精度が落ちます。提案書に載せる際は推計であることの明示が要ります

Ahrefs

変動層(①)

中(クライアント・競合の自然検索状況を把握)

有料プラン終了後に機能限定の無料版へ切り替わる旨の記載あり。無料ツール群も提供

Starter $29/Lite $129/Standard $249/Advanced $449/Enterprise $1,499(いずれも月額)/Brand Radar AI $199から

SEO・被リンク領域が主で、広告出稿の実データは扱いません。ドル建てのため為替で実額が動きます

②数値・実績層(資産層)

ツール

効く層

1本目の短縮

2本目以降の短縮

無料で試せるか

公開料金(2026年8月5日確認)

欠点

Looker Studio

資産層(②)

小(最初のダッシュボード構築に時間がかかります)

(一度作れば全クライアントに複製できます)

無料で利用可(公式ページに「無料でご利用いただけます」の記載)

Looker Studio:無料。Looker Studio Pro:1ユーザー月額9ドル

媒体データの取り込みは自前でコネクタ設定が必要です。媒体側の仕様変更に追随する運用工数がかかります

ATOM

資産層(②)

ナビゲーションに「無料トライアル」リンクあり(条件の記載は確認できず)

「月額5万円〜(広告会社様以外は特別プラン別途ご用意)」と記載されています。プラン名・初期費用の記載は確認できませんでした

月額の下限が5万円のため、提案本数が少ない小規模代理店では単価が重いです

アドレポ

資産層(②)

「2週間無料トライアル」の記載あり

「月額3万円〜」「初期費用無料」と記載されています

レポート自動化が主目的で、提案書の戦略部分は作りません

Databeat Explore

資産層(②)

「2週間の無料トライアル」の記載あり

初期費用0円。「広告アカウント100件まで定額50,000円」(税抜)。契約は1か月単位で期間の縛りなしと記載されています。Google Cloud Platformの費用は別途かかる旨の記載あり

GCP費用が別建てのため、月額の総額が事前に確定しません。接続アカウント数と広告費で変動すると明記されています

③戦略骨子層(変動層)

ツール

効く層

1本目の短縮

2本目以降の短縮

無料で試せるか

公開料金(2026年8月5日確認)

欠点

ドヤ商談準備

変動層(③)

無料版あり

月9,980円(税込)の統一プランに含まれる

上記のとおりです。広告媒体の配分設計まではツール側に型がありません

ChatGPT

変動層(③)

Freeプランあり

金額を公式ページ上で確認できませんでした

上記のとおりです

Notion(Notion AI)

変動層+資産層

(提案書の部品をデータベース化できます)

フリープランあり

フリー $0/プラス $10/ビジネス $20(1ユーザー月額)/エンタープライズはカスタム。日本語ページで円建て金額は確認できませんでした

提案書そのものの体裁は作れません。AI機能の範囲がプランで変わり、フリー・プラスは「体験版AI機能」と記載されています

④体裁層(資産層)

ツール

効く層

1本目の短縮

2本目以降の短縮

無料で試せるか

公開料金(2026年8月5日確認)

欠点

Gamma

資産層(④)

Freeプランあり

プラン名(Free/Plus/Pro/Ultra)は確認できましたが、金額とクレジット数を公式ページ上で確認できませんでした

AI利用が回数制のため、月内の生成量に上限があります。既存のPowerPointテンプレートへの厳密な合わせ込みには向きません

Beautiful.ai

資産層(④)

14日間の無料トライアル(クレジットカード登録が必要と記載)

Pro:年払いで $12/月。単発プレゼン $45。Team(2〜20ユーザー):年払い $40/月/ユーザー、月払い $50/月/ユーザー。Enterpriseは要問い合わせ

英語圏製で、日本語フォントの体裁は実データで要確認です

Plus AI

資産層(④)

7日間の無料トライアル(1,000 AIクレジット)

Basic $10/Pro $20/Team $30/Max $200(いずれも1ユーザー月額・年払い)。月払いは $15/$25/$40/$240

GoogleスライドまたはPowerPointに依存します。クライアント調査機能はありません

Microsoft 365 Copilot

資産層(④)

公式ページ上で無料試用の記載を確認できず

Copilot Business(既存プランへの追加):¥2,698/ユーザー/月(年払い・割引価格)、通常価格 ¥3,148。Business Standard+Copilot Business:¥3,523/ユーザー/月(年払い)

Microsoft 365契約が前提です。社外企業のWebリサーチは主用途ではありません

Canva

資産層(④)

大(ブランドキット・テンプレート管理)

公式料金ページを取得できず、無料プランの条件を確認できませんでした

公式料金ページを取得できず、金額を確認できませんでした

一次確認ができなかったため、料金・機能とも提供元で確認が必要です

イルシル

資産層(④)

公式サイトを取得できず、無料プランの有無を確認できませんでした

公式サイトを取得できず、金額を確認できませんでした

同上

比較対象の選び方について

同一カテゴリ内の13製品を並べる形にしていません。提案書作成という業務は単一カテゴリのツールで完結せず、層をまたいで組み合わせるのが実態だからです。各層から実在するツールを選び、「効く層」「1本目の短縮」「2本目以降の短縮」「無料」「公開料金」「欠点」という同じ列で評価しています。


3. 【コピペ可】提案書 部品棚卸しシート

ツールを選ぶ前に、自社の直近の提案書3本を並べて仕分けます。ここを飛ばすと、どの層のツールが要るかが決まりません。

3-1. スライド1枚ずつの仕分け

直近の提案書から1本選び、全スライドを行に書き出します。

■ 提案書 部品棚卸しシート
提案書名:________ 作成日:____ 総枚数:__枚

| No | スライドの見出し | 層(①②③④) | 変動/資産 | 作成にかかった時間 | 過去提案からの流用元 | 次回も使えるか |
|----|-----------------|-----------|----------|-----------------|-------------------|--------------|
| 1  | 表紙            | ④         | 資産     | 5分             | 前回そのまま        | ○           |
| 2  | 会社紹介        | ④         | 資産     | 0分             | 共通ファイル        | ○           |
| 3  | 貴社の現状      | ①         | 変動     | 45分            | なし               | ×           |
| 4  |                 |           |          |                 |                   |             |
| 5  |                 |           |          |                 |                   |             |
| …  |                 |           |          |                 |                   |             |

■ 集計
変動層の合計時間:__分  → ここがAI調査・骨子生成の対象
資産層の合計時間:__分  → ここが部品化・テンプレ管理の対象
「流用元:なし」かつ「次回も使える:○」の枚数:__枚
  → 資産化できていない部品。最優先で共通ファイルに切り出す

3-2. 仕分けの判定基準

迷ったときの基準を決めておきます。

判定

基準

変動

クライアント名・業種・数値のどれかを変えると、スライドの構成そのものが変わります

資産

クライアント名と数値を差し替えるだけで成立します

半資産

構成は同じですが、業種別に3〜5パターン必要です

半資産に分類されたスライドは、業種別のバリエーションを先に作りきるのが効きます。「EC」「BtoB SaaS」「不動産」「人材」など、自社の受注実績が多い業種から3つ選び、各業種の版を1回だけ作ります。以降はその中から選ぶだけになります。

3-3. 棚卸しで必ず出てくる問題

3本分を仕分けると、ほぼ確実に次が見つかります。

  • 同じ内容のスライドが3本で微妙に違います。 数字の更新が1本にしか反映されていません。これは古い数字をクライアントに出すリスクになります。

  • 「流用元:なし」の資産層スライドがあります。 使い回せるはずなのに毎回作っています。ここが一番安く回収できます。

  • 調査層に時間が集中しています。 変動層の合計時間のうち、調査(①)が7割を占めるケースが多いです。


4. ツール費用を回収できる月間本数の計算式

代理店は本数で効きます。感覚ではなく数字で判断します。

4-1. 計算式

■ 変動層ツール(AI調査・骨子生成)の損益分岐

月間削減時間 = 月間提案本数 × 変動層の1本あたり時間 × 削減率
月間削減額   = 月間削減時間 × 時間単価

損益分岐となる月間提案本数
= ツール月額 ÷ (変動層の1本あたり時間 × 削減率 × 時間単価)


■ 資産層ツール(レポート自動化・テンプレ管理)の損益分岐

月間削減時間 = 月間レポート本数 × 1本あたり作成時間 × 削減率
       + 月間提案本数 × 資産層の1本あたり時間 × 削減率

損益分岐となる月間レポート本数
= ツール月額 ÷ (1本あたり作成時間 × 削減率 × 時間単価)

4-2. 記入欄

■ 自社の数値を入れる

(a) 月間提案本数        __本
(b) 変動層の1本あたり時間    __分(棚卸しシートの集計値)
(c) 資産層の1本あたり時間    __分(同上)
(d) 月間レポート本数      __本(既存クライアントの定例レポート)
(e) レポート1本あたり作成時間  __分
(f) 時間単価          __円/時
    (目安:担当者の月額人件費 ÷ 稼働時間。
      社会保険料等の会社負担分を含めた総額で計算する)

■ 判定

変動層ツールの月額 __円 ÷ ((b)/60 × 削減率 × (f)) = 損益分岐本数 __本
 → (a) が損益分岐本数を上回れば、変動層ツールは回収できる

資産層ツールの月額 __円 ÷ ((e)/60 × 削減率 × (f)) = 損益分岐本数 __本
 → (d) が損益分岐本数を上回れば、資産層ツールは回収できる

削減率は自社で実測した値を入れます。 ベンダーの公称値をそのまま入れると必ず過大評価になります。1本だけ実際にツールで作り、棚卸しシートの時間と比較して出します。実測前の暫定値としては、調査層で40〜60%、体裁層で20〜40%あたりから始めて、実測後に置き換えます。

4-3. この計算で分かること

多くの代理店で、資産層ツール(レポート自動化)のほうが先に回収ラインを超えます。 理由は単純で、定例レポートは提案書より本数が多いからです。クライアント20社の月次レポートを毎月作っているなら、月間レポート本数は20本になります。提案書は月10本でも、レポートは20本あります。

一方で、新規獲得が主戦場で既存クライアントが少ない代理店では、逆に変動層ツールが先に効きます。自社がどちらかは(a)と(d)を比べれば決まります。


5. 【プロンプト全文】クライアントURLから提案骨子を作る

変動層の中身を出し惜しみせず公開します。生成AIで動きます。【 】の中だけ差し替えて使います。

プロンプト1:クライアントの現状を事実ベースで整理する

あなたは広告代理店のプランナーです。
以下のクライアント候補について、公開情報から読み取れる事実だけを整理してください。
推測には必ず「推測」と明記し、事実と分けてください。

【クライアントのURL】:https://example.co.jp/
【クライアント名】:〇〇株式会社
【こちらが提案するもの】:(例)Web広告の運用代行(リスティング+Meta)
【提案の背景】:(例)問い合わせフォーム経由の反響を増やしたいという相談を受けた

# 出力

## 1. 事実(サイトに書いてあること)
- 主力商材・サービスと、その価格帯(記載があれば)
- ターゲット顧客(BtoB / BtoC、業種、地域)
- 拠点・店舗数
- 直近の発表(お知らせ・プレスリリース上位3件と日付)
- 採用ページから読み取れる組織状況(募集職種・人数)
- サイト内のコンバージョン導線(問い合わせ・資料請求・EC等、どこにあるか)

## 2. サイトから読み取れる現状の課題(各項目に根拠ページを添える)
- 導線上の課題:
- 訴求内容の課題:
- 情報量の課題:

## 3. 推測(根拠を1行で添える)
- 想定される平均顧客単価:(根拠:)
- 想定される検討期間:(根拠:)
- 想定される社内の広告担当体制:(根拠:)

## 4. 確認できなかったこと
- (調べたが分からず、初回打ち合わせで聞くべき項目を列挙)

# 制約
- サイトに書いていないことを事実として書かない
- 数字には必ず出典ページ名を添える
- 競合他社の実名を推測で挙げない

プロンプト2:提案骨子を12枚分に構造化する

続けて、上で整理した内容をもとに提案書の骨子を作ってください。

【提案する媒体・手法】:(例)Google検索広告、Meta広告、LP改善)
【想定予算レンジ】:(例)月額50万〜100万円)
【提案先の役職】:(例)マーケティング部長。決裁は役員会)
【自社の強み(実績として出せるもの)】:(例)同業種で6か月でCPA35%改善した実績が1件ある)

# 出力フォーマット

| No | スライド見出し | このスライドで言い切ること(1文) | 載せる要素 | 層(①②③④) | 変動/資産 |

# 構成の条件
- 全12枚。表紙・会社紹介・体制図・料金表は含めない(それらは資産層として別に用意済み)
- 1〜3枚目:クライアントの現状(事実のみ。推測を混ぜない)
- 4〜5枚目:課題の構造化(why so を2階層まで掘る)
- 6〜9枚目:打ち手(媒体別。各媒体で「何を狙い、何を測るか」を1行で)
- 10枚目:KPI設計(先行指標と結果指標を分ける)
- 11枚目:想定スケジュール(初月/2〜3か月/4か月目以降)
- 12枚目:初回提案で決めてほしいこと(1つだけ)

# 制約
- 数値のシミュレーションは、前提条件を明記していないものは出さない
- 「認知度向上」「ブランディング強化」のような測れない言葉を打ち手に書かない
- 各スライドの「言い切ること」は40字以内

プロンプト3:資産層のスライドと突き合わせる

上で作った骨子と、すでに手元にある資産層のスライドを突き合わせてください。

【手元にある資産層スライド一覧】:
- 表紙
- 会社紹介
- 運用体制図
- 料金表
- 過去実績(業種別に3パターン)
- (棚卸しシートの「資産」行をここに貼る)

# 出力
1. 今回の提案で使う資産層スライドの選択(業種別バリエーションのどれを使うか、理由つき)
2. 資産層スライドのうち、今回のために数値だけ差し替えるべき箇所
3. 資産層に不足していて、今回新規に作る必要があるスライド
4. 3で作ったスライドのうち、今後も使い回せるので資産化すべきもの

# 制約
- 4で挙げたものは、汎用化するための書き換え案を1行ずつ添える

プロンプト3が本命

プロンプト3を毎回回すと、資産層が自動的に育ちます。 1本目では資産が薄いので新規作成が多いですが、5本目には「今回新規に作る必要があるスライド」がほとんど出なくなります。これが2本目以降のコストを下げるという意味です。

プロンプト1と2だけを使うと、1本目は速くなりますが2本目以降が変わりません。冒頭で書いた「AIを入れたのに速くならない」の原因はここにあります。


6. 判断フローチャート:どこから手を付けるか

【START】提案書作成を効率化したい

Q1. 直近3本の提案書を、スライド単位で仕分けたことがあるか?
  ├ NO  → 【まず棚卸し】第3章のシートを埋める。
  │        ここを飛ばすとどの層のツールが要るか決まらない。
  └ YES → Q2へ

Q2. 資産層スライドは、提案書ファイルとは別の共通ファイルに切り出してあるか?
  ├ NO  → 【資産層の部品化が最優先】ツールは不要。
  │        共通ファイルに切り出すだけで、月10本なら数時間が浮く。
  │        費用ゼロで効果が出るのはここだけ。
  └ YES → Q3へ

Q3. 既存クライアントの月次レポートは何本か?
  ├ 15本以上 → 【資産層ツール(レポート自動化)から】
  │   提案書より先にレポートで回収できる。
  │   Looker Studio(無料)で試し、媒体数が多くて設定が回らなければ有料ツールへ。
  └ 15本未満 → Q4へ

Q4. 変動層(調査+骨子)に1本あたり何分かかっているか?
  ├ 90分以上 → 【変動層ツール(AI調査・骨子生成)】
  │   調査に時間が集中しているので、ここが最大の削りしろ。
  └ 90分未満 → Q5へ

Q5. 月間提案本数は?
  ├ 16本以上 → 【変動層+資産層の両方】
  │   本数が多いと、どちらも損益分岐を超える。
  ├ 5〜15本  → 【体裁層(資料生成AI)を1つだけ】
  │   調査は既に速いので、残る削りしろは体裁の整形。
  └ 5本未満  → 【ツール追加は保留】
      1本あたりの作り込みで勝負する規模。
      無料枠(Looker Studio、生成AIの無料プラン)で足りる。

7. 1日に3社へ提案する日をどう回すか

代理店固有の負荷は、本数そのものよりも同じ日に業種の違う複数社へ出すところにあります。午前にEC、午後に人材、夕方に製造業という日が月に何度もあります。頭の切り替えコストが積み上がり、3社目の提案書が明らかに薄くなります。

この問題への対処は、時間配分ではなく順序の設計になります。

7-1. 「調査だけ先にまとめてやる」は逆効果になりやすい

効率化の発想として、3社分の調査を前日にまとめて処理したくなります。しかしこれをやると、3社の情報が頭の中で混ざります。EC企業の課題として整理したはずの内容が、人材会社の提案書に紛れ込む事故が起きます。

代わりに有効なのは、調査と骨子を1社ずつ完結させ、社と社の間に区切りを入れるやり方です。1社あたり「調査30分→骨子30分→そこで一度閉じる」と決め、次の社に移る前に前の社のファイルを閉じます。まとめて処理してよいのは、業種が同じ複数社のときだけになります。

7-2. 提案書の完成度に段階を設ける

3社すべてを同じ完成度で作ろうとすると破綻します。提案の位置づけで完成度の目標を分けます。

提案の位置づけ

目標完成度

変動層にかける時間

資産層の使い方

初回接触・情報提供

60%

30分

資産層中心です。変動層は現状整理3枚だけです

具体的な検討段階

85%

90分

変動層をしっかり作ります。数値シミュレーションを入れます

競合プレゼン・最終選考

100%

3時間以上

資産層も今回用に手を入れます

初回接触の提案書に3時間かけるのは、受注確率で割ると最も割の合わない投資になります。ここを60%で止める判断ができるかどうかが、月の総所要時間を決めます。

7-3. 週の締め切りを分散させる

代理店では提案の締め切りが週の後半に集中しやすいです。木曜と金曜に4本が重なると、質の低下は避けられません。日程調整の段階で「提案は火曜と木曜に出す」と決め、クライアントとの打ち合わせ日程をその前提で押さえます。これは営業プロセスの設計であってツールの話ではありませんが、効果は資料生成AIより大きいです。

7-4. 3社同日の前日チェックリスト

■ 複数社提案の前日チェック(1社につき1回通す)

□ 会社名・担当者名の誤りがないか(他社名の残りを検索して確認)
□ 数値の出典が全て添えられているか
□ 資産層スライドの数値が最新か(更新日を確認)
□ 前回の打ち合わせで相手が言った言葉が、1箇所以上そのまま入っているか
□ 「今回決めてほしいこと」が1つだけ書かれているか
□ 前提条件のないシミュレーションが残っていないか
□ ファイル名にクライアント名と日付が入っているか

4つ目のチェックが最も効きます。 相手が使った言葉をそのまま提案書に入れると、AIで作ったテンプレート感が消えます。これは自動化できない工程で、議事録から1文を選んで貼るだけの作業ですが、通過率への影響は大きいです。


8. ツールでは解決しない部分

正直に書きます。提案書の質を決める部分の多くは、ツールの外にあります。

8-1. 「何を提案しないか」の判断

AIは指示した範囲の打ち手を全部出します。しかし提案書で効くのは、打ち手を絞ることで生まれるメッセージの明確さです。6媒体の提案より2媒体に絞った提案のほうが通ることは多いです。この取捨選択は、クライアントの社内事情(誰が決裁するか、過去に何で失敗したか)を知らないとできません。

8-2. 数値シミュレーションの責任

AIに「CPA 5,000円で月100件」というシミュレーションを出させることはできます。しかしその数字は、提案書に載せた瞬間に自社の約束として受け取られます。前提条件を明記していない数値は載せないという規律は、ツールでは担保されません。プロンプト2で「前提条件を明記していないものは出さない」と指定していますが、最終判断は人がやります。

8-3. 競合プレゼンでの差

競合3社が同じAIツールを使えば、提案書の体裁も構成も似てきます。差がつくのは、①で拾った事実のうちどれを課題として選んだかという編集判断です。ここは調査量ではなく、業界理解と場数で決まります。

8-4. 資産層の陳腐化

資産層は放置すると古くなります。運用実績のスライドが2年前の数字のままだと、それを見た瞬間に信頼が落ちます。四半期に1回、資産層スライドの数値更新日を確認する運用を決めておきます。ツールは更新を促してくれません。


9. よくある質問

Q1. デザインが得意なメンバーがいない。体裁層のAIツールだけ入れれば足りるか?

足りるかどうかは、棚卸しシートの「資産層の合計時間」で判断します。体裁に月10時間かけているなら効きますが、体裁は既に共通テンプレートで回っていて調査に時間が溶けているなら、体裁層のツールを入れても総時間は変わりません。時間が溶けている層と、ツールが効く層を一致させるのが原則になります。

Q2. クライアント名や広告費のデータを生成AIに入力してよいか?

クライアントとの契約内容と、自社のAI利用ルールを先に確認してください。 代理店契約には秘密保持条項が含まれるのが通常で、広告費・CPA・売上といった数値は秘密情報に該当しえます。判断に迷う場合は、企業名を伏せ字にし、数値をレンジに丸めて入力する運用にします。契約上の解釈は個別の契約条件によって変わるため、最終的には契約書の条項と法務の判断によります。

Q3. レポート自動化ツールは提案書にも使えるか?

数値・実績層(②)には直接使えます。ダッシュボードの画面をそのまま提案書に貼るのではなく、提案の文脈に合わせて見せる指標を絞って書き出す使い方になります。戦略骨子層(③)は作れないため、提案書全体を賄うツールではありません。

Q4. 資産層の部品は、どの単位で切り出すべきか?

スライド1枚を最小単位にします。「3枚セット」で切り出すと、うち1枚だけ使いたい場面で分解する手間が発生します。1枚ずつファイル名を付けて(例:実績_EC_CPA改善_2026Q2.pptx)、業種と更新時期がファイル名で分かるようにしておきます。

Q5. 月間提案本数が5本未満でもツールを入れる意味はあるか?

第4章の計算式で判定すると、多くの場合ツール費用は回収できません。ただし例外が1つあります。提案の質を上げて受注率を上げる目的なら、時間削減の計算とは別の話になります。月5本で受注率が20%から30%に上がるなら、月0.5件の受注増です。この場合は削減時間ではなく、受注1件あたりの粗利と比較します。

Q6. 無料プランだけで回せるか?

資産層は回せます。Looker Studioは無料で使え、資産層スライドの部品化は共通フォルダの整理だけで済みます。変動層は、生成AIの無料プランでも第5章のプロンプトは動きます。費用をかけずに始められるのは事実です。 足りなくなるのは、本数が増えてプロンプトを貼り直す回数が週10回を超えたときと、複数人で出力の粒度を揃える必要が出たときになります。


10. 手順まとめ:4週間で回す

やること

対象層

費用

1週目

直近の提案書3本をスライド単位で棚卸しします

全層

0円

2週目

資産層スライドを共通ファイルへ切り出します。業種別バリエーションを3つ作ります

②④

0円

3週目

次の提案1本で、第5章のプロンプト1〜3を回します。実測時間を棚卸しシートと比較します

①③

無料プランで可

4週目

第4章の計算式に実測値を入れ、損益分岐を出します。超えた層のツールだけ契約します

ここで初めて費用が発生します

1週目と2週目は費用ゼロで、効果が最も確実に出る工程です。 ここを飛ばしてツールから入ると、棚卸しされていない提案書に新しいツールが1つ増えるだけになります。

3週目の工程だけをツールで飛ばしたい場合、クライアントのURLを入力すると現状分析・課題仮説・提案骨子までを一括で生成するという条件で探しているなら、ドヤ商談準備(株式会社スリスタの自社サービス)が候補になります。月9,980円(税込)の統一プランに含まれ、無料版でも試せます。ただし前述のとおり、出力はMarkdownが基本で既存のPowerPointテンプレートへ直接流し込む機能はなく、広告媒体の実績データを取り込む機能もありません。②の数値・実績層は別の手段で

用意する必要があります。

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この記事の著者

Katuski.Mitsumori

三森 捷暉(みつもり かつき)

著者プロフィールはこちらから↓
 /author/mitsumori
BtoBマーケティング × SEO × AI活用 専門家|株式会社スリスタ 代表

BtoBマーケティング、SEO、コンテンツマーケティング、生成AI活用を専門とするマーケター/事業責任者です。
2021年、新卒第1号として株式会社Piece to Peace(CarryMe)に入社し、広報・マーケティング・デザイン・コンテンツ制作を横断的に担当。SEO記事、比較記事、ホワイトペーパー、ウェビナー、広告施策を組み合わせた商談創出の仕組み化を推進してきました。

その後、株式会社スリスタ(設立:2025年3月14日/代表:三森 捷暉)を設立。
現在はスリスタにて、AIを活用したマーケティング業務の自動化・省力化に注力しています。

スリスタでは、SEO記事制作、比較記事、一次情報設計、バナー制作、構成案作成といったマーケティング業務を、ユーザーが「選ぶだけ」「スワイプするだけ」で進められる設計思想をもとに、AIツールとして実務レベルで実装。
マーケティングを「1人でも回せる状態」にするための仕組みづくりを行っています。
ウェビナー・登壇実績
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URL:https://carryme.jp/webinar58_20251126_ntt_webinar
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