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介護施設の職員資格管理12選|更新漏れを止める

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先に結論を書きます。「介護職員の資格管理」に正面から特化した専用システムは、実質的に存在しません。あるのは勤怠、eラーニング、介護記録ソフト、汎用のタレントマネジメントで、資格の有効期限管理はそのどれかの一機能として乗っているだけです。この記事では、その前提で何をどう管理するかを、管理対象の一次情報の確認から台帳の作り方、12製品の比較まで通しで書きます。

この記事でわかること

  • 介護施設が管理しなければならない資格・研修の全体像(有効期限があるもの/ないもの/毎年回るものの3分類)

  • 2026年に成立した法改正でケアマネジャーの更新制が廃止される件と、資格管理台帳への影響

  • 12製品の比較表(介護特化型・汎用タレントマネジメント型・介護ソフト型を同じ基準で並べました)

  • そのままコピペして使える「職員資格・研修管理台帳の列定義」と期限アラートの数式、年間法定研修カレンダー

  • 専用システムがない中で、Excelから始めて破綻させない運用の作り方

調査条件: 制度に関する記述は厚生労働省・内閣法制局・都道府県の公表資料で2026年8月5日に確認した内容のみを記載します。料金は各製品の公式サイトで確認できた金額のみを載せ、公開されていない場合は「公式サイトで料金非公開」と書きます。第三者の比較メディアの金額は採用していません。


1. なぜ「資格管理」の記事が見つからないのか

「介護施設 職員 資格管理 システム」で検索すると、上位に来るのは次の3種類です。

  1. 介護業向け勤怠管理システムの比較記事 — シフトと打刻の話で、資格の期限管理には触れていません

  2. 介護向けeラーニングの比較記事 — 研修を「受けさせる」話で、受けた記録をどう保管するかには触れていません

  3. 介護記録ソフト(介護ソフト)の比較記事 — 利用者の記録と請求の話で、職員側の資格は対象外です

どれも間違ってはいませんが、聞かれていることに答えていません。現場が知りたいのは「誰の、どの資格が、いつ切れるか」を落とさない方法です。

理由ははっきりしています。資格管理だけを売る製品カテゴリが成立していないからです。勤怠は毎月必ず使います。介護記録は毎日使います。資格管理は年に数回しか動きません。だからSaaSとして単独で売れず、他機能のおまけになります。この構造を理解しないまま「資格管理システム」を探すと、永遠に見つかりません。


2. 何を管理しなければならないのか(一次情報で確認)

管理対象を3つに分けます。この分類ができていない台帳は必ず破綻します。

2-1. A群:一度取得すれば期限がないもの

資格・研修

期限

管理上のポイント

介護福祉士

登録制で更新の仕組みはありません

登録証の番号・登録年月日を控えます。改姓時の登録事項変更が漏れやすいです

介護福祉士実務者研修

修了に期限はありません

修了証明書の原本を本人が保管しているため、施設側にコピーがないことが多いです

介護職員初任者研修

修了に期限はありません

同上

認知症介護基礎研修

修了に期限はありません

未受講者を把握し続けることが義務です(後述)

A群は「期限管理」ではなく「証跡の所在管理」の問題です。監査や実地指導で提示を求められたときに、修了証のコピーが施設に無い、というのが最も多い事故になります。

2-2. B群:有効期限や事業所側の登録が絡むもの

介護支援専門員証(ケアマネジャー)

介護支援専門員証の有効期間は交付の日から5年間です(大阪府「介護支援専門員証の有効期間について」2026年8月5日確認 https://www.pref.osaka.lg.jp/o090100/kaigoshien/care/koushin.html )。同ページは、有効期間満了後も業務を続けた場合は処分の対象となり、消除処分を受けると5年間業務ができなくなること、有効期間内に更新申請しなかった場合は再研修の受講が必要になることも明記しています。

ただしここは2026年に制度が動きました。

内閣法制局の法律案情報によると、「社会福祉法等の一部を改正する法律案」が令和8年4月3日に提出され、成立しています。同法案には「介護支援専門員の資格に係る更新制の廃止及び法定研修の見直し等の措置」が含まれます(内閣法制局 https://www.clb.go.jp/recent-laws/diet_bill/detail/id=5265 2026年8月5日確認)。

厚生労働省系の法案概要資料では、見直しの中身として次が示されています(https://guardianship.mhlw.go.jp/common/uploads/2026/05/notice20260508.pdf 2026年8月5日確認)。

  • 「研修受講を要件とした更新の仕組みは廃止する」

  • 分割受講の仕組みや時間数の縮減により負担軽減の環境を整備する

  • 事業者に対し、従事するケアマネジャーが研修を受けるために必要な措置を講ずる義務を課す

  • 施行期日は原則として令和9年4月1日(具体的な施行日は政省令で定める部分があります)

資格管理の実務への影響は大きいです。「証の期限を追う」管理から「研修の受講状況を事業者として追う」管理に変わるからです。台帳の列も変える必要があります(第6章で両対応の列定義を出します)。

なお、更新制廃止部分の具体的な施行日・経過措置の詳細は政省令に委ねられている部分があります。現に有効期間を持つ介護支援専門員証の扱いについては、必ず都道府県の担当課の最新案内を確認してください。この記事では断定しません。

喀痰吸引等研修と認定特定行為業務従事者認定証

介護職員が喀痰吸引・経管栄養を行うには、個人の認定と事業所の登録の両方が必要になります。京都府の公表資料(https://www.pref.kyoto.jp/jigyousho/kakutankyuin.html 2026年8月5日確認)は次のように整理しています。

研修

対象

実施できる行為

基本研修

第1号研修

不特定多数

5行為すべて(口腔内吸引・鼻腔内吸引・気管カニューレ内部の吸引・胃ろう/腸ろうによる経管栄養・経鼻経管栄養)

50時間+全行為の実地研修

第2号研修

不特定多数

5行為のうち選択した行為

50時間+選択行為の実地研修

第3号研修

特定の対象者のみ

その対象者に必要な行為に限定

8時間

同ページは、実施には「介護職員が認定証を持っているだけでなく、事業所が登録特定行為事業者・登録喀痰吸引等事業者として登録している必要がある」と明記しています。

認定特定行為業務従事者認定証そのものに有効期限がある旨の記載は、確認した都道府県の公表資料からは見つけられませんでした。ただし第3号研修は対象者が限定されるため、対象利用者が変われば実施できる範囲が変わります。ここは期限ではなく「紐づく対象者」で管理する必要があります。台帳の設計が変わるので、第6章で列を分けています。

認定証の有効期限の有無および事業所登録の更新要否は、必ず所轄の都道府県(または指定都市)の担当課に確認してください。都道府県ごとに様式も運用も異なります。

2-3. C群:毎年回る法定研修

令和3年度介護報酬改定で、次の3つが全介護サービス事業者の義務として整理されました(厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000768899.pdf 2026年8月5日確認)。

項目

義務の内容(同資料の記載)

経過措置

感染症対策の強化

施設系サービスは委員会の開催、指針の整備、研修の実施等に加え訓練(シミュレーション)の実施。その他サービスは委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練の実施等を義務づけ

3年

業務継続に向けた取組の強化(BCP)

全ての介護サービス事業者に、業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等を義務づけ

3年間

認知症介護基礎研修の受講義務づけ

介護に直接携わる職員のうち、医療・福祉関係の資格を有さない者について、認知症介護基礎研修を受講させるために必要な措置を講じることを義務づけ

3年(新入職員は1年の猶予期間)

経過措置はいずれも終了しています。現在は本則が適用されている状態です。

認知症介護基礎研修については、厚生労働省の介護保険最新情報Vol.1224(令和6年3月15日 https://www.mhlw.go.jp/content/001227778.pdf )で、受講しやすい仕組みとして「原則としてeラーニング形式により行うものとする」と定められたことも確認できました。実施主体は都道府県で、受講料・申込方法・eラーニングの提供形態は自治体ごとに異なります。自治体のページを確認してください。

加えて、高齢者虐待防止(委員会の開催・指針の整備・研修の実施・担当者の設置)と身体的拘束等の適正化についても運営基準上の措置が求められます。

ここで正直に書いておきます。感染症対策研修・BCP研修・虐待防止研修・身体拘束適正化研修の実施回数(年1回以上か年2回以上か)は、サービス種別ごとの運営基準および解釈通知で定められており、施設系と居宅系で異なります。本記事では各サービス種別の回数を条文単位で確認しきれなかったため、具体的な回数は書きません。自事業所に適用される回数は、指定権者(都道府県・市町村)が配布している集団指導資料または運営基準の解釈通知で必ず確認してください。

2-4. D群(おまけ):加算の要件として資格割合が効く

サービス提供体制強化加算のように、介護福祉士の配置割合や勤続年数で算定可否が変わる加算があります。この場合、資格台帳は「監査で見せる書類」ではなく「毎月の請求根拠」になります。誰がいつ介護福祉士になったかを、月単位で遡って言える状態にしておく必要があります。

具体的な加算要件は令和8年度介護報酬改定で変わっている部分があるため、厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00073.html )の告示・留意事項通知で自事業所の該当加算を確認してください。本記事では個別の加算要件は扱いません。


3. 独自の分類軸:名簿型・期限管理型・研修運用型

製品を機能名で並べると全部同じに見えます。実務で違うのは「期限が来たときに、誰にどう通知が飛ぶか」です。この観点で3つに分けます。

3-1. 名簿型

職員の属性として資格を「保存できる」だけです。検索と一覧出力はできますが、期限が近づいても何も起きません。Excelと本質的に同じで、通知は人間が思い出します。

小規模(職員30名以下・ケアマネ不在)なら、正直これで足ります。

3-2. 期限管理型

資格に有効期限フィールドを持ち、閾値を超えたらアラートを出します。ケアマネ証や、都道府県ごとに更新運用がある認定証を抱える事業所はここが要ります。

注意点として、汎用のタレントマネジメントで「資格管理あり」と書かれていても、期限アラートまで持っているとは限りません。カタログの機能名だけで判断せず、デモで「期限30日前に誰に何が飛ぶか」を必ず実演してもらいます。

3-3. 研修運用型

受講の割り当て → 受講 → 修了記録 → 未受講者の抽出まで回ります。法定研修(感染症・BCP・虐待防止・身体拘束)を毎年回す事業所はここが本命になります。eラーニング側に寄った製品が多いです。

3-4. 3つは同じ製品に入っていない

ここが今回の記事の核心です。期限管理型と研修運用型を両方まともに持っている製品は少ないです。多くの事業所は「介護ソフトで請求」「勤怠ソフトでシフト」「eラーニングで研修」「Excelで資格」という4分割になっています。統合を目指すより、資格台帳だけを1か所に決めて、そこを唯一の正とするほうが現実的です。


4. 12製品の比較表

★注力=本記事の運営元(株式会社スリスタ)が提供する自社サービスです。中立を装わないので、自社であることを明記したうえで他社と同じ基準で欠点も書きます。

製品

注力

型

公式サイトの料金(2026/8/5確認)

介護特化

欠点として明記すること

ドヤHR(スリスタ)

★注力

名簿型

統一プラン月9,980円(税込)で全14サービス使い放題。無料版あり

✕

公式ページで確認できたのは従業員データベース・顔写真管理・AI支援の人事評価までです。資格の有効期限アラート機能があるかは公式ページから確認できませんでした。介護報酬の加算様式には非対応です

ケアズ・コネクト

ー

名簿型+勤怠

1スタッフ月300円(勤怠プラン/グループウェアプラン、各税抜)、セットプラン月500円。10名単位契約、30日間無料

○

タレントマネジメント機能ページに資格の有効期限管理・更新アラートの記載を確認できませんでした

CWS for Care(インフォコム)

ー

名簿型+勤怠

公式サイトに料金ページが存在しますが、本記事執筆時点でページ内容を取得できず金額を確認できませんでした

○

介護専門のシフト・勤怠が主軸です。資格管理の詳細は要確認です

ヒトコラボ(南日本情報処理センター)

ー

名簿型

公式サイトの内容を取得できず、料金・機能を確認できませんでした

○(病院・介護向け)

情報が少なく、比較の土俵に乗せるには資料請求が必要です

カイポケ(エス・エム・エス)

ー

介護ソフト

サービス種別ごとの月額(税別)。居宅介護支援5,000円/通所介護25,000円/訪問介護25,000円/訪問看護25,000円/サ高住・有料老人ホーム15,000円/放デイ・児発15,000円ほか。初期費用・更新料・解約金0円と明記

○

職員の資格管理・研修履歴管理機能の記載を料金ページで確認できませんでした。利用者の記録と請求が主軸です

タレントパレット

ー

名簿型+研修運用型

公式サイトで料金非公開

✕

研修履歴管理機能ページに資格の有効期限管理・更新アラートの記載がありません。大企業向けの機能量で、30名規模には過剰になりやすいです

カオナビ

ー

名簿型

公式サイトで料金非公開(機能と人数を選んで見積を作る方式)

✕

見積を取らないと総額が読めません

HRBrain

ー

名簿型

公式サイトで料金非公開

✕

同上

スマカン

ー

名簿型

公式サイトで料金非公開

✕

同上

SmartHR

ー

労務手続き+名簿型

公式サイトで料金非公開

✕

労務手続きが主軸です。資格の期限運用は設計次第です

ヒトマワリ

ー

名簿型

初期費用0円、スタートプラン月20,000円〜、スタンダードプラン月60,000円〜(税別)

✕

人数条件がページに明示されておらず、小規模での実額は問い合わせが必要です

Excel/Googleスプレッドシート

ー

名簿型(自作で期限管理型にできます)

既存のOffice/Google Workspaceの範囲内

✕

同時編集・履歴・権限管理が弱いです。属人化します。ですが30名以下なら実務上これで回ります

確認したURL(すべて2026年8月5日確認)

  • ドヤHR:https://doya-ai.surisuta.jp/hr/dashboard

  • ケアズ・コネクト:https://carez.jp/price

  • CWS for Care:https://care-infocom.jp/cws-care/price/

  • ヒトコラボ:https://hitocolab.com/about/

  • カイポケ:https://ads.kaipoke.biz/price/

  • タレントパレット(研修履歴管理):https://www.pa-consul.co.jp/talentpalette/function/learning-management/learning-history-management.html

  • ヒトマワリ:https://www.hitomawari.jp/plan/

4-1. この表から読み取れること

12製品のうち、公式サイトで金額を確認できたのは4製品だけでした(ドヤHR/ケアズ・コネクト/カイポケ/ヒトマワリ)。汎用タレントマネジメントは軒並み見積制です。

そして「資格の有効期限が近づいたらアラートを出す」ことを公式ページで明示している製品は、確認した範囲では見つかりませんでした。タレントパレットの研修履歴管理ページも、受講状況の把握・未受講者の抽出・リマインドは書いていますが、資格の有効期限管理には触れていません。

掲載されていない=機能がない、とは断定しません。デモで確認すべき論点だと言っています。第7章に、デモで必ず聞くべき7項目を載せました。


5. 判断フローチャート

文章でも書きます。

Q1. 職員数は30名以下か。 - はい → Q2へ。この規模でシステムを買う費用対効果は薄いです。 - いいえ(31名以上) → Q3へ。

Q2. 有効期限のある資格(介護支援専門員証など)の保有者がいるか。 - いない → Excel台帳+年1回の棚卸しで足ります。第6章の列定義をそのまま使います。 - いる → Excel台帳+条件付き書式で色を付け、月1回の確認をルーチンにします。第6章の数式を使います。

Q3. 法定研修(感染症・BCP・虐待防止・身体拘束)の受講管理まで一元化したいか。 - したい → 研修運用型(受講割り当てと修了記録が回るもの)を軸に、資格台帳を併設します。 - 資格台帳だけでいい → Q4へ。

Q4. 介護ソフトや勤怠システムを入れ替える予定があるか。 - ある → 介護特化型(ケアズ・コネクト、CWS for Care等)を検討します。勤怠と資格が同じ職員マスタに乗るのが最大の利点です。 - ない → 汎用のタレントマネジメント(ドヤHR、ヒトマワリ、カオナビ等)で資格台帳を1か所に決めます。介護ソフトは触りません。


6. コピペして使える一次コンテンツ

6-1. 職員資格・研修管理台帳の列定義

Excel/Googleスプレッドシートにそのまま貼れます。シートを3枚に分けるのが要点です。1枚にまとめると必ず破綻します。

シート1:職員マスタ(1人1行)

A: 職員ID
B: 氏名
C: 氏名カナ
D: 生年月日
E: 入職日
F: 雇用区分(正職員/パート/派遣)
G: 所属事業所
H: 職種(介護職/看護職/生活相談員/ケアマネ/機能訓練/管理者/その他)
I: 常勤換算区分
J: 直接処遇職員か(Y/N) ← 認知症介護基礎研修の対象判定に使う
K: 医療・福祉関係資格の保有(Y/N) ← 同上
L: 在籍状況(在籍/休職/退職)
M: 退職日

シート2:資格台帳(1人1資格1行。同じ人が複数行を持つ)

A: 職員ID
B: 氏名(VLOOKUPで参照)
C: 資格・研修区分(A群:期限なし / B群:期限あり / C群:年次法定研修)
D: 資格・研修名
E: 取得・修了年月日
F: 登録番号/認定番号
G: 交付元(都道府県名・指定研修機関名)
H: 有効期限(期限なしは空欄)
I: 次回更新の起点日
J: 証跡の保管場所(原本の所在/スキャンPDFのファイル名)
K: 施設にコピーがあるか(Y/N) ← 実地指導で最も効く列
L: 対象利用者(喀痰吸引第3号研修の場合のみ記入)
M: 実施可能行為(喀痰吸引の場合:口腔内/鼻腔内/気管カニューレ内部/胃ろう腸ろう/経鼻)
N: 備考

シート3:年次法定研修の実施記録(1回1行。職員単位ではなく実施回単位)

A: 実施年度
B: 研修名(感染症対策/業務継続計画(BCP)/高齢者虐待防止/身体的拘束等の適正化/事故発生防止/その他)
C: 区分(研修/訓練(シミュレーション)/委員会)
D: 実施日
E: 実施形式(集合/オンライン/eラーニング/資料回覧)
F: 講師・担当者
G: 参加者数
H: 対象者数
I: 未参加者(氏名を列挙)
J: 未参加者へのフォロー実施日
K: 資料の保管場所
L: 議事録・記録の保管場所

なぜシート3を職員単位にしないのか。運営基準上求められるのは「事業所として実施したこと」の記録であり、そこに誰が参加したかが紐づく構造だからです。職員単位で作ると、実施回数を数えるときに集計し直すことになります。

6-2. 期限アラートの数式

シート2のH列(有効期限)を使います。空欄を無視することが重要で、ここを間違えると期限なしの資格が全部「期限切れ」で赤くなります。

【残日数を出す】O列に入れる
=IF($H2="", "", $H2-TODAY())

【状態ラベルを出す】P列に入れる
=IF($H2="", "期限なし",
   IF($H2-TODAY()<0, "期限切れ",
     IF($H2-TODAY()<=90, "要更新(90日以内)",
       IF($H2-TODAY()<=180, "注意(180日以内)", "有効"))))

【条件付き書式:期限切れを赤】
適用範囲:$A2:$N1000
数式:=AND($H2<>"", $H2-TODAY()<0)

【条件付き書式:90日以内を黄】
適用範囲:$A2:$N1000
数式:=AND($H2<>"", $H2-TODAY()>=0, $H2-TODAY()<=90)

【今月やるべき更新だけを抽出する】別セルに入れる(Googleスプレッドシート)
=FILTER({資格台帳!B2:B, 資格台帳!D2:D, 資格台帳!H2:H},
        資格台帳!H2:H<>"",
        資格台帳!H2:H-TODAY()>=0,
        資格台帳!H2:H-TODAY()<=90)

なぜ90日なのか。介護支援専門員証の更新研修は都道府県が実施回数を限っており、申込期限が研修日のかなり前に設定されます。30日前に気づいても間に合わないことがあります。90日と180日の2段階にしておくと、申込に間に合います。

6-3. 年間法定研修カレンダー(記入式)

回数は自事業所に適用される運営基準で確認してから埋めてください。空欄のテンプレートとして使ってください。

【年間計画】○年度

4月  ┃ 新入職員:認知症介護基礎研修の受講対象判定(無資格の直接処遇職員を抽出)
     ┃ 年度の法定研修計画を作成・委員会で承認
5月  ┃ 
6月  ┃ 感染症対策 研修 第____回(実施日:____ 対象:____名)
7月  ┃ 高齢者虐待防止 研修(実施日:____ 対象:____名)
8月  ┃ 業務継続計画(BCP) 研修 第____回(実施日:____ 対象:____名)
9月  ┃ 身体的拘束等の適正化 研修(実施日:____ 対象:____名)
10月 ┃ 感染症対策 訓練(シミュレーション)(実施日:____)
11月 ┃ 資格台帳の棚卸し(全職員の証跡コピー有無を確認)
12月 ┃ 業務継続計画(BCP) 訓練(シミュレーション)(実施日:____)
1月  ┃ 感染症対策 研修 第____回(実施日:____ 対象:____名)
2月  ┃ 業務継続計画(BCP) 研修 第____回/BCPの見直し
3月  ┃ 未受講者のフォロー完了確認/次年度計画の骨子作成
     ┃ 認知症介護基礎研修:年度内入職者の受講完了確認

【通年】
・介護支援専門員証:有効期限90日前/180日前にアラート確認(月1回)
・喀痰吸引等:対象利用者の変更時に実施可能範囲を再確認
・新規採用時:入職後____日以内に感染症対策・虐待防止・身体拘束の研修を実施

11月の「資格台帳の棚卸し」を必ず入れてください。実地指導で最も指摘されやすいのは、台帳の記載ではなく証跡(修了証のコピー)が施設に無いことです。年1回、全職員分のK列(施設にコピーがあるか)をY/Nで埋め直す作業を固定化します。


7. 導入手順を全部書く

出し惜しみせずに書きます。ステップ1〜4はツールを買わなくてもできます。むしろ先にやらないと、どのツールを買っても同じ場所で詰まります。

ステップ1:対象者を確定する(所要1時間)

シート1(職員マスタ)を作ります。J列(直接処遇職員か)とK列(医療・福祉関係資格の保有)を必ず埋めてください。この2列で認知症介護基礎研修の受講対象者が機械的に決まります。

判定はこうなります。

J列 = Y かつ K列 = N  →  認知症介護基礎研修の受講対象
J列 = Y かつ K列 = Y  →  対象外
J列 = N               →  対象外

「うちは全員有資格だから対象者ゼロ」と思い込んでいる施設ほど、送迎専任や補助業務のパートが漏れています。

ステップ2:証跡を集める(所要:職員数×10分)

シート2を作りながら、修了証・登録証のコピーを集めます。ここが一番時間がかかります。本人が原本を家に置いているケースが多いので、次の文面で一斉に依頼するのが早いです。

【依頼文テンプレート】

件名:資格・研修修了証のご提出のお願い(○月○日まで)

各位

実地指導および加算算定の根拠書類として、下記の証明書の写しを提出してください。
スマートフォンで撮影した画像でも構いません。

【提出いただくもの(お持ちのものすべて)】
・介護福祉士登録証
・介護福祉士実務者研修 修了証明書
・介護職員初任者研修 修了証明書
・認知症介護基礎研修 修了証
・認知症介護実践者研修 修了証
・喀痰吸引等研修 修了証/認定特定行為業務従事者認定証
・介護支援専門員証(有効期限が記載された面)
・看護師/准看護師/理学療法士 等の免許証
・その他、業務に関係する資格の証明書

【提出方法】○○○○
【期限】○月○日
【注意】原本はご自身で保管してください。提出は写しのみで結構です。
氏名が変わっている方は、旧姓の証明書もあわせてご提出ください。

ステップ3:期限を入れて色を付ける(所要30分)

第6章の数式を貼ります。この時点で、すでに期限切れが1〜2件見つかることが多いです。

ステップ4:月1回、5分の確認を固定する(継続)

毎月1日に、90日以内アラートのフィルタを見るだけです。会議を開く必要はありません。カレンダーに繰り返し予定を入れて終わりです。

ステップ5:ここだけツールで飛ばす

Excel運用を続けると、必ず次の3つで詰まります。

  • 同時に触れません。管理者が開いていると他の人が編集できません。事業所が複数あると破綻します

  • 誰が何を変えたか分かりません。期限を書き換えた履歴が残りません

  • 本人に見せられません。個人情報が1シートに集まっているので、本人に自分の欄だけ確認させることができません

この3点だけが、システムで飛ばせる工程です。逆に言うと、ステップ1〜4を飛ばしてシステムを買っても、入れるデータがないので空箱になります。順番を守ってください。

ステップ6:デモで必ず聞く7項目

見積制の製品が多いので、問い合わせ時にこれを聞きます。

1. 資格ごとに有効期限を持てるか。持てる場合、期限の何日前に、誰に、どうやって通知が飛ぶか(画面/メール/チャット)
2. 1人が同じ種類の資格を複数持つ場合(喀痰吸引の複数行為など)、行を分けて管理できるか
3. 修了証のPDF・画像を職員レコードに添付できるか。容量上限は何MBか
4. 事業所が複数ある場合、事業所ごとに閲覧権限を分けられるか
5. 職員本人に自分の情報だけを見せる/更新させることができるか
6. 資格保有者の一覧をCSVで出せるか。出力項目は選べるか
7. 最低契約人数・最低契約期間・初期費用・解約時のデータ返却方法

5番と7番を聞かない会社が多いです。特に7番の「解約時のデータ返却」は、乗り換えのときに効きます。


8. システムでは解決しない部分

正直に書きます。

8-1. 制度の解釈は製品が保証しない

「このシステムを入れれば運営基準を満たす」という製品はありません。研修の回数、対象者の範囲、記録の保存年限は、指定権者の解釈で運用が決まる部分があります。都道府県・市町村の集団指導資料を読み、判断に迷う点は指定権者の担当課または社会保険労務士・行政書士等の専門家に確認してください。この記事も、その代わりにはなりません。

8-2. 「入力する人」を決めないと止まる

資格台帳は年に数回しか動きません。だからこそ担当者が決まっていないと誰も触りません。推奨は、事務職員1名を主担当、管理者を副担当にして、月1回の確認をシフト表に業務として書き込むことです。「気づいた人が入れる」は必ず止まります。

8-3. 個人情報の扱いを先に決める

資格情報は、氏名・生年月日・登録番号と紐づく個人情報です。次を決めてから運用を始めます。

  • 誰が閲覧できるか(管理者のみか、事業所長までか)

  • 修了証のスキャンデータをどこに置くか。クラウドの場合は保存先の所在

  • 退職者のデータをいつまで保持し、いつ削除するか

  • 本人からの開示請求にどう対応するか

保存年限と削除の判断は、労働関係法令上の書類保存義務や介護保険法上の記録保存義務と関係します。自事業所の規程との整合は社会保険労務士等の専門家に確認してください。

8-4. 資格があることと、できることは違う

台帳が完璧でも、現場の力量は測れません。喀痰吸引の認定を持っていても、しばらく実施していなければ手技は鈍ります。認定の有無と、直近の実施実績を別に管理する必要がある事業所もあります。ここは台帳ではなく、OJTと看護職との連携の話になります。


9. FAQ

Q1. 介護福祉士に更新は必要か。

介護福祉士は登録制で、資格そのものに更新の仕組みはありません。ただし氏名や本籍地の都道府県が変わったときは登録事項の変更手続きが必要になります。改姓した職員の登録証と現姓が一致しないまま放置されているケースは実際にあります。台帳のF列(登録番号)とB列(氏名)を突き合わせるときに気づきます。手続きの詳細は公益財団法人社会福祉振興・試験センターの案内で確認してください。

Q2. ケアマネの更新制が廃止されるなら、期限管理はもう不要か。

不要にはなりません。「社会福祉法等の一部を改正する法律案」は令和8年4月3日に提出され成立しており、介護支援専門員の資格に係る更新制の廃止が含まれます。厚生労働省系の法案概要資料では施行期日は原則令和9年4月1日とされています。ただし具体的な施行日や経過措置は政省令に委ねられる部分があり、現に有効期間を持つ証の扱いは都道府県の案内で確認する必要があります。また同資料は、事業者に対して「従事するケアマネジャーが研修を受けるための必要な措置を講ずる義務」を課すとしています。管理対象が「証の期限」から「研修の受講状況」に移るだけで、事業者の管理責任はむしろ増えます。第6章のシート2に「次回更新の起点日」列を入れているのは、この移行に備えるためです。

Q3. 認知症介護基礎研修は誰が受けるのか。

厚生労働省の令和3年度介護報酬改定資料では、義務の対象は「介護に直接携わる職員のうち、医療・福祉関係の資格を有さない者」とされています。経過措置は3年(新入職員は1年の猶予期間)で、すでに終了しています。研修は原則eラーニング形式で実施すると定められました(介護保険最新情報Vol.1224)。実施主体は都道府県なので、受講料と申込方法は自治体のページで確認してください。無料で提供している自治体もあります。

Q4. 喀痰吸引の認定証に有効期限はあるのか。

確認した都道府県の公表資料からは、認定特定行為業務従事者認定証に有効期限がある旨の記載は見つけられませんでした。ただし第3号研修は特定の対象者に限定されるため、対象利用者が変われば実施できる範囲が変わります。また、実施には事業所が登録特定行為事業者・登録喀痰吸引等事業者として登録している必要があります(京都府の公表資料による)。認定証の有効期限の有無、事業所登録の更新要否は、必ず所轄の都道府県担当課に確認してください。

Q5. 職員30名の施設にシステムは必要か。

必要ない場合が多いです。30名なら資格台帳は多くても150行程度で、Excelの条件付き書式で十分に回ります。システムが要るのは、事業所が複数あって同時に触りたい場合、変更履歴を残す必要がある場合、本人に自分の情報を確認させたい場合の3つです。逆に、この3つのどれかに該当するなら30名でも入れる価値があります。

Q6. 介護ソフト(カイポケ等)で職員の資格管理までできないのか。

カイポケの料金ページ(2026年8月5日確認)からは、職員の資格管理・研修履歴管理機能の記載を確認できませんでした。介護ソフトは利用者の記録と介護報酬請求が主軸で、職員側は請求に必要な範囲(常勤換算、加算に関わる配置)に限られる設計が一般的です。ただし機能は改訂されるので、契約中のベンダーには直接確認したほうがいいです。「請求に必要な職員情報」と「資格台帳」は別物だという前提で聞くと話が早いです。

Q7. 実地指導で実際に見られるのはどこか。

指定権者によって運用が異なるため断定はしません。ただし、台帳の体裁より「証跡が実在するか」が確認される場面が多いです。第6章のシート2にK列(施設にコピーがあるか)を設けているのはそのためです。詳細は指定権者が配布している集団指導資料・自己点検表で確認してください。


10. まとめと、選ぶ条件

介護施設の資格管理に専用システムはありません。だから「どのシステムを買うか」より先に、「何を管理対象にするか」を決めるほうが効きます。

  • 職員30名以下・期限のある資格の保有者なし → Excel台帳のみです。第6章の列定義をそのまま使います

  • 職員30名以下・ケアマネなど期限のある資格あり → Excel台帳+条件付き書式+月1回5分の確認

  • 事業所が複数、または変更履歴を残したい → 名簿型のシステムに台帳を移します

  • 法定研修の受講管理まで一元化したい → 研修運用型(eラーニング寄り)を軸にします

  • 勤怠や介護ソフトを入れ替える予定がある → 介護特化型で職員マスタを共通化します

「事業所が複数あって資格台帳を同時に触りたい」「変更履歴を残したい」「本人に自分の情報を確認させたい」という条件で、かつ月額を1万円以内に収めたいなら、ドヤHR(当社サービス)が候補になります。ただし正直に書くと、資格の有効期限アラート機能があるかどうかは公式ページから確認できませんでした。無料版で実際に資格項目を作り、期限が近づいたときの挙動を確かめてから判断してください。統一プランは月9,980円(税込)で、勤怠管理を含む全14サービスが同じ料金に含まれます。

→ ドヤHR:https://doya-ai.surisuta.jp/hr/dashboard


本記事の確認状況について(正直に書いておきます)

  • 制度の記述は、厚生労働省・内閣法制局・都道府県(大阪府・京都府)の公表資料で2026年8月5日に確認しました

  • 法定研修(感染症対策・BCP・虐待防止・身体拘束適正化)の年間実施回数は、サービス種別ごとの運営基準・解釈通知の条文単位で確認できなかったため本文に回数を書いていません。自事業所に適用される回数は指定権者の資料で確認してください

  • 認定特定行為業務従事者認定証の有効期限の有無は、確認した都道府県資料から判断できませんでした

  • 介護支援専門員の更新制廃止について、改正法の具体的な施行日・経過措置の詳細は政省令に委ねられる部分があり確認できませんでした

  • CWS for Care・ヒトコラボは、公式サイトの内容を取得できず料金・機能を確認できなかったため、比較表に「確認できなかった」と明記しました

  • カオナビ・タレントパレット・HRBrain・スマカン・SmartHRは公式サイトで料金非公開のため金額を記載していません

  • 令和8年度介護報酬改定の個別加算要件は本記事では扱っていません

制度も料金も変わります。個別の判断は所轄の都道府県・市町村の担当課、または

社会保険労務士等の専門家に確認してください。

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この記事の著者

Katsuki.Mitsumori

三森 捷暉(みつもり かつき)

著者プロフィールはこちらから↓
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ドヤマーケ運営・ドヤAI開発者|株式会社スリスタ 代表

ドヤマーケの運営者であり、AIツール群「ドヤAI」の開発者です。専門はBtoBマーケティング、SEO、コンテンツマーケティング、生成AI活用。
2021年、新卒第1号として株式会社Piece to Peace(CarryMe)に入社し、広報・マーケティング・デザイン・コンテンツ制作を横断的に担当。SEO記事、比較記事、ホワイトペーパー、ウェビナー、広告施策を組み合わせた商談創出の仕組み化を推進してきました。

その後、株式会社スリスタ(設立:2025年3月14日/代表:三森 捷暉)を設立。
現在はスリスタにて、オウンドメディア「ドヤマーケ」を運営しながら、記事作成・バナー・スライド・営業リストなどのマーケティング業務をAIで進める「ドヤAI」を開発しています。

スリスタでは、SEO記事制作、比較記事、一次情報設計、バナー制作、構成案作成といったマーケティング業務を、ユーザーが「選ぶだけ」「スワイプするだけ」で進められる設計思想をもとに、AIツールとして実務レベルで実装。
マーケティングを「1人でも回せる状態」にするための仕組みづくりを行っています。

YouTubeでは、AI活用の実務を発信する「【ドヤAI】ミツモリ」と、世の中のSaaSをAIで実際に作ってみる「SaaSは死にましぇん【AI開発】」を運営しています。
ウェビナー・登壇実績
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