AI・マーケトレンド

デジタル化・AI導入補助金2026|変更点と申請の勘所

最終更新日:2026年8月5日

この記事の更新方針について 本記事は、中小企業基盤整備機構(中小機構)および中小企業庁が公表する一次情報のみを根拠に作成しています。制度変更・公募要領の改訂・締切スケジュールの追加公表があった場合、その都度内容を更新し、本記事冒頭の最終更新日を書き換えます。数値の出典はすべて本文中に公式URLで明示しています。


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ドヤ見積もりAIを詳しく見る結論:名称変更だけではない。2回目以降の申請に賃上げ

要件が追加された

「IT導入補助金」は2026年から「デジタル化・AI導入補助金2026」に改称されました。補助率と補助上限額は2025年から据え置きです。ただしIT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者には、賃上げに関する申請要件が新たに追加されました。直近の締切は2026年8月25日(火)17:00(4次締切分)。GビズIDプライムの発行に約2週間かかるため、未取得なら今日中に着手すべきです。


1. IT導入補助金2025 → デジタル化・AI導入補助金2026 の変更点対照表

まず、何が変わって何が変わっていないのかを正確に切り分けます。多くの解説記事が「AI補助金になった」と書いていますが、AI専用の申請枠が新設された事実はありません。

項目

IT導入補助金2025

デジタル化・AI導入補助金2026

変更

補助金名称

IT導入補助金2025

デジタル化・AI導入補助金2026

変更

根拠事業名

サービス等生産性向上IT導入支援事業

中小企業デジタル化・AI導入支援事業

変更

申請枠の数

5枠

5枠

据え置き

枠名

複数社連携IT導入枠

複数者連携デジタル化・AI導入枠

名称変更

通常枠の補助率

1/2以内(最低賃金近傍は2/3以内)

1/2以内(最低賃金近傍は2/3以内)

据え置き

通常枠の補助額

5万円〜150万円未満/150万円〜450万円以下

5万円〜150万円未満/150万円〜450万円以下

据え置き

インボイス枠(インボイス対応類型)

〜350万円、3/4・4/5・2/3以内

〜350万円、3/4・4/5・2/3以内

据え置き

セキュリティ対策推進枠

5〜150万円、1/2・2/3以内

5〜150万円、1/2・2/3以内

据え置き

賃上げ要件の対象

150万円以上の申請者のみ(小規模事業者は適用外)

150万円以上の申請者+過去交付決定を受けた事業者は150万円未満でも必須

拡大

賃上げの指標

給与支給総額(役員報酬を含む)

1人当たり給与支給総額(非常勤を含む全従業員、役員報酬は除く)

変更

賃上げ率(150万円以上)

給与支給総額の年平均成長率1.5%以上

1人当たり給与支給総額の年平均成長率3%以上(日銀「物価安定の目標」+1%)

引き上げ

賃上げ率(過去交付決定者)

規定なし

年平均成長率3.5%以上(物価安定の目標+1.5%)

新設

事業計画の期間

3年間

交付申請時点の翌事業年度以降3年間

明確化

AIの扱い

規定なし

ITツール登録時にAI搭載の申告が必要、ITツール検索で絞り込み可能

新設

GビズIDプライム

必須

必須

据え置き

SECURITY ACTION

必須(★一つ星または★★二つ星)

必須(★一つ星または★★二つ星)

据え置き

変更点1:名称変更の狙いは「AIの活用」の周知

中小機構は名称変更の理由を明示しています。「中小企業・小規模事業者における生産性向上の実現に向け、ITツールの導入にとどまらず、より踏み込んだデジタル化の推進及びAIの活用が重要であることを広く周知する観点から」変更した、というのが公式の説明です(デジタル化・AI導入補助金2026の概要について)。

実務上の注意点が1つあります。申請マイページ、IT事業者ポータル、構成員ポータル、事務局から届くメールの一部には、旧名称「IT導入補助金」が引き続き表示されます。 事務局はシステム改修を順次進めていますが、改修完了までは新名称に読み替えて対応するよう案内しています。旧名称が出てきても不正やなりすましではありません。

変更点2:2回目以降の申請に賃上げ要件が追加された

これが2026年最大の実務インパクトです。

IT導入補助金2022からIT導入補助金2025までの間に交付決定を受けた事業者は、補助金申請額が150万円未満であっても、以下をすべて満たす3年間の事業計画を策定・実行することが申請要件になりました。

  1. 事業計画期間において、1人当たり給与支給総額(非常勤を含む全従業員)の年平均成長率を3.5パーセント(日本銀行が定める「物価安定の目標」+1.5パーセント)以上向上させること

  2. 交付申請時点で、上記の賃金引上げ計画を従業員に表明していること

2025年までは、150万円未満の申請において賃上げは「加点項目」に過ぎませんでした。2026年からは、過去に採択された事業者にとって必須要件に格上げされています。

さらに厳しいのは罰則です。公募要領には「策定した賃金引上げ計画目標が事業計画終了時点で達成できなかった場合(事務局へ期間内に報告をしなかった場合も含む)は、補助金の返還を求める」と明記されています。事業場内最低賃金の目標が1年度目で未達なら全額返還、2年度目で未達なら2/3返還、3年度目で未達なら1/3返還という返還率まで具体例つきで示されています(通常枠 公募要領 【補足1】)。

「一度もらったから今年ももらおう」という感覚で申請すると、3年後に返還請求を受ける可能性があります。2回目以降の申請は、賃上げ計画を経営計画として本気で作れるかどうかで判断してください。

変更点3:賃上げの指標そのものが変わった

見落とされがちですが、指標の定義が変わっています。

  • 2025年:給与支給総額(全従業員および役員に支払った給与等。役員報酬を含む)

  • 2026年:1人当たり給与支給総額(非常勤を含む全従業員。役員報酬、福利厚生費、法定福利費、退職金は除く

2026年版は「給与支給総額を従業員数で除したもの」と定義されています。役員報酬を上げて要件を満たすという抜け道は塞がれました。加えて、パートタイム従業員は正社員の就業時間に換算して人数を算出する必要があります。

なお、2025年の公募要領では小規模事業者が賃上げ要件の適用外に明記されていましたが、2026年の適用外リストに小規模事業者の記載はありません。2026年の適用外は、保険医療機関・保険薬局、介護サービス事業者、社会福祉事業・更生保護事業を行う事業者、学校教育法に基づく学校等の4区分です。自社が小規模事業者に該当する場合は、必ず交付規程および事務局に直接確認してください。


2. 申請枠ごとの補助率・補助上限額

デジタル化・AI導入補助金2026には5つの申請枠があります。以下はすべて公式サイトの各枠ページに記載された数値です。

通常枠

自社の課題に合ったITツールを導入し、労働生産性の向上を図る枠です。

項目

内容

補助率

1/2以内(最低賃金近傍の事業者は2/3以内)

補助額(1プロセス以上)

5万円以上150万円未満

補助額(4プロセス以上)

150万円以上450万円以下

補助対象経費

ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、機能拡張・データ連携ツール・セキュリティ、導入/活用コンサルティング、導入設定・マニュアル作成・導入研修、保守サポート

補助率2/3以内が適用されるのは、令和6年10月から令和7年9月までの間で3か月以上、令和7年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上である場合です。適用を受けるには「賃金状況報告シート」の提出が別途必要です。

プロセス数の要件は厳格です。 申請するソフトウェアは、共通プロセス(共P-01〜共P-05)または業種特化型プロセス(各業種P-06)を1種類以上保有していなければなりません。汎用プロセス(汎P-07)のみのツールは単独では申請できません。ここは後述する生成AIの話に直結します。

出典:通常枠|デジタル化・AI導入補助金2026

インボイス枠(インボイス対応類型)

補助対象

補助率

補助上限額

ソフトウェア(50万円以下部分)

3/4以内(小規模事業者は4/5以内)

ソフトウェア(50万円超〜350万円以下部分)

2/3以内

350万円

PC・タブレット等

1/2以内

10万円

レジ・券売機等

1/2以内

20万円

機能要件は、補助額50万円以下なら「会計」「受発注」「決済」のうち1機能以上、50万円超なら2機能以上です。ハードウェアのみの申請はできません。ソフトウェアの使用に資するハードウェアであることが条件です。

出典:インボイス枠(インボイス対応類型)

インボイス枠(電子取引類型)

項目

内容

補助率

中小企業・小規模事業者等:2/3以内/その他の事業者等:1/2以内

補助額

下限なし〜350万円以下

発注側の事業者が受発注ソフトを導入し、取引先である受注側の中小企業・小規模事業者にアカウントを無償で発行する場合が対象です。大企業も申請できる唯一の枠ですが、補助率は1/2以内になります。

出典:インボイス枠(電子取引類型)

セキュリティ対策推進枠

項目

内容

補助率

中小企業:1/2以内/小規模事業者:2/3以内

補助額

5万円〜150万円

補助対象

サービス利用料(最大2年分)

対象は、IPAが公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのうち、IT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に登録されたものに限られます。リストに載っていても事務局登録がなければ対象外です。

出典:セキュリティ対策推進枠

複数者連携デジタル化・AI導入枠

補助対象経費

補助率

補助上限額

基盤導入経費(ソフトウェア50万円以下部分)

3/4以内(小規模事業者は4/5以内)

50万円(1構成員当たり)

基盤導入経費(ソフトウェア50万円超〜350万円部分)

2/3以内

350万円(1構成員当たり)

基盤導入経費(PC・タブレット等)

1/2以内

10万円(1構成員当たり)

基盤導入経費(レジ・券売機等)

1/2以内

20万円(1構成員当たり)

消費動向等分析経費

2/3以内

50万円(1構成員当たり)

その他経費(事務費・専門家費)

2/3以内

200万円

基盤導入経費と消費動向等分析経費の合計上限は3,000万円、グループ全体の補助上限額も3,000万円です。その他経費の上限は「(基盤導入経費+消費動向等分析経費)×10%×2/3」または200万円のいずれか低い額です。

商店街振興組合、商工会議所、商工会、事業協同組合、まちづくり会社、観光地域づくり法人(DMO)、複数の中小企業で形成するコンソーシアムが対象です。申請フローが他枠と異なるため、専用の公募要領の確認が必須です。

出典:複数者連携デジタル化・AI導入枠


3. 生成AIツールは補助対象になるのか

読者が最も知りたいのはここでしょう。結論から書きます。

結論:AIは「対象になる」が、AI専用枠も加算もない

3つの事実を押さえてください。

事実1:公募要領はAIをITツールの定義に含めています。 通常枠の公募要領は、ITツールを「IT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に登録された中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上に資するソフトウェア(AIを含む。以下同じ。)・オプション・役務・ハードウェアの総称」と定義しています。AIを使ったソフトウェアであることは、それだけでは何の障害にもなりません。

事実2:AI搭載は「申告事項」であって「優遇事項」ではありません。 「ITツール登録要領」の第5項「AIを用いた機能が搭載されたツールの導入に関する留意事項」には、次のように書かれています。

AIを用いた機能を搭載したソフトウェアの場合は、ITツールの登録申請時にその旨を申告すること。ホームページ(ITツール検索画面等)において、AIを用いた機能を搭載している旨が表示される。 (ア)生成AI:文章、画像、プログラム等を生成できるAIモデルに基づくAI (イ)生成AI以外のAI技術:上記以外のAIモデル(分類・分析・判断・予測等を行うAIモデル)に基づくAI

つまり、生成AIは公式に定義され、区分されています。 ただしこの申告によって補助率が上がったり上限額が増えたりする規定は、公募要領・ITツール登録要領のいずれにも存在しません。AI搭載はITツール検索でのラベル表示と絞り込みのための情報であり、補助条件の優遇ではありません。

事実3:ハードルは「AIかどうか」ではなく「業務プロセスを持つか」。 通常枠で申請できるのは、共通プロセス(共P-01〜共P-05)または業種特化型プロセス(各業種P-06)を1種類以上保有するソフトウェアです。そして汎用プロセス(汎P-07)の定義に含まれるのは、文書作成ソフト、OCR、PDF、ペーパーレス化ツール、グループウェア、社内チャットツール、WEB会議システム、オンラインストレージ、そしてRPA・チャットボットシステムです。

公募要領には「『汎用プロセス』のみを保有するITツールは、単独では交付申請不可だが、共P-01〜各業種P-06と組み合わせて交付申請することで、1プロセスとしてカウントされ交付申請が可能となる」と明記されています。

この構造を汎用の生成AIチャットツールに当てはめると、単独申請は極めて厳しいと読むのが自然です。文章生成のみを行う汎用ツールは、顧客対応・販売支援や会計・財務・経営といった特定の業務プロセスを保有しているとは言いにくいためです。

実務上の判断基準

対象になりやすいのは、業務プロセスを持つ基幹システムやSaaSに、AI機能が組み込まれているケースです。公募要領の別紙2には、AIを用いた機能の具体例が業務プロセスの中に散りばめられています。

  • 共P-01(顧客対応・販売支援):AIトラッキング機能、AI顧客分析、消費者行動解析

  • 共P-05(総務・人事等):ストレスリスクの自動検知、BI・分析/解析専門ツール(需要予測に活用するもの)

  • 建設・土木業(建P-06):点群データ解析、3Dモデル作成、ドローンマッピング

  • 医療業(医P-06):顔認証画像解析による対象者状態管理

  • 小売業・卸売業(小P-06・卸P-06):売れ筋商品分析、販促予測

つまり、「AI搭載の顧客管理システム」「AIによる需要予測機能を持つ在庫管理システム」は通り、「汎用の生成AIチャットの月額利用料だけ」は通りにくい、というのが一次情報から読み取れる構造です。

必ず確認すべき2点

  1. 導入したいツールが事務局に登録されているか。 ITツール検索で確認してください。どれだけ優れたAIツールでも、IT導入支援事業者が登録していなければ補助対象になりません。検索画面の絞り込みオプションからAI搭載ツールの絞り込みが可能です。

  2. 無償提供のツールは対象外。 公募要領は補助対象外経費として「対外的に無償で提供されているもの」を明記しています。無料プランのある生成AIサービスの扱いは、個別に事務局へ確認してください。

なお、特定の生成AIサービス(ChatGPT、Claude、Gemini等)が登録されているかどうかは、登録状況が随時更新されるため本記事では断定しません。必ずITツール検索で最新の登録状況を確認してください。


4. 申請の流れ

STEP

実施内容

実施者

所要の目安

1

公募要領・交付規程を読み、事業を理解します

申請者

2

GビズIDプライムを取得します

申請者

おおむね2週間

3

SECURITY ACTIONを宣言します(★一つ星または★★二つ星)

申請者

おおむね2〜3日

4

IT導入支援事業者とITツールを選定します(契約ではありません)

申請者

5

IT導入支援事業者から「申請マイページ」に招待されます

IT導入支援事業者

6

申請マイページを開設し、申請者基本情報を入力します

申請者

7

必要情報の入力・書類添付を行います

申請者

8

IT導入支援事業者がITツール情報・事業計画値を入力します

IT導入支援事業者

9

最終確認・宣誓のうえ事務局へ提出します

申請者

10

交付決定通知を受けます

事務局

締切から約6週間

11

ITツールを契約・導入し、代金を支払います

補助事業者

交付決定後

12

実績報告を提出します

補助事業者

2027年3月31日17:00まで

13

効果報告を提出します(3年間)

補助事業者

交付後

この順序を守らないと補助金は出ません。 交付決定前に購入したITツールは補助対象外です。「先に契約してから申請する」は絶対に不可です。

2026年のスケジュール(公表済み分)

項目

日付

IT導入支援事業者・ITツールの事前登録受付開始

2026年1月30日(金)10:00

IT導入支援事業者・ITツール登録申請受付開始

2026年3月30日(月)10:00

交付申請受付開始

2026年3月30日(月)10:00

4次締切分 締切日(通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠)

2026年8月25日(火)17:00

2次締切分 締切日(複数者連携デジタル化・AI導入枠)

2026年8月25日(火)17:00

交付決定日

2026年10月7日(水)(予定)

事業実施期間

交付決定〜2027年3月31日(水)17:00(予定)

事業実績報告期限

2027年3月31日(水)17:00(予定)

5次締切分・6次締切分の締切日は、2026年8月5日時点で未公表です。 事務局は「確定している募集回のスケジュールのみ公表しております」としています。最新の締切は事業スケジュールで確認してください。

締切時刻は17:00です。事務局は「締切時間を過ぎた場合は、いかなる理由であっても受付対応は一切いたしかねます」と明記しています。締切直前は申請マイページへのアクセスが集中し、画面遷移やSMS認証に通常より時間がかかります。


5. 実務でつまずく点

一次情報を読み込んだうえで、実際に申請を止めてしまう箇所を整理します。

つまずき1:GビズIDプライムの発行に約2週間かかる

公式サイトは「GビズIDプライム発行までの期間は、おおむね2週間となっております」と明記しています。8月25日の締切に間に合わせるには、すでに残り日数が足りない可能性があります。 未取得の事業者は、次回締切を前提に今すぐGビズIDから申請してください。

つまずき2:SECURITY ACTIONの宣言済アカウントID発行に2〜3日かかる

交付申請の作成時に、SECURITY ACTIONの宣言済アカウントIDの入力が必要です。発行までおおむね2〜3日。GビズIDと並行して進めてください。なお、第2回公募以降は、2026年4月より運用開始のSECURITY ACTION管理システムにおいて「★一つ星」または「★★二つ星」の宣言を行っている場合に申請可能とされています。

つまずき3:ITツールが登録されていない

補助対象経費は「IT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用」に限定されます。自社が使いたいツールのベンダーがIT導入支援事業者になっていなければ、そのツールでは申請できません。ここは交渉の余地がありません。

つまずき4:必要書類の要件が細かい

区分

必要書類

法人

履歴事項全部証明書(発行から3か月以内)/直近分の法人税の納税証明書(その1またはその2)/直近分の貸借対照表および損益計算書

個人事業主

運転免許証・運転経歴証明書もしくは住民票(発行から3か月以内)/直近分の所得税の納税証明書(その1またはその2)/税務署が受領した直近分の確定申告書の控え/所得税の青色申告決算書または収支内訳書

公募要領は「代替書類は一切認められない」と断言しています。納税証明書は納税した領収書では不可。確定申告書は令和7年(2025年)分が原則で、税務署の受付番号と受付日時の印字、または受信通知(メール詳細)の添付が必要です。税理士の印のみが押印された書類は適切な添付資料として扱われません。

つまずき5:前年に採択されていると12か月間申請できない

IT導入補助金2025の通常枠および複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者(グループ構成員を含む)は、交付決定日から12か月以内はデジタル化・AI導入補助金2026の通常枠で申請できません。 インボイス枠やセキュリティ対策推進枠との併願は可能ですが、通常枠は待つ必要があります。

つまずき6:申請は1法人・1個人事業主あたり1回のみ

通常枠の申請回数は1回のみで、同時に複数の交付申請はできません。事務局から再提出を指示された場合を除き、一度提出した交付申請は結果公表まで取り下げできません。不採択となった場合は次回以降の締切に再申請できます。

補助対象外となる経費

公募要領が明示する対象外経費は以下のとおりです。

  • 補助事業者の顧客が実質負担する費用がITツール代金に含まれるもの

  • 交通費、宿泊費

  • 補助金申請、報告に係る申請代行費

  • 公租公課(消費税)

  • 交付申請時においてITツールの利用金額が定められないもの

  • 対外的に無償で提供されているもの

  • リース・レンタル契約のITツール(サイバーセキュリティお助け隊サービスを除く)

  • 中古品

  • 交付決定前に購入したITツール


6. 「そもそも自社は対象か」判定チェックリスト

採択されやすい書き方を語る記事は無数にありますが、その前に自社が土俵に乗っているかを確認すべきです。以下は公募要領の申請要件・対象外要件から作成した判定リストです。すべてに「はい」と答えられなければ、申請準備を始める前に事務局へ確認してください。

A. 規模要件(いずれか一方を満たせば可)

業種分類

資本金

常時使用する従業員

製造業(ゴム製品製造業を除く)、建設業、運輸業

3億円以下

300人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)

5,000万円以下

100人以下

小売業

5,000万円以下

50人以下

ゴム製品製造業(一部除く)

3億円以下

900人以下

ソフトウェア業または情報処理サービス業

3億円以下

300人以下

旅館業

5,000万円以下

200人以下

その他の業種

3億円以下

300人以下

医療法人、社会福祉法人、学校法人

300人以下

商工会・都道府県商工会連合会・商工会議所

100人以下

小規模事業者の定義は、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)が従業員5人以下、宿泊業・娯楽業および製造業その他が20人以下です。

  • [ ] A-1 上表の資本金または従業員数のいずれかが該当します

  • [ ] A-2 直近過去3年分の各年(各事業年度)の課税所得の年平均額が15億円以下です

B. 事業実態の要件

  • [ ] B-1 日本国内で法人登記され、法人番号公表サイトに公表されています(法人の場合)

  • [ ] B-2 日本国内に本社および補助事業の実施場所があります

  • [ ] B-3 交付申請の直近月において、事業場内の最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上です

  • [ ] B-4 履歴事項全部証明書、納税証明書、決算書がすぐに用意できます

C. 除外要件(1つでも該当したら申請不可)

  • [ ] C-1 発行済株式の1/2以上を同一の大企業が所有していません

  • [ ] C-2 発行済株式の2/3以上を大企業が所有していません

  • [ ] C-3 大企業の役員・職員を兼ねる者が役員総数の1/2以上を占めていません

  • [ ] C-4 みなし同一法人(親会社が議決権50%超を持つ子会社、同一個人が議決権50%超を持つ複数法人、代表者および住所が同じ法人など)に該当しない、または該当グループ内で他社が申請していません

  • [ ] C-5 本補助金のIT導入支援事業者(構成員を含む)として登録していない、登録予定もありません

  • [ ] C-6 経済産業省または中小機構から補助金交付等停止措置・指名停止措置を受けていません

  • [ ] C-7 風営法第2条各項に規定する営業を営んでいません(旅館業法の許可を受けた旅館業を除く)

  • [ ] C-8 過去1年において労働関係法令違反により送検処分を受けていません

  • [ ] C-9 宗教法人ではありません

  • [ ] C-10 法人格のない任意団体(同窓会、PTA、サークル等)ではありません

D. 手続き要件

  • [ ] D-1 GビズIDプライムを取得済み、または締切2週間以上前に申請できます

  • [ ] D-2 SECURITY ACTIONの★一つ星または★★二つ星を宣言済み、または締切3日以上前に宣言できます

  • [ ] D-3 申請者自身が管理する携帯電話番号を1つ登録できます(SMS認証に使用)

  • [ ] D-4 申請者自身が管理するメールアドレスを使用します(IT導入支援事業者が管理するアドレスは不可)

  • [ ] D-5 導入したいITツールがITツール検索で登録を確認できました

E. 賃上げ・計画要件

  • [ ] E-1 1年後に労働生産性を3%以上向上させる計画を立てられます(IT導入補助金2023の通常枠A・B類型、デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)、IT導入補助金2024・2025の通常枠または複数社連携IT導入枠の交付決定を受けた事業者は4%以上

  • [ ] E-2 労働生産性の年平均成長率を3%以上(上記該当者は4%以上)向上させる計画を立てられます

  • [ ] E-3 IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けている場合、1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上の計画を立て、従業員に表明できます

  • [ ] E-4 150万円以上を申請する場合、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にできます

  • [ ] E-5 3年間の効果報告を継続して提出できる体制があります

労働生産性の計算式は「(営業利益+人件費+減価償却費)÷年間の事業者当たり総労働時間」です。 この式で3%改善する具体的な道筋が描けないなら、通常枠の申請は再検討してください。


7. 参考データ:2026年の申請数と交付決定数

事務局が公表している実績です(更新日:2026年7月23日)。

交付決定日

締切

申請類型

申請数

交付決定数

2026年6月18日

1次締切分

通常枠

2,028

891

2026年6月18日

1次締切分

インボイス枠(インボイス対応類型)

4,324

2,027

2026年6月18日

1次締切分

インボイス枠(電子取引類型)

0

0

2026年6月18日

1次締切分

セキュリティ対策推進枠

88

64

2026年7月23日

1次締切分

複数者連携デジタル化・AI導入枠

2

1

2026年7月23日

2次締切分

通常枠

1,879

819

2026年7月23日

2次締切分

インボイス枠(インボイス対応類型)

3,790

2,096

2026年7月23日

2次締切分

インボイス枠(電子取引類型)

0

0

2026年7月23日

2次締切分

セキュリティ対策推進枠

28

20

この数字から読み取れることは3つです。

  1. 通常枠の交付決定率は4割強にとどまります。 1次締切分で約43.9%、2次締切分で約43.6%。半分以上が通らない前提で準備すべきです。

  2. セキュリティ対策推進枠は競争が緩いです。 1次締切分で約72.7%、2次締切分で約71.4%。申請数自体が二桁台です。サイバーセキュリティ対策を検討しているなら、狙い目の枠と言えます。

  3. インボイス枠(電子取引類型)は申請数ゼロが続いています。 発注側が受注側にアカウントを無償提供するという要件のハードルが高く、事実上機能していない枠です。

出典:交付決定事業者一覧・申請数および交付決定数

3次締切分・4次締切分の申請数と交付決定数は2026年8月5日時点で未公表です。


8. よくある質問

Q1. IT導入補助金2025で採択されました。2026年も申請できますか。

通常枠については、交付決定日から12か月以内は申請できません。 IT導入補助金2025の通常枠および複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者(グループ構成員を含む)が対象です。インボイス枠・セキュリティ対策推進枠との併願は可能です。

なお、2022〜2025年に交付決定を受けた事業者は、150万円未満の申請であっても賃上げ要件が必須になる点にも注意してください。

Q2. 生成AIの月額利用料は補助対象になりますか。

そのツールが事務局に登録されており、かつ業務プロセス(共P-01〜各業種P-06)を1種類以上保有していれば対象になり得ます。 文章生成だけを行う汎用ツールは、汎用プロセス(汎P-07)に分類される可能性が高く、単独での申請はできません。この場合、業務プロセスを持つソフトウェアと組み合わせることで1プロセスとしてカウントされます。

個別ツールの判定は事務局の審査事項です。必ずITツール検索で登録状況を確認し、判断に迷う場合はコールセンター(0570-666-376)に確認してください。

Q3. AI搭載ツールを選ぶと補助率が上がりますか。

上がりません。 ITツール登録要領は、AI搭載を「登録申請時の申告事項」と位置づけており、補助率や補助上限額の優遇規定は公募要領・ITツール登録要領のいずれにも存在しません。AI搭載の申告は、ITツール検索画面での表示と絞り込みに使われます。

Q4. GビズIDプライムはいつまでに申請すればよいですか。

締切の2週間以上前です。 公式サイトは「GビズIDプライム発行までの期間は、おおむね2週間」と案内しています。SECURITY ACTIONの宣言済アカウントID発行にも2〜3日かかるため、余裕を見て締切の3週間前には両方の手続きを開始してください。

Q5. 5次締切分はいつですか。

2026年8月5日時点で未公表です。 事務局は「確定している募集回のスケジュールのみ公表しております。以降のスケジュールは随時更新いたします」としています。通常枠は6次締切分まで、複数者連携枠は3次締切分まで枠が設けられていることが事業スケジュールのページ構成から確認できますが、日付は公表を待つ必要があります。

Q6. 交付決定前に契約や支払いをしてしまいました。対象になりますか。

なりません。 公募要領は補助対象外経費として「交付決定前に購入したITツール」を明記しています。交付決定通知を受けてから契約・導入・支払いを行ってください。

Q7. 賃上げ目標を達成できなかったらどうなりますか。

補助金の返還を求められます。 事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合、1年度目で未達なら全額、2年度目で未達なら2/3、3年度目で未達なら1/3の返還率が公募要領に具体例つきで示されています。ただし、付加価値額増加率が年平均成長率1.5%に達しない場合や、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合は返還を求められません。詳細は交付規程を確認し、判断に迷う場合は事務局に確認してください。

Q8. 申請代行を業者に依頼した費用は補助対象ですか。

対象外です。 公募要領は「補助金申請、報告に係る申請代行費」を補助対象外経費として明記しています。


引用・転載について

本記事の内容は、出典を明記のうえ自由にご引用いただけます。引用の際は「出典:ドヤマーケ(株式会社スリスタ)」の表記と本ページURLへのリンクをお願いいたします。

コピー&ペースト用のHTMLスニペットは以下のとおりです。

<p>出典:<a href="{{本ページのURL}}" target="_blank" rel="noopener">デジタル化・AI導入補助金2026 完全ガイド|IT導入補助金から何が変わったか</a>|ドヤマーケ(株式会社スリスタ)</p>

士業の先生方、コンサルタント、ITベンダーの皆さまが、クライアント向け資料や自社サイトで本記事の表・チェックリストをご活用いただくことを歓迎します。ただし、補助金の数値は制度改訂により変わります。転載される場合は、本記事の最終更新日を必ず併記してください。


補助金の対象になるかは要確認だが、月1万円以下で始める選択肢もある

ここまで読んで、「うちは通常枠の4プロセス要件も賃上げ要件も重い」と感じた方もいるはずです。

補助金は、3年間の賃上げ計画と効果報告をセットで引き受ける制度です。それに見合う投資規模でなければ、補助金を使わずに小さく始めたほうが早いこともあります。

ドヤマーケAIは、記事作成・画像生成・議事録・チャットボットなど14サービスを統一プラン月9,980円(税込)で使えるサービスです。本補助金の対象になるかどうかはITツール検索および事務局への確認が必要ですが、補助金の採否を待たずに今月から着手できる選択肢として検討してください。

ドヤマーケAI 統一プランを見る


本記事が参照した公式情報(一次情報)

すべて中小機構・中小企業庁・経済産業省・IPAの公式ページです。数値の確認は必ず以下の一次情報で行ってください。

事務局への問い合わせ先:0570-666-376(IP電話等からは050-3133-3272)、受付9時30分〜17時30分(土日祝・年末年始を除く)。本事業は独立行政法人中小企業基盤整備機構より採択され、同機構および中小企業庁監督のもとTOPPAN株式会社が事務局業務を運営しています。

本記事に記載した数値は2026年8月5日時点の公表内容です。制度は改訂される場合

があります。申請にあたっては必ず最新の公募要領・交付規程を確認してください。

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この記事の著者

Katuski.Mitsumori

三森 捷暉(みつもり かつき)

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BtoBマーケティング × SEO × AI活用 専門家|株式会社スリスタ 代表

BtoBマーケティング、SEO、コンテンツマーケティング、生成AI活用を専門とするマーケター/事業責任者です。
2021年、新卒第1号として株式会社Piece to Peace(CarryMe)に入社し、広報・マーケティング・デザイン・コンテンツ制作を横断的に担当。SEO記事、比較記事、ホワイトペーパー、ウェビナー、広告施策を組み合わせた商談創出の仕組み化を推進してきました。

その後、株式会社スリスタ(設立:2025年3月14日/代表:三森 捷暉)を設立。
現在はスリスタにて、AIを活用したマーケティング業務の自動化・省力化に注力しています。

スリスタでは、SEO記事制作、比較記事、一次情報設計、バナー制作、構成案作成といったマーケティング業務を、ユーザーが「選ぶだけ」「スワイプするだけ」で進められる設計思想をもとに、AIツールとして実務レベルで実装。
マーケティングを「1人でも回せる状態」にするための仕組みづくりを行っています。
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