AI・マーケトレンド
売上データの集計、アンケートの傾向分析、広告レポートの前月比較。エクセルと数時間にらめっこしていた作業は、いまはClaudeにファイルを渡して日本語で頼めば数分で下書きが返ってきます。関数もピボットテーブルも書けなくてよいため、「分析はできる人に頼む仕事」から「全員が自分でやる仕事」に変わりつつあります。
この記事では、ClaudeでExcel・CSVデータを分析する具体的な手順を解説します。ファイルの渡し方、集計・グラフ・示唆出しのプロンプト例、精度を大きく左右するデータ側の整え方、そして機密データを扱う際の注意点まで、業務でそのまま使える形でまとめました。
30秒で分かる結論
ClaudeはExcel/CSVを添付するだけで、集計・クロス分析・グラフ・示唆出しまで日本語の指示で実行できる
精度の8割はデータの渡し方で決まる。1行1レコード・列名を明確に・単位を書く、の3点が基本
頼み方は「集計→可視化→解釈」の3段階に分ける。一度に全部頼むと検証できない
数字の検算は必須。合計値など2〜3箇所を元データと突き合わせてから使う
顧客名や個人情報はマスキングしてから渡す。社内ルール化が前提
Claudeでできるデータ分析
2026年7月時点のClaudeは、ExcelやCSVファイルを添付すると、内容を読み取り、プログラム(Pythonなど)を内部で実行しながら次のような処理ができます。
集計:月別・担当者別・商品別の合計、平均、件数、前月比
クロス分析:「業種×受注率」「流入経路×商談化率」のような2軸の掛け合わせ
可視化:棒グラフ、折れ線、円グラフなどの作成
異常値・傾向の発見:「急に数字が動いている箇所」の指摘
解釈と示唆:数字から読み取れる仮説、次に確認すべき論点の提案
レポート化:分析結果を報告書の文章に整形
従来この流れは「関数を書ける人」か「BIツールを設定した会社」だけのものでしたが、いまは自然な日本語で頼めます。重要なのは、何でも一発でやらせようとせず、工程を分けて確認しながら進めることです。
ファイルの渡し方自体は難しくありません。チャット入力欄のクリップアイコンからファイルを選ぶか、Excel/CSVをそのままドラッグ&ドロップするだけです。複数ファイルを同時に渡して「これらを結合して分析して」と頼むこともできます。2026年7月時点では、Claudeは内部でグラフを描画して画面上に表示できるため、集計結果をその場で棒グラフや折れ線に起こし、軸を変えながら試すところまでチャット内で完結します。作図のたびにExcelに戻る必要がありません。
やり方5ステップ
ステップ1:データを「1行1レコード」に整える
AI分析の失敗の大半は、プロンプトではなくデータの形が原因です。渡す前に次の3点だけ整えます。
1行1レコード:セル結合、小計行、表の途中の見出し行を削除する
列名を明確に:「金額」ではなく「受注金額(円・税抜)」のように、中身と単位が分かる列名にする
1シート1テーマ:複数の表が1シートに同居している場合は分割する
この整形自体もClaudeに「この表を1行1レコードの形式に直して」と頼めますが、元データの意味(どれが小計行かなど)は人間が一番知っているため、最初の整形は自分でやるほうが安全です。
ステップ2:機密情報をマスキングする
顧客名・個人名・連絡先は、分析に必要なければ列ごと削除、必要なら「A社」「顧客001」のような記号に置換してから渡します。会社としてのAI利用ルールが未整備の場合は、AI利用ガイドラインの作り方を参考に、渡してよいデータの基準を先に決めておくことをおすすめします。
ステップ3:まず「データの理解」をさせる
いきなり分析を頼まず、最初にデータの構造を確認させます。
添付のCSVは自社の商談データです。分析の前に、まず以下を教えてください。
1. 各列の内容をどう解釈したか(1列ずつ)
2. データの期間と件数
3. 欠損値や表記ゆれなど、分析前に処理が必要な問題点
※この時点では分析や集計はまだ行わないでください。ここでAIの解釈ズレ(日付列を文字列として読んでいる、単位の誤解など)を潰しておくと、後工程の手戻りがなくなります。
ステップ4:集計→可視化→解釈の順で頼む
工程を分けて、1つずつ確認しながら進めます。
【集計】
月別・流入経路別の商談数と受注数、受注率を表にしてください。
・受注率=受注数÷商談数(小数点1桁%)
・データに存在しない月は行を作らない
・合計行を最下部に追加する
【可視化】(集計結果を確認した後で)
上の表をもとに、月別受注率の推移を流入経路別の折れ線グラフにしてください。
【解釈】(グラフを確認した後で)
この結果から読み取れる仮説を3つ、
「仮説/根拠となる数字/次に確認すべきこと」のセットで挙げてください。
数字はこのデータにあるものだけを使い、推測の一般論は書かないでください。ステップ5:検算してから使う
社内共有の前に、合計値・件数など2〜3箇所を元データと突き合わせます。全数チェックは不要です。「合計が合っているか」「桁がおかしい数字がないか」の2点で、大きな事故はほぼ防げます。AIが数字を扱う際のリスクと対処はAIのハルシネーション対策で詳しく解説しています。
よくあるつまずきと対処法
実際に運用してみるとつまずきやすいポイントを、対処法とセットでまとめます。
日付が正しく扱われない:「2026/7」「7月」「R8.7」など表記が混在していると、月別集計がずれます。対処は元データ側で日付列を統一するか、プロンプトで「日付はYYYY-MM形式に正規化してから集計」と指示する
表記ゆれで別カウントされる:「株式会社ABC」と「ABC(株)」が別会社として集計される。事前に「同一とみなす表記のリスト」を渡すか、まずAIに表記ゆれ候補を列挙させて人間が確認する
途中でデータの一部しか見ていない:大きなファイルで起きがちです。「全行を対象に集計したか、対象行数を明記して」と出力に行数を含めさせると検知できます
前回と結果が微妙に違う:集計条件(除外行、四捨五入のタイミング)が毎回揺れるのが原因。条件を固定したプロンプトをテンプレート化し、毎回同じ文面で頼むことで解消します
いずれも「AIが賢くなれば解決する」類の問題ではなく、データと指示の渡し方の問題です。逆に言えば、利用者側で完全にコントロールできます。
三森の実務メモ:私は広告レポートの分析をClaudeに任せていますが、最初に必ず「合計金額と総クリック数を出して」とだけ頼み、管理画面の数字と一致するのを確認してから本題の分析に入ります。この30秒の検算を挟むだけで、「データの読み込みから間違っていた」という最悪のパターンを入口で弾けます。分析結果の検算は大変ですが、入口の検算は一瞬です。
精度を上げるプロンプトのコツ
計算式を自分で定義する:「受注率」「LTV」など、社内で定義が揺れる指標は式をプロンプトに明記する。AIに定義を選ばせない
除外条件を先に伝える:「テスト受注は除く」「金額0円の行は集計対象外」など、暗黙の前提を言語化する
出力の粒度を指定する:「経営会議用に要点3つ」「実務担当用に全明細」など、読み手を伝える
「分からない」を許可する:「データから判断できない場合は、その旨を書く」と加える。無理な断定を防げます
集計の途中結果を見せてもらう:「最終結果だけでなく、集計に使った件数と除外した行数も併記して」と頼むと、思い違いの計算を早い段階で発見できます
さらに踏み込むと、毎月同じ分析をするなら、うまくいった指示文をテンプレート化して使い回すのが効率的です。テンプレート化の方法は仕事で使えるプロンプトの書き方で解説しています。
ChatGPTとの使い分け
データ分析はClaudeとChatGPTのどちらでも実用レベルですが、2026年7月時点での傾向として、長い日本語レポートへの整形や、文脈を保ったままの深掘り対話はClaudeが得意という声が多く、当サイトの検証でも同様の結果でした。詳細な比較はChatGPTとClaudeのレポート作成比較を参照してください。実務では「分析はどちらでも可、最終レポートの文章化はClaude」という使い分けが定番になっています。
三森の実務メモ:分析をAIに任せて一番変わったのは、作業時間より「分析の回数」です。以前は集計が面倒で月1回しか見なかった数字を、いまは気になった瞬間に聞けるので週2〜3回見るようになりました。数字を見る回数が増えると、施策の打ち手が早くなります。効率化の本当の価値は時短ではなく、この「試行回数の増加」だと感じています。
動画で学ぶ
AI活用やマーケティングの実務ノウハウは、YouTubeチャンネル(三森のAIマーケ研究所)でも解説しています。データ分析の実演は画面付きの動画が分かりやすいので、記事と併せてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. どのくらいの大きさのファイルまで分析できますか?
2026年7月時点では、数万行程度のCSVであれば実用的に扱えます。ただし上限はプランやファイル形式によって変わるため、大きなデータは「直近12ヶ月分だけ」「必要な列だけ」に絞って渡すのが現実的です。絞ること自体が分析の焦点を明確にする効果もあります。
Q. Excelの関数やマクロはもう覚えなくてよいですか?
日常の集計・分析はAIで完結することが増えました。ただし、AIの出力を検算する程度の基礎(SUM、ピボットテーブルの読み方)は残しておくと安全です。「作る技術」の重要性は下がり、「確かめる技術」と「何を分析するか決める力」の重要性が上がった、と捉えるのが正確です。
Q. 会社の売上データをAIに渡しても大丈夫ですか?
サービスの利用規約とデータの取り扱い設定(学習への利用可否など)を確認した上で、社内ルールを決めてから使ってください。最低限、個人情報のマスキングと、「渡してよいデータ/だめなデータ」の線引きの明文化は必須です。法人プランでは入力データが学習に使われない設定が一般的ですが、契約内容の確認は自社で行う必要があります。
Q. グラフの見た目が資料にそのまま使えるレベルになりません
AIが生成するグラフは「分析用の下書き」と割り切り、社外資料用は数値をExcelやスライドツールに移して整えるのが現実的です。それでも、どの軸でどのグラフを作るべきかの試行錯誤がAI上で数分で終わるため、資料化を含めた合計時間は大幅に短縮されます。
まとめ:分析は「頼み方」より「渡し方」
Claudeでのデータ分析は、①データを1行1レコードに整える、②マスキングする、③構造を確認させる、④集計→可視化→解釈の順で頼む、⑤検算する、の5ステップで今日から実務投入できます。プロンプトの巧拙より、データの渡し方と工程の分け方が精度を決めます。
分析で見つけた示唆を記事やレポートなどのコンテンツに落とす工程は、ドヤマーケAIのドヤ記事作成が得意分野です。分析はClaude、コンテンツ化はドヤ記事作成、という組み合わせで、データからの発信までを一人で回せます。まず無料でお試しください。編集部の補足調査データ(2026年最新・n=400)
データ分析はClaudeの得意分野ですが、現場全体のツール利用状況も知っておきたいところです。株式会社スリスタが全国の会社員400名に実施した『企業の生成AI活用実態調査2026』では、業務での生成AIツール利用率はChatGPT 60.8%・Google Gemini 49.7%・Microsoft Copilot 41.8%・Claude 7.8%で、Claudeはまだ少数派。ただしAI利用者の49.0%が複数ツールを併用(平均1.82ツール)しており、長文・表データの処理に強いClaudeをExcel分析の相棒として併用する余地は十分にあります。
出典:株式会社スリスタ『企業の生成AI活用実態調査2026』(n=400)。全クロス集計は職場の生成AIツールシェア実態2026、プレスリリースはPR TIMESで公開中。
▶ 動画で学ぶ:ドヤマーケAIチャンネル(マーケティング×AIの実践)


