AI・マーケトレンド

ClaudeでExcel・CSVをデータ分析する方法|集計・グラフのプロンプトと検算

売上データの集計、アンケートの傾向分析、広告レポートの前月比較をClaudeで進めるときは、データの意味と集計条件を先に決めます。「ファイルを渡す→構造を確認する→集計する→グラフにする→検算する」の順で、各段階の出力を確かめてください。必要な作業時間はデータの状態や確認範囲によって変わります。

この記事では、ClaudeでExcel・CSVデータを分析する具体的な手順を解説します。ファイルの渡し方、集計・グラフ・示唆出しのプロンプト例、精度を大きく左右するデータ側の整え方、そして機密データを扱う際の注意点まで、業務でそのまま使える形でまとめました。

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30秒で分かる結論

  • Claudeは利用中の環境でファイル読み込み・分析機能を確認し、対象データと集計条件を指定して使う

  • 精度を確かめる準備として、1行が何を表すか・列名・単位・重複や欠損の扱いを明確にする

  • 頼み方は「集計→可視化→解釈」の3段階に分ける。一度に全部頼むと検証できない

  • 数字は元データの件数・合計だけでなく、分類別の内訳、除外条件、率の分母・分子も照合してから使う

  • 顧客名や個人情報はマスキングしてから渡す。社内ルール化が前提

Claudeでできるデータ分析

2つの前提として、利用中の環境でファイルの読み込みと分析・コード実行機能が使えるかを確認してください。以下は表データで検討する分析の例です。機能の利用可否や上限は現在のプラン・設定を確認し、処理された行数と計算結果を検算して進めます。

  • 集計:月別・担当者別・商品別の合計、平均、件数、前月比

  • クロス分析:「業種×受注率」「流入経路×商談化率」のような2軸の掛け合わせ

  • 可視化:棒グラフ、折れ線、円グラフなどの作成

  • 異常値・傾向の発見:「急に数字が動いている箇所」の指摘

  • 解釈と示唆:数字から読み取れる仮説、次に確認すべき論点の提案

  • レポート化:分析結果を報告書の文章に整形

従来のExcelやBIによる集計と同様に、分析したい問いと計算条件を先に定義します。日本語で依頼する場合も、集計・可視化・解釈の工程を分けて確認することが重要です。

ファイルは、利用中の画面にある添付操作で渡します。読み取り結果の列名・件数・対象シートを確認し、対応していない形式は元ファイルを残して作業用コピーを変換してください。複数ファイルを結合する場合はキー列と対応関係を指定し、結合前後の行数を照合します。同じIDに複数行が対応すると件数や金額が増えることがあるためです。作図後も元の集計表を残し、グラフの値と単位を確認します。

やり方5ステップ

ステップ1:データを「1行1レコード」に整える

AIに集計を依頼する前に、データの構造を確認します。元ファイルを残して作業用のコピーを作り、次の3点を整えてください。除外した小計行や変更した列は記録し、処理後の件数と金額を照合します。

  • 1行1レコード:セル結合、小計行、表の途中の見出し行を削除する

  • 列名を明確に:「金額」ではなく「受注金額(円・税抜)」のように、中身と単位が分かる列名にする

  • 1シート1テーマ:複数の表が1シートに同居している場合は分割する

この整形自体もClaudeに「この表を1行1レコードの形式に直して」と頼めますが、元データの意味(どれが小計行かなど)は人間が一番知っているため、最初の整形は自分でやるほうが安全です。

ステップ2:機密情報をマスキングする

顧客名・個人名・連絡先は、分析に必要なければ列ごと削除、必要なら「A社」「顧客001」のような記号に置換してから渡します。会社としてのAI利用ルールが未整備の場合は、AI利用ガイドラインの作り方を参考に、渡してよいデータの基準を先に決めておくことをおすすめします。

ステップ3:まず「データの理解」をさせる

いきなり分析を頼まず、最初にデータの構造を確認させます。

添付のCSVは自社の商談データです。分析の前に、まず以下を教えてください。

1. 各列の内容をどう解釈したか(1列ずつ)
2. データの期間と件数
3. 欠損値や表記ゆれなど、分析前に処理が必要な問題点

※この時点では分析や集計はまだ行わないでください。

ここで、日付列の解釈や単位、対象期間が元データと一致しているか確認します。違いがあれば集計前に訂正し、修正後の解釈を再提示させてください。

ステップ4:集計→可視化→解釈の順で頼む

工程を分けて、1つずつ確認しながら進めます。以下は1行1商談のデータを想定したテンプレートです。自社の列名・受注判定・集計基準日を指定して使ってください。計算例として、広告経由が商談10件・受注2件、紹介経由が商談2件・受注1件なら、合計受注率は3÷12=25%です。20%と50%を平均した35%にはしません。この数値は説明用の架空例です。

【集計前の確認】
1行1商談のデータを想定します。商談ID・商談発生日・流入経路・受注状態の列と、集計基準日を確認してください。列や受注判定が不明な場合は質問し、推測しないでください。
商談IDに重複がある場合は、重複件数と該当IDを示し、採用行を確認するまで集計を止めてください。

【集計】
・商談発生日の月別・流入経路別に、商談数と集計基準日時点の受注数・進行中件数を表示
・1商談は最大1件として数える
・受注率=受注数÷商談数。分母0は「算出不可」
・流入経路の空欄は「不明」とし、無断で除外しない
・日付不明や対象期間外などの除外条件を確認し、除外件数と処理後件数を併記
・合計受注率は総受注数÷総商談数で再計算し、各行の率を平均しない
・率は計算後に小数点1桁の百分率へ丸める

【可視化】(集計結果を確認した後で)
月別受注率を流入経路別の折れ線グラフにし、対象期間・集計基準日・単位を記載してください。元の集計表も残してください。

【解釈】(グラフを確認した後で)
「観察できる事実/考えられる仮説/次に確認すること」を分けてください。数字は集計表にあるものだけを使い、原因を断定しないでください。最近の月には進行中案件が多く含まれる可能性も確認してください。

ステップ5:検算してから使う

社内共有の前に、元データの件数・合計、除外した行数、分類別の内訳、率の分母と分子を確認します。全体の合計が合っていても、月や流入経路の分類が誤っている場合があります。重要な判断に使う集計は、Excelなどで同じ条件の集計を再現して照合してください。確認範囲は誤りが意思決定に与える影響に応じて決めます。AIが数字を扱う際のリスクと対処はAIのハルシネーション対策で詳しく解説しています。

架空のマーケティングKPIデータで実演|集計→グラフ→検算を通しでやる

ここからは、編集部が作成した架空のCSV(20行)を使い、集計・グラフ・検算を通しで行う手順を示します。数値はすべて架空で、実在の企業や広告の成果ではありません。同じCSVを手元で作ってClaudeに渡せば、出力が本節の「期待値」と一致するかを自分で確かめられます。ステップ4のプロンプトを、実データに近い形で具体化したものと考えてください。

使うデータ:月別×チャネル別のマーケティングKPI(架空・20行)

1行が「ある月のあるチャネル」を表す形式で、4か月×5チャネルの20行です。広告費が0円のチャネル(オーガニック検索・メール・紹介)と、表示回数・クリック数を持たない紹介チャネルを意図的に混ぜています。さらに、5月のSNS広告だけを全角の「SNS広告」にしてあります。Claudeが表記ゆれを拾えるか、分母が0の指標を「算出不可」と扱えるかを確かめるためです。次の内容をテキストエディタに貼り付け、文字コードUTF-8で「kpi_sample.csv」として保存してください。

月,チャネル,表示回数,クリック数,広告費(円・税抜),リード数,商談数
2026-04,検索広告,48200,1450,180000,36,9
2026-04,SNS広告,95600,1120,120000,21,4
2026-04,オーガニック検索,31200,980,0,28,7
2026-04,メール,12400,610,0,19,6
2026-04,紹介,0,0,0,5,3
2026-05,検索広告,51900,1580,195000,41,11
2026-05,SNS広告,102300,1260,120000,24,5
2026-05,オーガニック検索,33800,1040,0,31,8
2026-05,メール,12900,640,0,17,5
2026-05,紹介,0,0,0,6,4
2026-06,検索広告,47500,1390,180000,33,8
2026-06,SNS広告,88700,990,100000,16,3
2026-06,オーガニック検索,36100,1120,0,35,9
2026-06,メール,13100,590,0,15,4
2026-06,紹介,0,0,0,4,2
2026-07,検索広告,53400,1620,210000,44,12
2026-07,SNS広告,97800,1180,120000,22,5
2026-07,オーガニック検索,38900,1210,0,39,10
2026-07,メール,13600,660,0,21,7
2026-07,紹介,0,0,0,7,4

プロンプト1:集計(定義を固定し、表記ゆれの確認を挟む)

最初のプロンプトでは、指標の式を自分で定義し、分母0の扱いと丸めの規則を明記します。表記ゆれは勝手に統一させず、候補を出させてから人が確定します。

添付のCSVは、編集部が作成した架空のマーケティングKPIデータです(1行=ある月のあるチャネル)。
以下の順に進めてください。

【確認】
・行数、期間、チャネル名の一覧を報告してください
・チャネル名に全角・半角や表記ゆれがあれば、同一とみなす候補を示し、私の確認を待ってください

【集計】(確認後)
・チャネル別に、表示回数・クリック数・広告費・リード数・商談数の合計を出す
・月別に、リード数と商談数の合計を出す
・指標の定義は次のとおり。定義を変えないでください
 クリック率=クリック数÷表示回数
 リード獲得率=リード数÷クリック数
 商談化率=商談数÷リード数
 CPL(リード獲得単価)=広告費÷リード数
・分母が0の指標は「算出不可」と書き、0や空欄にしない
・全体の商談化率は総商談数÷総リード数で計算し、チャネル別の率を平均しない
・率は小数点1桁の百分率、金額は円単位で四捨五入
・処理した行数と、除外した行があればその件数と理由を併記する

期待値:この数字と一致すれば集計は合っています

架空データなので、正しい集計結果はあらかじめ分かっています。Claudeの出力を次の値と照合してください。

  • 処理行数は20行。チャネルは5つ(検索広告・SNS広告・オーガニック検索・メール・紹介)。チャネルが6つに分かれていたら、全角の「SNS広告」を別チャネルとして数えています

  • 全体合計は、表示回数777,400、クリック数17,440、広告費1,225,000円、リード数464、商談数126

  • 月別リード数は、4月109・5月119・6月103・7月133。月別商談数は、4月29・5月33・6月26・7月38

  • CPLは、検索広告4,968円(765,000円÷154件)、SNS広告5,542円(460,000円÷83件)。オーガニック検索・メール・紹介は広告費0円のため「算出不可」

  • 全体の商談化率は27.2%(126÷464)。チャネル別の商談化率(検索広告26.0%、SNS広告20.5%、オーガニック検索25.6%、メール30.6%、紹介59.1%)を単純平均すると32.3%になりますが、これは誤りです

  • 紹介チャネルのクリック率とリード獲得率は、表示回数・クリック数が0のため「算出不可」。0%や100%と出ていたら分母0の処理が指示どおりになっていません

プロンプト2:グラフ(種類・軸・単位・注記まで指定する)

集計表を確認してから、グラフを依頼します。「グラフにして」とだけ頼むと、種類も軸も単位もClaude任せになり、あとで直す手間が増えます。編集部が作成した指定例です。

確認した集計表をもとに、次の2つのグラフを作ってください。
1. 月別リード数の積み上げ棒グラフ(積み上げの内訳=チャネル、横軸=月、縦軸=リード数(件))
2. チャネル別CPLの横棒グラフ(単位=円。算出不可のチャネルは図から外し、図の下に「広告費0円のため算出不可:オーガニック検索・メール・紹介」と注記)

共通の指定:
・タイトルに対象期間(2026年4月〜7月)を入れる
・軸ラベルと単位を必ず表示する
・図の下に「編集部作成の架空データ」と明記する
・グラフの元になった集計表を、グラフと別に残す
・件数と率を同じグラフに載せない

グラフの種類は、見せたい内容から決めます。判断の目安は次のとおりです。

  • 時間の推移を見せる:折れ線グラフ、または月ごとの積み上げ棒グラフ

  • 項目同士の大小を比べる:横棒グラフ。項目名が長いときは縦棒より読みやすい

  • 構成比を見せる:100%積み上げ棒グラフ。円グラフは項目が4つを超えると比較しにくい

  • 件数と率は同じグラフに載せない。2軸グラフは読み違いの原因になるため、別の図に分ける

  • 「算出不可」の項目は0として描かず、図から外して注記する

プロンプト3:検算(Claudeに自己照合させてから人が見る)

最後に、Claude自身に照合項目を報告させます。これは人の検算を省くためではなく、不一致の箇所を早く見つけるための工程です。

作成した集計表とグラフについて、次の点を自分で照合し、結果を「一致/不一致」で報告してください。不一致があれば原因も書いてください。
1. 処理行数が元データの行数と一致しているか
2. チャネル別合計を足し合わせた値が、全体合計と一致しているか(表示回数・クリック数・広告費・リード数・商談数の5項目すべて)
3. 月別合計を足し合わせた値が、全体合計と一致しているか
4. 分母が0の指標が「算出不可」になっているか
5. 全体の商談化率が、チャネル別の率の平均ではなく総商談数÷総リード数になっているか
6. グラフの各棒の値が集計表の値と一致しているか
7. 丸めは最後に1回だけ行っているか(途中で丸めた値を使って計算していないか)

検算チェックリスト:社内共有の前に人が確認する7項目

Claudeの自己照合が「すべて一致」でも、人が次の7点を確認してから共有してください。架空データで一度通しておくと、実データでどこを見ればよいかが分かります。

  1. 行数:処理行数が元ファイルの行数(ヘッダーを除く)と一致している

  2. 合計:表示回数・クリック数・広告費・リード数・商談数の全体合計が、Excelの合計と一致している

  3. 内訳:チャネル別合計と月別合計をそれぞれ足すと、全体合計に戻る

  4. 分類:チャネル数と月数が想定どおりで、表記ゆれで分かれた項目や「不明」がない

  5. 分母:分母0の指標が「算出不可」になっている。率が0%や100%の箇所は分母と分子を個別に見る

  6. 率の合成:全体の率が合計同士の割り算で、内訳の率の平均になっていない

  7. 図表:グラフの各値が集計表と一致し、タイトル・期間・単位・注記が入っている

Excelで同じ集計を再現する式(照合用)

チェックリストの2〜3項目は、Excelで同じ集計を再現すると確実に照合できます。上記のCSVをExcelで開いた場合の式の例です。月の列が日付に自動変換された場合は、検索条件も日付形式に合わせるか、列を文字列として読み込み直してください。

A列=月、B列=チャネル、C列=表示回数、D列=クリック数、E列=広告費、F列=リード数、G列=商談数、データは2〜21行目とします。

検索広告のリード数合計(期待値:154)
=SUMIFS(F2:F21,B2:B21,"検索広告")

検索広告のCPL(期待値:4,968円)
=SUMIFS(E2:E21,B2:B21,"検索広告")/SUMIFS(F2:F21,B2:B21,"検索広告")

2026年7月のリード数合計(期待値:133)
=SUMIFS(F2:F21,A2:A21,"2026-07")

全体の商談化率(期待値:27.2%)
=SUM(G2:G21)/SUM(F2:F21)

SNS広告のリード数合計(半角だけを数えると59。全角の5月分を含めた正しい値は83)
=SUMIFS(F2:F21,B2:B21,"SNS広告")

最後の式が59になるのは、全角の「SNS広告」の行が別項目として扱われるためです。ピボットテーブルでも同じことが起き、チャネルが6行に分かれます。Excel側でも表記ゆれの影響が出ることを確かめたうえで、元データ側で表記を統一してから両方を再計算すると、ClaudeとExcelの値がそろいます。

よくあるつまずきと対処法

実際に運用してみるとつまずきやすいポイントを、対処法とセットでまとめます。

  • 日付が正しく扱われない:「2026/7」「7月」「R8.7」など表記が混在していると、月別集計がずれます。対処は元データ側で日付列を統一するか、プロンプトで「日付はYYYY-MM形式に正規化してから集計」と指示する

  • 表記ゆれで別カウントされる:「株式会社ABC」と「ABC(株)」が別会社として集計される。事前に「同一とみなす表記のリスト」を渡すか、まずAIに表記ゆれ候補を列挙させて人間が確認する

  • 途中でデータの一部しか見ていない:大きなファイルで起きがちです。「全行を対象に集計したか、対象行数を明記して」と出力に行数を含めさせると検知できます

  • 前回と結果が違う:入力ファイルの版、対象行数、除外条件、集計日、丸め方を照合する。条件を固定した指示と計算手順を保存し、相違が残る場合は元データから別の方法で再計算する

いずれも、入力データや集計条件を確認することで原因を絞り込めます。ただし、指示を固定しても誤りがなくなるわけではありません。元データ、使用した指示、集計条件、出力結果を保存し、同じ条件で再計算して照合できる状態にしてください。

三森の実務メモ:広告レポートでは、まず対象期間・通貨・タイムゾーン・除外条件をそろえ、合計金額と総クリック数を管理画面と照合します。その後に媒体別・日別の内訳も確認してください。全体の合計が一致していても、分類や日付のずれが残っている可能性があります。

精度を上げるプロンプトのコツ

  • 計算式を自分で定義する:「受注率」「LTV」など、社内で定義が揺れる指標は式をプロンプトに明記する。AIに定義を選ばせない

  • 除外条件を先に伝える:「テスト受注は除く」「金額0円の行は集計対象外」など、暗黙の前提を言語化する

  • 出力の粒度を指定する:「経営会議用に要点3つ」「実務担当用に全明細」など、読み手を伝える

  • 「分からない」を許可する:「データから判断できない場合は、その旨を書く」と加える。無理な断定を防げます

  • 集計の途中結果を見せてもらう:「最終結果だけでなく、集計に使った件数と除外した行数も併記して」と頼むと、思い違いの計算を早い段階で発見できます

さらに踏み込むと、毎月同じ分析をするなら、うまくいった指示文をテンプレート化して使い回すのが効率的です。テンプレート化の方法は仕事で使えるプロンプトの書き方で解説しています。

Claude Codeで毎月の集計を定型化する手順|CSVの置き場所・指示ファイル・検算

Claude Codeは、チャット画面ではなくターミナル(黒い画面)で動かすClaudeで、パソコン上のフォルダにあるファイルを直接読み書きし、コマンドを実行できます(機能の概要はClaude Code公式ドキュメントを参照してください)。毎月同じCSVを同じ条件で集計する業務では、チャット版と比べて次の3点が変わります。

  • ファイルを毎回添付し直さず、フォルダに置いたCSVをそのまま読ませられる

  • 指標の定義や禁止事項を設定ファイル(CLAUDE.md)に一度書けば、毎月の指示は「今月分を集計して」だけで済む

  • 集計に使ったスクリプトがファイルとして残るため、翌月も同じ手順を再実行でき、前月との差分も比較しやすい

一方で、公式ドキュメントによれば有料プランまたはAPI利用の契約が前提で、ターミナル操作にも慣れが必要です(2026年9月時点。最新の条件は公式クイックスタートでご確認ください)。また、ファイルの内容はClaudeに送られるため、ステップ2のマスキングと社内ルールはチャット版と同様に必要です。データの取り扱いは公式ドキュメント「データの使用」を確認してください。まず本記事の5ステップをチャット版で回し、毎月同じ集計が固まってから移行する順番をおすすめします。

手順1:分析専用フォルダを作り、CSVの置き場所を固定する

他の仕事のファイルが混ざったフォルダで起動すると、関係のないファイルまで読み込まれます。集計専用のフォルダを作り、その中でClaude Codeを起動してください。編集部が作成したフォルダ構成の例です。

kpi-report/
  CLAUDE.md                 … 集計の定義・禁止事項・出力先のルール
  data/
    README.md               … 列の意味と単位(1行1レコードの説明)
    raw/
      2026-06.csv           … 元データ。Claudeには読み取り専用と指示する
      2026-07.csv
  scripts/                  … Claude Codeが書いた集計スクリプトを保存する
  reports/
    2026-07/                … 月ごとの集計表・グラフ・要約
  .claude/
    skills/
      monthly-kpi/
        SKILL.md            … 毎月の手順(/monthly-kpi で呼び出す)

要点は3つです。元データ(data/raw/)は上書きせず、月ごとにファイル名で区別すること。列の意味と単位をdata/README.mdに書き、Claudeにも人にも同じ定義を見せること。集計の中間ファイルと成果物はreports/に月ごとに分けて残すことです。この3つを守ると、「前回と結果が違う」ときに、どのファイルのどの条件が変わったかを追えます。

手順2:CLAUDE.mdに指標の定義と禁止事項を書く

CLAUDE.mdは、Claude Codeが起動時に読み込む指示ファイルです。公式ドキュメントでは、プロジェクト直下のCLAUDE.mdに置くこと、1ファイル200行以下を目安にすること、/initでたたき台を生成できることが案内されています(詳細は公式ドキュメント「メモリ」を参照してください。本記事の記述は2026年9月時点の内容に基づきます)。書く内容は、本記事の「精度を上げるプロンプトのコツ」で毎回プロンプトに入れていた定義・除外条件・出力の粒度そのものです。編集部が作成した設定例を示します。

# 月次マーケティングKPI集計のルール

## データ
- 元データは data/raw/YYYY-MM.csv。列の意味と単位は data/README.md に従う
- data/raw/ のファイルは読み取り専用。加工したものは reports/ に保存する
- 顧客名・個人名は含まれない前提。含まれていたら作業を止めて報告する

## 指標の定義(変更しない)
- クリック率=クリック数÷表示回数
- リード獲得率=リード数÷クリック数
- 商談化率=商談数÷リード数
- CPL=広告費÷リード数(広告費0円のチャネルは「算出不可」)
- 全体の率は合計同士で計算し、内訳の率を平均しない
- 丸めは出力の直前に1回だけ。率は小数点1桁の百分率、金額は円単位

## 作業の進め方
- 集計は scripts/ にスクリプトとして保存し、同じ月を再実行しても同じ結果になるようにする
- チャネル名の表記ゆれは勝手に統一せず、候補を示して確認を待つ
- 出力には処理行数・除外行数・元データのファイル名を必ず書く
- 結果の解釈は「観察できる事実/考えられる仮説/次に確認すること」に分ける。原因を断定しない
- 数字は集計表にあるものだけを使う。推測で補わない

「表記ゆれは勝手に統一せず確認を待つ」「原因を断定しない」の2行が、チャット版でつまずきやすかった点への対策です。設定ファイルに書いておくと、毎月の指示で言い忘れても適用されます。ただし公式ドキュメントにあるとおり、CLAUDE.mdは強制ではなく指示として扱われるため、検算の工程まで省いてよいわけではありません。

手順3:毎月の手順をスキル(カスタムコマンド)にまとめる

毎月繰り返す手順は、CLAUDE.mdではなくスキルとして切り出します。公式ドキュメントによれば、.claude/skills/<名前>/SKILL.mdに手順を書くと/名前で呼び出せ、$ARGUMENTSで引数(ここでは対象月)を受け取れます。従来の.claude/commands/形式も引き続き動作するとされています(仕様は公式ドキュメント「スキル」でご確認ください)。編集部が作成した例です。

---
name: monthly-kpi
description: 指定した月のマーケティングKPIを集計し、グラフと要約を reports/ に保存する
---

対象月は $ARGUMENTS(例:2026-07)です。次の順に進めてください。

1. data/raw/$ARGUMENTS.csv を読み、行数・期間・チャネル名一覧を報告する。表記ゆれの候補があれば確認を待つ
2. CLAUDE.md の定義に従い、チャネル別・月別の集計表を作る。scripts/ の既存スクリプトがあれば流用し、無ければ新規に保存する
3. 月別リード数の積み上げ棒グラフと、チャネル別CPLの横棒グラフを reports/$ARGUMENTS/ に保存する
4. 前月のレポート(reports/ にある直近の月)があれば、リード数・商談数・CPLの差分を一覧にする
5. 処理行数・合計・分母0の扱い・グラフと集計表の一致を自分で照合し、「一致/不一致」を報告する
6. 要約は「観察できる事実/考えられる仮説/次に確認すること」に分けて reports/$ARGUMENTS/summary.md に保存する

数字は集計表にあるものだけを使い、原因を断定しないでください。

これで毎月の作業は、ターミナルでclaudeを起動し、/monthly-kpi 2026-07と入力するだけになります。手順1で確認を待つ工程を入れているため、表記ゆれや列の追加があった月は、そこで人が判断してから先に進みます。

手順4:検算を手順に組み込み、翌月も同じスクリプトで再実行する

Claude Codeの利点は、集計の計算がスクリプトとして残ることです。翌月は同じスクリプトを新しいCSVに当てるだけなので、「今月だけ定義がずれた」という事故が減ります。検算は次の3層で行うと、実務上の確認漏れを抑えられます。

  • スクリプト内の照合:処理行数と合計を出力に含め、内訳の和が全体合計と一致しなければ処理を止める。この条件をSKILL.mdの手順に書いておく

  • 前月との差分:リード数・商談数・CPLの前月比を一覧にし、大きく動いた項目は元データの該当行まで戻って確認する。増減の原因はClaudeに断定させない

  • Excelでの照合:本記事の「Excelで同じ集計を再現する式」と同じ要領で、合計と主要指標をピボットテーブルまたはSUMIFSで再計算する。重要な会議に出す数字は、この層まで行う

本文の実演と同じ架空CSVをdata/raw/に置いて一度回すと、期待値との一致でスキルの動作を確かめられます。実データに切り替えるのは、そのあとで十分です。

自動実行まで進めるときの注意

公式ドキュメントには、プロンプトを渡して非対話で実行するclaude -pと、無人実行向けの権限まわりのオプションが案内されており、スケジューラと組み合わせれば集計を自動で走らせることもできます(公式ドキュメント「Claude Codeをプログラムで実行する」)。ただし無人実行では、表記ゆれの確認や不一致時の判断を人が挟めません。まずは人が/monthly-kpiを打つ半自動の形で数か月回し、確認工程で止まらなくなってから、失敗時の通知と利用料金の上限を決めたうえで自動化を検討してください。自動化した場合も、出力をそのまま共有せず、手順4の検算を人が行う前提は変わりません。

ChatGPTとの使い分け

データ分析で使うAIは、同じ入力ファイルと集計条件で比較してください。見る項目は、処理対象の行数、計算結果、除外条件の説明、グラフと集計表の一致、修正に要する時間です。本記事では、両サービスのデータ分析性能を同条件で測定した結果は提示していません。報告書を作る際の比較観点はChatGPTとClaudeのレポート作成比較を参照してください。分析結果の正確性と、報告書としての読みやすさを別々に評価すると、担当業務に合う使い分けを決めやすくなります。

三森の実務メモ:AI導入の効果を見るときは、準備・生成・検算・資料化にかかった時間を分けて記録します。分析回数が増えたかだけでなく、確認した仮説と実際に変更した施策も残すと、業務上の価値を判断しやすくなります。

Excelのピボットで足りる作業と、Claudeが向く作業の分け方

「Excelで分析できることをClaudeにやらせる意味があるのか」という疑問は正当です。答えは、作業の種類で分かれます。Excelのピボットテーブルで足りる作業は、Claudeに任せると検算の手間が増えるだけです。逆に、Excelで手順が組みにくい作業はClaudeが向いています。目安を整理します。

Excelのピボットテーブルや関数で足りる作業です。

  • 1つの表の合計・件数・平均・前月比など、集計条件が固定された定型の月次表

  • SUMIFSやCOUNTIFSで書ける指標の計算。式が残るので検算もしやすい

  • 社外に出すグラフの体裁づくり。軸・凡例・色の細かい調整はExcelのほうが早い

  • 数値を1つ直して結果を見たい、といった小さな試行

Claudeが向いている作業です。

  • 複数ファイルの結合や、名寄せ前の表記ゆれ候補の洗い出し(最終判断は人が行う)

  • アンケートの自由記述や商談メモなど、文章を分類してから数える作業

  • 「どの月のどのチャネルが動いたか」を探し、仮説と次に確認する論点を出す探索的な分析

  • 集計条件を変えながら何度も切り口を試す作業。ピボットを組み直すより指示を書き換えるほうが早い

  • 集計手順や判断基準を文章に整理し、引き継ぎ資料にする作業

併用の型としては、「Excelで元表を1行1レコードに整える→Claudeで探索と仮説出し→Excelのピボットで数字を検算→資料化」の順が扱いやすいです。Claudeを「探索と検算の相手役」に限定すると、導入の合意も取りやすくなります。

判断の目安:頻度と問いの変わり方で決める

  • 同じ集計を週1回以上、条件を変えずに回す:Excelのピボットとテンプレートで固定する

  • 問いが毎回変わり、切り口を試しながら考える:チャット版のClaudeで工程を分けて頼む

  • 月次で条件は固定だが、複数ファイルの結合や文章の分類が入る:Claude Codeで手順をスキル化する(前述の手順を参照)

なお、弊社の独自調査(n=400)では、業務でClaudeを使う人はAI利用者153名のうち7.8%と少数派で、職場の主流はChatGPT・Gemini・Copilotでした。同じ調査のレポートでは、Claudeについて「資料作成・長文整理」で上位評価と整理しています。社内の主流ツールがExcelや他の生成AIであっても、Claudeの役割を上記のように「探索と検算」「文章の整理」に絞れば、既存の作業フローを崩さずに組み込めます。出典:株式会社スリスタ『企業の生成AI活用実態調査2026』(n=400)職場の生成AIツールシェア実態2026

動画で学ぶ

AI活用やマーケティングの実務ノウハウは、YouTubeチャンネル(【ドヤマーケAI】ミツモリ)でも解説しています。データ分析の実演は画面付きの動画が分かりやすいので、記事と併せてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q. どのくらいの大きさのファイルまで分析できますか?

2つの確認が必要です。ファイルを添付できる容量・形式と、必要な行をすべて処理できたかは別に確認してください。利用中のプランと画面で上限を確認し、処理後の行数を元ファイルと照合します。対象期間や列を絞る場合は分析目的に照らして決め、除外した範囲を記録してください。

Q. Excelの関数やマクロはもう覚えなくてよいですか?

日常の集計・分析はAIで完結することが増えました。ただし、AIの出力を検算する程度の基礎(SUM、ピボットテーブルの読み方)は残しておくと安全です。「作る技術」の重要性は下がり、「確かめる技術」と「何を分析するか決める力」の重要性が上がった、と捉えるのが正確です。

Q. 会社の売上データをAIに渡しても大丈夫ですか?

サービスの利用規約とデータの取り扱い設定(学習への利用可否など)を確認した上で、社内ルールを決めてから使ってください。最低限、個人情報のマスキングと、「渡してよいデータ/だめなデータ」の線引きの明文化は必須です。法人プランでは入力データが学習に使われない設定が一般的ですが、契約内容の確認は自社で行う必要があります。

Q. グラフの見た目が資料にそのまま使えるレベルになりません

AIが生成するグラフは「分析用の下書き」と割り切り、社外資料用は数値をExcelやスライドツールに移して整えるのが現実的です。グラフの種類・軸の範囲・単位・凡例・出典を指定し、完成図を集計表と照合します。画像形式では数値や文字が修正しにくい場合があるため、更新頻度や編集の必要性に合わせて出力形式を選んでください。時短効果は検算と資料の修正まで含めて評価します。

Q. Claudeで来期の売上予測はできますか?

過去データの傾向を延長した試算は出せますが、それは「予測」ではなく「過去の延長線」です。一過性の特需やキャンペーン、欠品期間などの除外条件は人が指定し、季節性の扱いも明記してください。出力は1つの数字ではなく幅で受け取り、前提(使った期間・除外した要因・計算方法)を必ず併記させます。予算や目標に使う場合は、同じ前提でExcelでも試算し、差が出た箇所を確認してから使ってください。

Q. データ分析には、チャット版のClaudeとClaude Codeのどちらを使うべきですか?

単発の分析や、切り口を試しながら考える探索にはチャット版で十分です。毎月同じCSVを同じ定義で集計する、複数ファイルを結合する、集計スクリプトを残して再実行したい、という段階になったらClaude Codeを検討してください。Claude Codeは公式ドキュメント上、有料プランまたはAPI利用が前提で、ターミナル操作が必要です。手順は本記事の「Claude Codeで毎月の集計を定型化する手順」で解説しています。

Q. Claudeが作ったグラフや集計表を、Excelに戻して使えますか?

グラフ画像をExcelに戻すことはできないため、グラフではなく集計表をCSV形式で出力させ、Excel側で作図し直す運用が確実です。「集計表をCSV形式のテキストとして出力して」と指示し、貼り付けた後に合計と行数を照合してください。Claude側で出力できる形式は利用中の環境で異なるため、ファイルとして書き出す機能の有無はClaude公式ヘルプセンターで確認してください。

まとめ:分析は「頼み方」より「渡し方」

Claudeでのデータ分析は、①データを1行1レコードに整える、②マスキングする、③構造を確認させる、④集計→可視化→解釈の順で頼む、⑤検算する、の5ステップで今日から実務投入できます。プロンプトの巧拙より、データの渡し方と工程の分け方が精度を決めます。

分析結果を営業・提案資料にまとめたい方は、ドヤスライドの機能・使い方をご覧ください。用途とテーマから画像形式のスライドを作成できます。検算済みの数値を用意し、生成された資料の数字・単位・出典を元の集計表と照合してから共有してください。

参考調査:職場での生成AI利用

データ分析ツールの導入では、職場での利用状況と、集計の正確性・作業時間の効果を分けて判断します。以下の調査は生成AI利用の背景を知る参考資料です。本記事の集計プロンプトやClaudeの計算性能を評価した実験ではありません。各設問の回答対象・回答数・複数回答の有無を確認して読み、自社データでの検算結果を導入判断に用いてください。

出典:株式会社スリスタ『企業の生成AI活用実態調査2026』(n=400)。全クロス集計は職場の生成AIツールシェア実態2026、プレスリリースはPR TIMESで公開中。

▶ 動画で学ぶ:ドヤマーケAIチャンネル(マーケティング×AIの実践)

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この記事の著者

Katuski.Mitsumori

三森 捷暉(みつもり かつき)

著者プロフィールはこちらから↓
 /author/mitsumori
BtoBマーケティング × SEO × AI活用 専門家|株式会社スリスタ 代表

BtoBマーケティング、SEO、コンテンツマーケティング、生成AI活用を専門とするマーケター/事業責任者です。
2021年、新卒第1号として株式会社Piece to Peace(CarryMe)に入社し、広報・マーケティング・デザイン・コンテンツ制作を横断的に担当。SEO記事、比較記事、ホワイトペーパー、ウェビナー、広告施策を組み合わせた商談創出の仕組み化を推進してきました。

その後、株式会社スリスタ(設立:2025年3月14日/代表:三森 捷暉)を設立。
現在はスリスタにて、AIを活用したマーケティング業務の自動化・省力化に注力しています。

スリスタでは、SEO記事制作、比較記事、一次情報設計、バナー制作、構成案作成といったマーケティング業務を、ユーザーが「選ぶだけ」「スワイプするだけ」で進められる設計思想をもとに、AIツールとして実務レベルで実装。
マーケティングを「1人でも回せる状態」にするための仕組みづくりを行っています。
ウェビナー・登壇実績
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