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勤怠管理システムを自作|Claude Codeの手順と記録要件

勤怠管理アプリを自社に合わせて作るとき、AIに「勤怠管理アプリを作って」と一行頼むだけでは、運用に必要な条件は決まりません。今回の開発動画では、Claude Codeへの依頼から、作られた内容の確認までを扱います。この記事では「ドヤ勤怠」を題材に、Claude Codeで勤怠管理アプリを自作する際の要件と検証手順を整理します。

ドヤ勤怠の機能・使い方を見る / 開発動画を見る(2026年10月2日公開・8分45秒)

結論:勤怠管理システムは自作できるが、先に決めるのは「記録の残し方」

  • Claude Codeを使えば、出退勤の打刻・月次集計・修正申請と承認を備えた勤怠管理アプリは自作できます。ただし完成の基準は「画面が動くこと」ではなく、記録が客観的に残り、後から検証できることです。

  • 厚生労働省のガイドラインは、始業・終業時刻をタイムカードやパソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を基礎として確認・記録することを原則としています。自作アプリでも、打刻時刻をサーバー側で記録し、修正は別の履歴として残す設計が前提になります。

  • 出勤簿やタイムカードなど労働時間の記録は、労働基準法第109条により5年(当分の間は3年)保存が必要です。自作の場合はデータの保存期間とバックアップを要件に含めます。

  • 独自の申請フローや社内システム連携が必要な会社は自作に価値があり、法改正への追随や障害対応を自社で担えない会社は既製サービスと比べて判断します。

勤怠管理アプリを自作する前に決めること

最初に、利用人数、勤務形態、締め日、打刻方法、申請・承認者、給与計算への受け渡し方法を決めます。出退勤の記録だけなら簡単でも、休憩、日付をまたぐ勤務、休日、残業、打刻忘れを扱うと条件が増えます。実際の就業規則や給与計算の判断を、AIの一般的な回答だけで確定しないことが必要です。

ドヤ勤怠のサービスページでは、ブラウザでの出退勤打刻、日次・月次の集計、申請・承認を中心機能として紹介しています。ページ内の従業員名や打刻時刻は操作イメージであり、実在の利用データではありません。

自作でも外せない勤怠記録のルール(厚生労働省の資料で確認)

「勤怠管理システム 自作」で上位に出る記事の多くは、Excelやノーコードでの作り方と、改ざん・属人化のリスクを解説しています。ここでは一歩進めて、厚生労働省の資料に書かれている記録のルールを、自作アプリの仕様にどう落とすかを整理します。以下は2026年10月7日に各資料を確認した内容です。個別の就業規則や労務判断は、社会保険労務士や管轄の労働基準監督署に確認してください。

始業・終業時刻は「客観的な記録」を基礎にする

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(厚生労働省、平成29年1月20日策定)は、使用者が労働日ごとの始業・終業時刻を確認・記録することを求め、その原則的な方法として「使用者が自ら現認すること」と「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」を挙げています。

自作アプリに置き換えると、打刻時刻は利用者の端末で入力させるのではなく、ボタンを押した時点の時刻をサーバー側で記録する設計が基本です。従業員が時刻を自由に入力できる画面は、ガイドラインのいう自己申告制に近い運用になります。

自己申告で記録する場合は、乖離の確認と補正の仕組みが要る

同ガイドラインは、やむを得ず自己申告制で把握する場合の措置として、対象者と管理者への十分な説明、必要に応じた実態調査と労働時間の補正を挙げています。特に、入退場記録やパソコンの使用時間など事業場内にいた時間の分かるデータがあり、自己申告との間に著しい乖離があるときは実態調査を行うこととされています。また、自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設けて上限を超える申告を認めないなど、適正な申告を阻害する措置を講じてはならないとしています。

アプリの仕様としては、入力できる残業時間に上限値を設けない、申告時刻と別のログ(PCのログオン記録など)を突き合わせられる出力を用意する、の2点を要件に入れておくと、運用側が確認しやすくなります。

集計は賃金台帳に書く項目に合わせる

同ガイドラインは、労働基準法第108条と同法施行規則第54条により、労働者ごとに労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数を賃金台帳に適正に記入しなければならないとしています。月次集計の出力項目をこの5つにそろえておくと、給与計算への受け渡しで項目の過不足が起きにくくなります。法定労働時間は原則として1日8時間、1週40時間です(厚生労働省「労働時間・休日」)。

保存期間は「5年(当分の間は3年)」で設計する

厚生労働省のリーフレット「未払賃金が請求できる期間などが延長されています」によると、2020年4月1日施行の改正で、賃金台帳などの記録の保存期間(労働基準法第109条)は5年に延長され、当分の間は3年とされています。保存対象には、出勤簿、タイムカードなどの記録、始業・終業時刻など労働時間の記録に関する書類が含まれます。賃金の支払期日が記録の完結の日より遅い場合は、その支払期日が保存期間の起算日になることも明確化されています。

あわせて、労働安全衛生法でも、事業者は把握した「労働時間の状況」の記録を作成し、3年間保存するための必要な措置を講じなければならないとされています(厚生労働省「働き方改革関連法解説(労働安全衛生法)」)。この「労働時間の状況の把握」の対象には、高度プロフェッショナル制度の対象者を除き、管理監督者や裁量労働制の適用者も含まれます。管理職を打刻の対象から外す仕様にすると、この記録が残らなくなります。

年次有給休暇を管理する場合は、労働者ごとの年次有給休暇管理簿(時季、日数、基準日)の作成と保存も必要です(厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A)。勤怠アプリに休暇申請を載せるなら、この3項目を労働者ごとに出力できるようにしておきます。

休憩は労働時間に応じた最低時間がある

労働基準法第34条により、労働時間が6時間を超え8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を与えなければなりません(厚生労働省「休憩時間は法律で決まっていますか」)。休憩を自動で差し引く仕様にする場合も、実際に休憩が取れなかった日の扱い(修正申請で実績を残すかどうか)を決めてから実装します。

Claude Codeへの開発依頼を具体化する手順

1. 最小の業務フローを決める

従業員が出勤・退勤を記録し、管理者が月次の一覧を確認するところまでを最小構成にします。誰がどの記録を閲覧・修正できるか、修正履歴を残すかも決めます。画面の見た目より先に、入力・保存・修正・承認の流れを文章にします。

2. AIへの依頼に例外を入れる

通常の打刻だけでなく、同じ日に二度出勤を押した場合、退勤を忘れた場合、深夜0時をまたいだ場合、休憩時間を変更した場合を指定します。ルールが未定ならAIに仮定させず、決めるべき項目を質問として出してもらいます。

3. 作られた画面とデータを確かめる

「ボタンを押せた」だけで完成とは判断しません。保存後に再読み込みしても記録が残るか、別の従業員の記録が見えないか、管理者の集計が元の打刻と一致するかを確認します。動画は開発依頼と実装内容の確認を紹介するもので、労務運用への適合や長期間の稼働実績を保証するものではありません。

そのまま使える要件整理プロンプト

あなたは業務アプリの設計者です。次の条件で勤怠管理アプリのMVP仕様を作ってください。利用人数:[記入]。勤務形態:[記入]。締め日:[記入]。対象機能:出退勤打刻、休憩、記録の修正申請、管理者承認、月次一覧。従業員と管理者の閲覧・編集権限を分け、打刻忘れ・重複打刻・日付をまたぐ勤務・途中退勤を例外として扱ってください。出力は画面一覧、保存項目、権限、計算ルールで未決定の項目、受け入れテストの順に示してください。未決定の就業ルールや法的判断を推測で埋めないでください。

これは読者向けの設計例であり、ドヤ勤怠の開発時に実際に使った非公開プロンプトではありません。生成された仕様は、社内の運用担当者と実装担当者が確認してから開発に進みます。

公開前に試したいテストケース

  • 通常の出勤・休憩・退勤と、保存後の再表示。

  • 二重打刻、退勤忘れ、日付をまたぐ勤務、未入力の休憩。

  • 打刻修正の申請・承認・却下と変更履歴。

  • 従業員が他人の記録を閲覧・変更できないこと。

  • 月次集計と元の打刻の突き合わせ、CSV出力の文字化け。

集計ルールの正しさや法令適合は、実際の就業規則と専門家による確認が必要です。動画で画面が動いたことと、実務で安全に運用できることは区別します。

改ざんを防ぐデータ設計:打刻と修正を別々に残す

Excelやスプレッドシートでの自作が不向きとされる主な理由は、記録を誰でも書き換えられ、書き換えた事実が残らないことです。Claude Codeで自作する場合は、この弱点をデータ設計の段階でつぶせます。考え方は、元の打刻を上書きせず、修正を別の記録として積み上げることです。

  • 打刻記録:従業員ID、打刻種別(出勤・退勤・休憩開始・休憩終了)、サーバー記録時刻、打刻元(ブラウザ・端末)。作成後は更新・削除できないようにします。

  • 修正申請:対象の打刻、修正前後の時刻、理由、申請者、申請日時。承認・却下の結果と承認者、日時も同じ記録に残します。

  • 月次確定:締め日に集計を確定した日時と確定者。確定後の修正は、確定を解除した記録とあわせて残します。

  • 保存とバックアップ:保存期間が過ぎる前に記録を自動削除しない。起算日は記録ごとに異なるため、削除処理は最初から作らないか、人の確認を挟む設計にします。

既存のアプリにこの設計を足すときは、Claude Codeに次のように依頼すると、変更範囲とテストをまとめて出してもらえます。

この勤怠管理アプリのデータ設計を見直してください。
目的:打刻記録の改ざん防止と、修正の経緯を後から確認できるようにすること。

条件:
1. 打刻記録は作成後に更新・削除できないようにする。打刻時刻はサーバー側の時刻で記録する。
2. 修正は「修正申請」として別テーブルに保存し、修正前後の時刻、理由、申請者、承認者、各日時を残す。
3. 月次集計は「打刻記録+承認済みの修正申請」から計算する。元の打刻と修正後の値の両方をCSVで出力できるようにする。
4. 月次の確定・確定解除の操作者と日時を記録する。
5. 記録を自動で削除する処理は作らない。
6. 従業員は自分の記録だけを閲覧できる。管理者の閲覧範囲は[記入]とする。

出力:変更するファイルの一覧、テーブル定義の差分、既存データの移行手順、追加するテストケース。
未決定の就業ルールは推測で埋めず、確認事項として列挙してください。

このプロンプトは編集部が作成した読者向けの例で、ドヤ勤怠の開発で実際に使ったものではありません。移行手順が出てきた場合は、本番データのバックアップを取ってから検証環境で試します。

自作と既製品、どちらを選ぶか

独自の申請フローや社内システム連携を重視するなら内製には価値があります。一方、運用開始までの速さ、法改正への追随、障害対応を重視するなら既製サービスも比較対象です。比較するときは月額料金だけでなく、設計・保守・権限管理・バックアップにかかる人の時間を含めて判断します。

Excel・ノーコード・Claude Codeの違い

  • Excel・スプレッドシート:追加費用をかけずにすぐ始められます。一方で、セルの値を誰でも書き換えられ、変更の経緯が残りにくいため、打刻の客観性を示しにくい方法です。

  • ノーコード・ローコードツール:画面と承認フローを短期間で作れます。権限や履歴の機能はツールの仕様に左右されるため、上で挙げた「打刻を上書きしない」「修正を別に残す」が実現できるかを事前に確かめます。

  • Claude Codeでの自作:データ構造、権限、他システム連携を自社の運用に合わせて作れます。その代わり、法改正への追随、障害対応、バックアップ、保存期間の管理をすべて自社で担います。

自作を選ぶ前の確認リスト

  • 就業規則の勤務形態(固定、シフト、変形労働時間制、フレックスなど)を文章で説明できるか。

  • コードを読んで修正できる担当者が、開発者以外にもう1人いるか。

  • 障害で打刻できなかった日の代替手段(紙・別フォームでの記録と後日の入力手順)を決めているか。

  • 記録を少なくとも3年、将来の5年化も見込んで保存し、バックアップから復元できるか。

  • 給与計算ソフトや社労士事務所に渡すCSVの形式を、相手先に確認しているか。

このうち2つ以上が「いいえ」の場合は、既製の勤怠管理サービスで運用を始め、独自の申請フローなど足りない部分だけを自作する進め方も検討できます。シフトの作成をAIで効率化したい場合は、ChatGPTでシフト表を作成する方法で、希望休を反映するプロンプトを紹介しています。

勤怠と同じ人事領域では、人材情報や評価を扱うシステムもClaudeで自作しています。どの機能を作り、どこを人が確認したかはタレントマネジメントはAIで自作できるかで解説しています。開発の様子は次の動画で見られます。

よくある質問

Claude Codeだけで勤怠システムは完成しますか?

コードの作成を助けられますが、勤務ルールの確定、データと権限の検証、運用手順の決定は人が担います。画面が動くことをもって実務で利用可能とは判断できません。

最初に実装する機能は何ですか?

出退勤の記録と管理者による確認から始め、休憩、修正、月次集計、申請・承認を運用条件に合わせて追加すると検証しやすくなります。

勤怠の記録は何年保存すればよいですか?

出勤簿やタイムカードなど労働時間の記録は、労働基準法第109条により5年(当分の間は3年)保存とされています(厚生労働省リーフレット)。労働安全衛生法上の「労働時間の状況」の記録も3年間の保存が必要です。自作アプリでは、保存期間内の記録を消さない設計とバックアップが必要です。

Excelやスプレッドシートで勤怠管理をしても問題ありませんか?

厚生労働省のガイドラインが原則とするのは、使用者による現認か、タイムカードやパソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を基礎とした確認です。手入力の表で管理する場合は自己申告制に近い運用になり、実態調査や補正などの措置が求められます。どの方法が自社で適切かは、社会保険労務士や労働基準監督署に確認してください。

管理職も打刻の対象にする必要がありますか?

労働安全衛生法の「労働時間の状況の把握」は、高度プロフェッショナル制度の対象者を除き、管理監督者も対象に含みます(厚生労働省の解説資料)。勤怠アプリでは、管理職を打刻の対象から外さない設計にしておくと、記録の漏れを防げます。

開発動画とサービス

Claude Codeで「ドヤ勤怠」を作る動画を見る。動画は2026年10月2日に公開しました。ドヤ勤怠の詳細はこちら。

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この記事の著者

Katuski.Mitsumori

三森 捷暉(みつもり かつき)

著者プロフィールはこちらから↓
 /author/mitsumori
BtoBマーケティング × SEO × AI活用 専門家|株式会社スリスタ 代表

BtoBマーケティング、SEO、コンテンツマーケティング、生成AI活用を専門とするマーケター/事業責任者です。
2021年、新卒第1号として株式会社Piece to Peace(CarryMe)に入社し、広報・マーケティング・デザイン・コンテンツ制作を横断的に担当。SEO記事、比較記事、ホワイトペーパー、ウェビナー、広告施策を組み合わせた商談創出の仕組み化を推進してきました。

その後、株式会社スリスタ(設立:2025年3月14日/代表:三森 捷暉)を設立。
現在はスリスタにて、AIを活用したマーケティング業務の自動化・省力化に注力しています。

スリスタでは、SEO記事制作、比較記事、一次情報設計、バナー制作、構成案作成といったマーケティング業務を、ユーザーが「選ぶだけ」「スワイプするだけ」で進められる設計思想をもとに、AIツールとして実務レベルで実装。
マーケティングを「1人でも回せる状態」にするための仕組みづくりを行っています。
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