AI・マーケトレンド
「広告コピーを考えてと言われたが、何から手をつけていいか分からない」「案は出せるが、どれが良いのか判断できない」。広告コピーは、センスの問題だと思われがちなせいで、担当者が一人で抱え込みやすい業務です。
実際には、クリックされるコピーの大半は「型」から作られています。この記事では、書く前に決めるべき3つの前提、BtoBで実績のある訴求の型10選(例文つき)、法律面も含めたNG表現、そしてAIでコピー案を量産して選ぶ2026年の実務フローまで解説します。読み終われば、明日から「型に当てはめて出し、数字で選ぶ」というセンスに頼らない作り方に切り替えられます。
30秒で分かる結論
広告コピーはセンスではなく型。まず「誰の・どの悩みに・何を約束するか」を決め、型に流し込む
BtoBで強いのは「数字・実績型」「損失回避型」「ターゲット名指し型」。迷ったらこの3つから試す
コピーの良し悪しは会議では決まらない。2案に絞って配信し、数字で決める
抽象語(「業務効率化を実現」等)はクリックされない。読者が自分ごと化できる具体語に置き換える
案出しはAIに任せて量を確保し、人は「前提の設定」と「選定」に集中するのが2026年の分業
広告コピーとは?「訴求」と「表現」を分けて考える
広告コピーとは、バナーや検索広告で読者の手を止め、クリックという次の行動を起こさせるための短い文章です。バナーならメインコピー(キャッチ)とサブコピー、CTAボタンの文言がこれにあたります。
コピーを作るとき、最初に押さえるべき区別が「訴求」と「表現」です。
訴求:何を約束するか(例:作業時間の削減)
表現:それをどう言うか(例:「月20時間の入力作業、まだ続けますか」)
成果への影響は訴求のほうが圧倒的に大きく、表現の巧拙はその次です。「うまい言い回し」を探す前に、「そもそもどの約束が刺さるのか」を決める。この順番を守るだけで、コピーの打率は目に見えて変わります。
書く前に決める3つの前提
前提1:誰に(ターゲットの解像度)
「中小企業の経営者」では粗すぎます。「営業リストを若手に手作業で作らせているが、時間がかかりすぎて商談準備が疎かになっている営業部長」まで具体化すると、コピーの語彙が自然に決まります。ターゲット像の作り方はペルソナの作り方で詳しく解説しています。
前提2:どの悩みに(ベネフィットの選定)
商材の特長ではなく、読者の悩みから出発します。同じ商材でも「時間がない」「品質が不安」「コストが高い」のどの悩みに当てるかで、コピーは全く別物になります。営業やCSが顧客から実際に聞いた言葉を、そのまま悩みのリストにするのが近道です。
前提3:何を証拠に(信頼の担保)
BtoBの読者は広告に懐疑的です。約束には証拠を添えます。導入社数、削減率、事例企業の属性(「製造業・従業員50名」)など、数字か固有情報のどちらかを用意してからコピーに入ります。
クリックされる訴求の型10選(例文つき)
例文はすべて架空の営業リスト作成ツールを想定したダミーです。自社の商材に置き換えて使ってください。
1. 数字・実績型
効果を具体的な数字で示す、BtoBの王道です。
例:「リスト作成の工数を月20時間→2時間に」
2. 損失回避型
得よりも損を避けたい心理に訴えます。行動を促す力が強い型です。
例:「その営業リスト、3割は電話が繋がらない番号かもしれません」
3. ターゲット名指し型
対象を絞り込んで「自分の話だ」と思わせます。CTRの母数は減りますが、クリックの質が上がります。
例:「営業部長のあなたへ。若手をリスト作成から解放しませんか」
4. 疑問提起型
現状のやり方への疑問を投げ、読者の思考を止めます。
例:「まだ手作業でリストを作っていますか?」
5. Before/After型
導入前後の変化を対比で見せます。
例:「先週まで丸2日→今日から10分。営業リストの新常識」
6. 社会的証明型
他社の行動を示して安心感を作ります。
例:「導入企業1,200社。製造業の営業チームで選ばれています」
7. How to型
方法を教える体裁で、広告色を薄めます。ホワイトペーパー配布と相性が良い型です。
例:「アポ率を1.6倍にした営業リストの作り方(無料資料)」
8. 逆張り型
業界の常識を否定して注意を引きます。使い所を選びますが、刺されば強い型です。
例:「営業リストは、量を集めるほど成果が下がります」
9. 限定・締切型
期限や枠で行動のきっかけを作ります。BtoBでは乱用すると信頼を損なうため、実際の期限があるときだけ使います。
例:「3月末まで:初期設定サポート付きプラン」
10. 比較型
代替手段との違いを一言で示します。競合他社名を出すのではなく、「手作業」「従来のやり方」といった代替手段と比較するのが安全です。
例:「リスト購入とはもう比べないでください。毎月更新される生きたリストを」
10の型は、どれか1つが常に正解というものではありません。同じ商材でも、認知段階の読者には疑問提起型が、比較検討段階の読者には数字・実績型が効く、というように、読者の検討フェーズによって効く型が移り変わります。配信するオーディエンスがどの段階にいるかを想像して型を選ぶと、外す確率が下がります。
三森の実務メモ:10型のうち、私がBtoBの初回テストで必ず入れるのは「数字・実績型」と「損失回避型」の2つです。経験上、この2つはターゲットや業種が変わっても大負けが少なく、テストの基準線として優秀だからです。一方で「逆張り型」は当たると数字が跳ねますが外れも大きい。予算が限られているなら、まず堅い2型で基準値を作り、3回目以降のテストで逆張り型を挑戦枠として混ぜる、という順番を勧めています。
やりがちなNGコピー3種
NG1:抽象語の羅列
「業務効率化を実現する次世代ソリューション」のようなコピーは、何も約束していないのと同じです。「効率化」は「月20時間削減」に、「次世代」は具体的な仕組みの説明に置き換えます。
NG2:根拠のない最上級・断定表現
「業界No.1」「必ず成果が出る」は、根拠となる調査の出典を明記できない場合、景品表示法の優良誤認にあたるリスクがあります。No.1表記を使うなら調査機関・調査年の併記が必要です。数字はすべて社内で出典を確認できるものだけを使ってください。
NG3:社内用語・機能名で語る
「〇〇エンジン搭載」のような自社目線の言葉は、読者には意味が伝わりません。機能ではなく、その機能が読者の一日をどう変えるかを書きます。
見落とされがちですが、CTAボタンの文言もコピーの一部です。「詳しくはこちら」より「資料を無料でダウンロード」のように、クリック後に何が起きるかが分かる文言のほうが、心理的なハードルは下がります。
コピーはバナーデザインとセットで機能します。コピーを活かすレイアウトや視線誘導は反応率が上がる広告バナーの作り方を参照してください。
AIでコピー案を量産して選ぶ
コピー制作でAIが最も役立つのは「10案を10分で出す」量産フェーズです。人がゼロから10案書くと半日かかりますが、AIなら前提を渡すだけで型別に出し分けられます。
あなたはBtoB広告のコピーライターです。
以下の前提で、バナー広告のメインコピー案を作成してください。
・商材:(例:中小企業向け営業リスト作成ツール)
・ターゲット:(例:手作業のリスト作成に限界を感じている営業部長)
・訴求したい悩み:(例:リスト作成に時間を取られ、商談準備ができない)
・使える証拠:(例:導入1,200社/作成時間90%削減/製造業の事例あり)
出力条件:
・次の型で各2案ずつ:数字実績型/損失回避型/ターゲット名指し型/疑問提起型/How to型
・各案は全角25文字以内、サブコピー(20文字以内)つき
・「実現」「ソリューション」「次世代」「DX」は使用禁止
・証拠にない数字を創作しない。使える証拠の範囲だけで書く「証拠にない数字を創作しない」の一文は必須です。AIはもっともらしい数字を平気で作るため、この制約がないと景表法リスクのある案が混ざります。出てきた10案から、前提に最も合う2案を人が選び、ABテストに回します。選び方と判定の手順はバナーABテストのやり方で解説しています。
なお、コピーの案出しからバナーデザインへの落とし込み、複数サイズ展開までを一括で行えるのがドヤマーケAIのドヤ広告バナーAIです。商材のURLを入れると訴求の異なるバナー案を自動生成するため、「コピーは決まったがデザインが進まない」という詰まり方がなくなります。
三森の実務メモ:AIにコピーを出させるとき、私は一度に50案は出させます。10案だと「AIの一軍」しか出てきませんが、50案まで広げると、人間なら思いつかない切り口が2〜3個混ざるからです。その2〜3個がそのまま使えることは少ないものの、「この角度があったか」という発見が人の最終案を確実に強くします。AIは清書係ではなく、ブレストの壁打ち相手として使うのが一番元が取れます。
動画で学ぶ
広告コピーやバナー制作へのAI活用は、YouTubeチャンネル(三森のAIマーケ研究所)でも実演しています。プロンプトを画面つきで確認したい方は、記事と併せてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. コピーの文字数はどのくらいが適切ですか?
バナーのメインコピーは全角13〜25文字が目安です。スマホの小さいバナーで一瞬で読み切れる長さがこの範囲だからです。伝えたいことが収まらない場合は、内容を削るのではなく訴求を1つに絞れていないサインと捉えて、前提の設定に戻ってください。
Q. 社内でコピー案が決まらず、いつも上司の好みで決まってしまいます
会議で決めない仕組みにするのが唯一の解決策です。「2案までは会議で絞る。最終判断は2週間の配信データで行う」というルールを事前に合意しておくと、好みの議論が「どちらを先に試すか」の議論に変わります。数字が出た後は、上司の好みより数字が通るようになります。
Q. 検索広告とバナー広告でコピーの作り方は変わりますか?
前提の決め方は同じですが、役割が違います。検索広告は「いま探している人」への回答なので、検索語との一致と具体性が最優先です。バナーは「探していない人」の手を止める必要があるため、疑問提起型や損失回避型のような注意喚起の型が相対的に強くなります。同じコピーの使い回しは避けてください。
Q. 競合と似たコピーになってしまいます
同じ型を使う以上、構造が似るのは避けられません。差がつくのは証拠の固有性です。自社にしかない数字(削減率、導入社数、特定業種の事例)を入れれば、型が同じでもコピーは競合と別物になります。証拠が弱いと感じたら、コピーを磨く前に事例やデータの整備に投資するほうが効果的です。
まとめ:型で出して、数字で選ぶ
広告コピーは、前提(誰に・どの悩みに・何を証拠に)を固め、型に流し込み、数字で選ぶ。この3工程に分解すれば、センスに頼らず誰でも一定水準の案が作れます。10の型は保存して、次のバナー制作でそのままチェックリストとして使ってください。
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