BtoBマーケ支援

士業の案件別稼働時間管理|請求根拠の残し方

結論を先に書きます。士業事務所で時間を記録する目的は2つあります。顧問料が投入時間に見合っているかを検証することと、スポット業務をタイムチャージで請求するときの根拠を残すことです。この2つは必要な記録の細かさが違います。前者は月次の合計で足り、後者は日付・担当者・作業内容・所要時間が1件ずつ必要になります。目的を分けずにツールを選ぶと、入力が重すぎて3ヶ月で止まります。

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この記事の前提

書いているのは、地方の中小企業と士業事務所を支援している株式会社スリスタです。案件管理ツールのドヤプロマネを提供している立場でもあるので、中立を装わずに書きます。

料金は2026年8月6日に各社の公式サイトで確認した金額をそのまま記載しました。公式ページに金額の記載がないものは、推測で埋めずに「非公開」と書いてあります。ドル建てのものは、為替で日本円の負担額が変わるため換算していません。

税務・法令の取扱いに触れる箇所は、e-Gov法令検索で条文を確認したうえで条番号を明記しています。個別の判断は、所轄の税務署・顧問税理士・所属会に確認してください。

なぜ士業事務所の時間管理は後回しになるのか

この領域には、他業種と違う事情が3つあります。

事情1:売上が先に決まっている

顧問契約は月額が先に決まります。時間を測っても、その月の請求額は変わりません。だから「測る意味がない」と感じやすいです。

しかし顧問契約は何年も続きます。契約時に想定した業務量と、3年後の実態が同じであることは少ないです。従業員が10名から45名に増えた顧問先の労務手続きは、同じ月額のままだと確実に割に合わなくなります。測っていないと、この変化が誰にも見えません。

事情2:作業が細切れで、案件に紐づけにくい

士業の仕事は電話1本、メール1通の積み重ねになります。10分の相談対応を都度記録するのは現実的ではない、と考えて記録自体をやめてしまいます。

これは記録の粒度の問題であって、記録の可否の問題ではありません。細切れの対応は「相談対応」という区分でまとめて日次で入れると決めれば、入力は1日1回で済みます。

事情3:所長が自分の時間を測らない

職員には入力させて、所長は入力しない事務所が非常に多いです。ところが士業事務所では、所長の時間単価が最も高く、所長が最も多くの顧問先に関与しています。所長の時間が入っていない集計は、原価の半分以上が抜けています。この状態の数字を経営判断に使うと、判断を誤ります。

独自の分類軸:いつ記録するかで3型に分かれる

工数管理ツールの比較記事は「機能が多いか」で並べたものが多いです。士業事務所では、続くかどうかがすべてになります。続くかどうかを決めるのは、記録のタイミングです。

型1:リアルタイム計測型(タイマー)

作業を始めるときにタイマーを押し、終わったら止めます。実測値が残ります。

利点は精度が高いことです。タイムチャージ請求の根拠としては最も強いです。欠点は、押し忘れと止め忘れが必ず起きることです。電話が割り込む士業の仕事では、1日に10回以上の押し直しが発生します。

型2:事後入力型(1日の終わりにまとめて入れる)

夕方に「今日は顧問先Aに1.5時間、Bに0.5時間、事務所内業務に2時間」とまとめて入力します。

利点は入力回数が1日1回で済むことです。士業事務所で最も定着しやすいです。欠点は、思い出しながら書くため精度が落ちることです。目安としては15分単位が限界になります。

型3:自動取得型(カレンダー・PC操作から拾う)

予定表の実績やPCの操作ログから、作業時間を自動的に候補として出します。人はそれを確認して確定します。

利点は入力負荷が最小なことです。欠点は、対応づけの調整が要ることと、職員の監視と受け取られる懸念があることです。導入前に、何を取得するかを職員に説明し、同意を得る工程が必須になります。

目的別の使い分け

冒頭に書いた2つの目的に当てはめると、こうなります。

目的

必要な精度

向く型

顧問料の妥当性検証(顧問先別の投入時間を年1回見る)

月次の合計が分かればよいです。15分単位で十分です

型2(事後入力)

タイムチャージ請求の根拠(就業規則作成、補助金申請、事業承継支援など)

1件ずつ、日付・担当者・作業内容・所要時間

型1(リアルタイム計測)

職員の業務量把握(残業・偏りの把握)

日次で合計が分かればよいです

型2または型3

多くの事務所は、目的1だけで足ります。タイムチャージ案件が年に数件しかないなら、その数件だけタイマーを使い、それ以外は事後入力にします。全業務をタイマーで測ろうとして挫折するのが、最も多い失敗になります。

【一次コンテンツ】士業事務所向け 作業区分コード表

ツールを入れる前に、これを決めます。区分が決まっていないツールは、入力欄が自由記述になり、集計できないデータが溜まるだけになります。

そのままコピーして使えるように作りました。事務所の実態に合わせて行を削る前提で、多めに置いてあります。

コード

作業区分

含むもの

顧問先に紐づけるか

請求根拠になるか

A-01

月次対応(定例)

月次訪問、月次資料の確認、定例レポート作成

○

顧問料の範囲

A-02

記帳・入力代行

仕訳入力、証憑整理、データ取込

○

顧問料の範囲

A-03

給与計算

月次給与計算、賞与計算、支給明細作成

○

顧問料または別建て

A-04

社会保険手続

資格取得・喪失、算定基礎、月額変更、労働保険年度更新

○

顧問料の範囲

A-05

相談対応(都度)

電話・メール・チャットでの照会対応

○

顧問料の範囲

B-01

決算・申告

決算整理、申告書作成、税務署対応

○

別建て請求

B-02

年末調整

資料回収、計算、法定調書

○

別建て請求

B-03

規程作成・改定

就業規則、賃金規程、諸規程の作成と届出

○

タイムチャージ対象

B-04

補助金・助成金支援

要件確認、申請書作成、事務局対応、実績報告

○

タイムチャージ対象

B-05

調査・監査対応

税務調査、労働基準監督署の調査への立会

○

タイムチャージ対象

B-06

コンサルティング

事業承継、人事制度設計、資金繰り支援

○

タイムチャージ対象

C-01

移動

訪問の往復

○(顧問先別に持つ)

契約により異なります

C-02

新規営業

見込み客対応、提案、見積作成

×(案件化前は事務所共通)

対象外

C-03

事務所内業務

会議、研修、採用、経理、システム対応

×

対象外

C-04

研鑽・情報収集

法改正のキャッチアップ、会の研修受講

×

対象外

この表の使い方の要点を3つ挙げます。

1つ目。C-01の移動を顧問先別に持つこと。地方の士業事務所では、移動が総稼働の10〜20%を占めることがあります。これを事務所共通に入れてしまうと、遠方の顧問先の本当のコストが見えなくなります。片道1時間の顧問先と、徒歩5分の顧問先を、同じ月額で見てはいけません。

2つ目。B系(別建て・タイムチャージ対象)を必ず分けること。A系と混ざると、顧問料の範囲でやっている業務量が測れなくなります。

3つ目。C-03とC-04を作っておくこと。行き場のない時間があると、人は適当な案件に付けるか、入力そのものをやめます。「案件に紐づかない時間」の受け皿を用意しておくと、入力率が上がります。

比較表:士業事務所という条件で並べる

列は、士業事務所が実際に必要とする条件だけにしました。

ツール

型(記録タイミング)

顧問先・案件別に集計できるか

単価を設定して金額換算できるか

請求・タイムチャージ出力

料金(公式サイト確認・2026年8月6日)

欠点(必ず読む)

★注力 ドヤプロマネ(自社)

型2(事後入力)

可能。案件別の進捗・収支・人件費を一元管理

可能(人件費として案件に載せる設計)

請求書の発行機能は持ちません

ドヤAI 統一プラン 月9,980円(税込)で全14サービス使い放題。無料版あり

請求書発行・会計ソフト連携を持ちません。 タイマーによる秒単位の実測にも対応していません。士業向けの手続きソフトとの連携も用意していません

TimeCrowd

型1+型2

可能(タスク・チーム単位で集計)

可能。公式ヘルプに「チームメンバーの時間単価の設定ができます」「単価×時間の金額が確認出来ます」と記載されています(https://help.timecrowd.net/setting-wage)

レポート出力が中心です

公式サイトの料金ページに金額の記載がなく、確認できませんでした(https://timecrowd.net/plans の問い合わせ窓口で要確認)

金額が公式ページで確認できません。 見積もりを取るまで総額が読めません

Toggl Track

型1

可能(プロジェクト・クライアント単位)

Starter以上で請求レート、Premium以上で人件費(labor costs)

レポート出力・請求連携

Free $0(人数制限あり)/Starter $9/ユーザー/月/Premium $14/ユーザー/月(初年度・年払い、更新時は$18)/Enterprise 個別(https://toggl.com/track/pricing/)

原価(人件費)はPremium以上でないと扱えません。日本語UIの提供状況は要確認です。ドル建てのため為替の影響を受けます

Clockify

型1+型2

可能(プロジェクト・クライアント単位)

Basic以上で請求レート、Pro以上で人件費と利益分析

Standard以上で請求書発行(定期請求書を含む)

Free(5ユーザーまで)/Basic $3.99(年払い)・$4.99(月払い)/Standard $5.49・$6.99/Pro $7.99・$9.99/Enterprise $11.99・$14.99(いずれも1ユーザー/月、https://clockify.me/pricing)

無料は5ユーザーまでです。 原価と利益を見るにはPro以上が必要です。招待済みユーザーも1席として課金対象になります

Harvest

型1

可能(プロジェクト・クライアント単位)

Enterprise以上で収益性レポート

全有料プランで請求書の発行・送付・追跡が可能

Free $0(1席・2プロジェクトまで)/Teams $9/席/月(年払い $108/席/年)/Enterprise $14/席/月(年払い $168/席/年)/Enterprise Plus 個別。30日間の無料トライアルはカード登録不要(https://www.getharvest.com/pricing)

収益性レポートとタイムシート承認はEnterprise以上です。 日本語UIは提供されていません。ドル建てです

クラウドログ

型2

可能(プロジェクト・メンバー・業務項目単位)

損益管理機能で扱います

レポート出力が中心です

ベーシック 1ユーザー月額600円〜+基本料金/プレミアム 1ユーザー月額1,500円〜+基本料金。初期費用・基本料金の金額は公式ページに記載がなく確認できませんでした。最低利用期間は12ヶ月(https://www.crowdlog.jp/pricing/)

最低利用期間が12ヶ月あり、試して合わなければやめるという使い方ができません。基本料金の金額が非公開です

ジョブカン工数管理

型2

可能(プロジェクト・作業単位)

勤怠データと組み合わせて集計

レポート出力が中心です

機能を1つ利用 200円/2つ 300円/3つ 400円/4つ 500円(1ユーザー/月・税抜)。月額最低料金2,000円(https://jobcan.zendesk.com/hc/ja/articles/360000365481)

勤怠管理シリーズの一機能という位置づけで、案件別の粗利分析を主目的とした製品ではありません

TimeTracker NX

型1+型3

可能(プロジェクト・作業項目単位)

工数の集計・分析が主機能

レポート出力が中心です

Professional Edition ¥38,940/年/ライセンス/Standard Edition ¥19,470/年/ライセンス。5ライセンス単位での購入(https://www.timetracker.jp/price/)

5ライセンス単位・年間ライセンス制のため、2〜3名の事務所には単位が大きいです。開発現場での利用を想定した機能構成です

board

記録機能ではありません

案件別の売上・原価を管理

発注・原価の登録に対応

見積・受注・請求・入金管理が主機能

Personal 月1,200円(1ユーザー・個人のみ)/Basic 月2,400円(3ユーザーまで)/Standard 月4,900円(15ユーザーまで)/Premium 月7,900円(50ユーザーまで)。51名以上は1名につき月300円追加。いずれも税抜。支払方法はクレジットカードのみ、年払いなし(https://the-board.jp/helps/help_about_price)

時間を記録する機能が主軸ではありません。 工数の実測は別のツールで行い、結果を取り込む使い方になります

Backlog

型2

課題単位で予定時間・実績時間を記録できます

単価情報を持たないため金額換算はできません

なし

スターター 月額¥2,700/スタンダード 月額¥16,000/プレミアム 月額¥27,000/プラチナ 月額¥75,000(いずれも月間契約・税抜、年間契約は割引)。2027年1月1日からプラン改定を公式に告知(https://backlog.com/ja/pricing/)

記録はできますが、案件単位の金額集計は外部で行う必要があります。 エクスポートして表計算で集計する運用になります

Googleスプレッドシート/Excel

型2

作り方次第で可能

数式で可能

自作

既存契約に含まれます(追加費用なし)

集計の自作と保守が必要です。 人数が増えるとファイルの統合作業が発生します。監査・請求根拠として提示するには、更新履歴の管理が弱いです

表の読み方

士業事務所の条件で見ると、判断は次のように整理できます。

タイムチャージ請求が年に何件もあるなら、請求書発行まで持つツールが候補になります。Harvestは全有料プランで請求書の発行・送付・追跡ができ、Clockifyは Standard以上で請求書発行に対応します(いずれも公式サイト、2026年8月6日確認)。

顧問料の妥当性検証だけが目的なら、記録は事後入力で足ります。この用途では、月額の安さより「入力が1日1回で終わるか」を優先して選びます。

最低利用期間には注意してください。クラウドログは公式に12ヶ月の最低利用期間を明記しています。合わなかった場合に途中でやめられない前提で検討する必要があります。

自社のドヤプロマネは、この表の中では請求書発行を持たない側に位置します。案件の進捗・収支・人件費を一元管理する設計で、士業の手続きソフトとの連携も用意していません。請求業務まで1本で完結させたい事務所には向きません。

案件ごとの工数と収支を1画面で管理するツールをClaudeで自作した過程は、次の動画で公開しています。請求書発行は持たない設計のため、請求根拠の記録とは目的が異なる点に注意してください。

【一次コンテンツ】実効時間単価の計算式

ここが、この記事の中核になります。顧問料が投入時間に見合っているかを、数字で判定します。

ステップ1:職員の原価時間単価を出す

年間人件費 = 年間給与総額 + 賞与 + 法定福利費 + 通勤費 + 退職給付費用
年間稼働時間 = (年間所定労働日数 − 有給取得日数) × 1日の所定労働時間

原価時間単価 = 年間人件費 ÷ 年間稼働時間

計算例(数値は計算方法を示すための仮定値)

項目

計算

金額

月額給与

320,000円 × 12ヶ月

3,840,000円

賞与

月給2ヶ月分

640,000円

法定福利費

(3,840,000 + 640,000) × 15%

672,000円

通勤費

12,000円 × 12ヶ月

144,000円

年間人件費 計

5,296,000円

年間稼働時間

(245日 − 12日) × 8時間

1,864時間

原価時間単価

5,296,000 ÷ 1,864

約2,841円/時

所長・有資格者・補助者で単価が違うなら、区分ごとに出します。所長の単価を入れないと、原価が実態の半分以下になります。

ステップ2:顧問先別の実効時間単価を出す

実効時間単価 = 年間の顧問料収入 ÷ その顧問先への年間投入時間(移動を含む)

投入時間には、作業区分コード表のA系とC-01(移動)を含めます。B系(別建て請求分)は、対応する売上と一緒に別で計算します。

計算例

顧問先

年間顧問料

年間投入時間

実効時間単価

A社(徒歩圏・従業員8名)

360,000円

42時間

8,571円/時

B社(車で50分・従業員45名)

480,000円

148時間

3,243円/時

C社(車で20分・従業員12名)

300,000円

96時間

3,125円/時

D社(オンライン・従業員5名)

240,000円

18時間

13,333円/時

ステップ3:判定する

原価時間単価に対する倍率で見ます。

倍率 = 実効時間単価 ÷ 原価時間単価

倍率

状態

とる行動

2.5倍以上

十分に採算が取れています

何もしません。ただし放置しすぎると関与が薄くなります

1.8〜2.5倍

標準的な水準

現状維持です。年1回、投入時間の推移だけ見ます

1.2〜1.8倍

事務所経費を吸収できているか要確認

業務範囲の確認です。契約時から増えた業務を洗い出します

1.2倍未満

人件費以外の経費を吸収できていません

業務範囲の再定義か報酬の見直しを検討します

上の計算例(原価時間単価2,841円)で当てはめると、B社は倍率1.14倍、C社は1.10倍になります。この2社は、契約時の想定より業務量が増えている可能性が高いです。

ここで重要なのは、すぐ値上げの話にしないことです。実務では、次の順で確認するほうが結果が良いです。

  1. 契約時に想定していた業務範囲と、実際にやっている業務の差分を書き出します

  2. 差分のうち、顧問先側で対応できるもの(資料の準備、データの形式)を洗い出します

  3. 事務所側の非効率(同じ説明を毎回している、手作業で変換している)を洗い出します

  4. 3を改善しても倍率が1.2倍を割るなら、業務範囲の再定義または報酬改定を相談します

報酬額の決め方は各事務所の自由であり、事務所間で報酬を申し合わせることは独占禁止法上の問題になりえます。報酬の設定は、必ず自事務所の判断で行ってください。

【一次コンテンツ】請求根拠になるタイムレコードの6要件

タイムチャージで請求する場合、記録が請求の根拠になります。顧問先から内訳を求められたときに提示できる形かどうかを、事前に確認しておきます。

#

要件

具体的に何を残すか

確認

1

日付

作業を行った年月日(まとめ入力でも日付は実際の作業日にします)

2

担当者

誰が対応したか。単価が違うなら区分(所長/有資格者/補助者)も

3

案件の特定

どの顧問先の、どの案件か(作業区分コードで紐づけます)

4

作業内容

第三者が読んで内容が分かる粒度(「対応」ではなく「就業規則の第3章について改定案を作成」)

5

所要時間

契約書に定めた単位で(例:15分単位、30分単位)

6

成果物または結果

提出した書類名、届出先、面談の相手

そのうえで、契約書側で次の3点を決めておきます。

  • 時間の計算単位(15分単位で切り上げるのか、実測なのか)

  • 移動時間の扱い(請求対象か、対象外か、半額か)

  • 報告の頻度と形式(月次で内訳を提出するのか、求めがあったときのみか)

税務上の扱いについて1点だけ触れておきます。所得税法第204条第1項第2号は、源泉徴収の対象として「弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金」を挙げています(e-Gov法令検索、https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033 、2026年8月6日確認)。

タイムチャージによる請求でも、報酬の性質が変わるわけではありません。具体的な源泉徴収の要否と計算は、所轄の税務署または顧問税理士に確認してください。

導入30日の手順

一気に全部やりません。順番があります。

日程

やること

所要

1〜3日目

作業区分コード表を、自事務所用に削ります(15行を8〜10行に減らします)

1時間

4〜7日目

職員区分ごとの原価時間単価を計算します(上の計算式)

2時間

8〜14日目

所長1人だけで試験入力します。1日1回、夕方5分

5分×5日

15日目

1週間分を集計してみます。区分が足りない・多すぎる点を直します

30分

16〜30日目

全員に展開します。入力は1日1回、夕方の5分に固定します

5分/人・日

31日目以降

月次で顧問先別の投入時間だけ集計します(判定は年1回で足ります)

30分/月

8〜14日目の「所長1人で試す」工程を飛ばさないでください。区分の設計ミスは、全員に展開したあとで直すと、それまでのデータが使えなくなります。1週間、自分で入れてみると、必ず足りない区分が見つかります。

ツールでは解決しない部分

正直に書きます。ここから先は道具の外にあります。

1. 顧問先との会話

倍率が1.2倍を割っている顧問先が見つかっても、それを伝えて業務範囲を再定義する会話は、人がやるしかありません。数字は会話の材料になるだけで、会話の代わりにはなりません。数字を出したあと、何も言わないなら、測る意味はありません。

2. 職員が正直に入力するかどうか

「時間がかかりすぎている」と思われたくない職員は、実際より短く入力します。これは機能では防げません。

効くのは、集計の使い道を最初に共有することになります。「この数字を人事評価には使わない。顧問料の見直しと、業務の割り振りにだけ使う」と明言し、実際にそのとおり運用します。1度でも評価に使うと、以降のデータは信用できなくなります。

3. 生産性そのもの

時間を測っても、作業が速くなるわけではありません。速くなるのは、測った結果から無駄な工程を見つけて、やめたときだけになります。士業事務所で最も多い無駄は、同じ説明を顧問先ごとに毎回していることと、受け取ったデータの形式を毎回手で直していることの2つです。これは測ると必ず表に出ます。

4. 顧問料の妥当性の最終判断

倍率だけで契約の継続可否は決まりません。紹介元としての価値、将来の相続・事業承継案件につながる関係、地域での位置づけ。数字に出ない要素があります。判定表は判断の材料であって、判断そのものではありません。

FAQ

Q1. 無料のツールだけで案件別の稼働時間管理はできますか

小規模ならできます。Clockifyの無料プランは5ユーザーまでで、時間の記録とプロジェクト単位の集計に対応します(公式サイト、2026年8月6日確認)。ただし人件費と利益の分析はPro以上になります。Harvestの無料プランは1席・2プロジェクトまでです(同日確認)。

原価単価を掛けた金額換算をしたいなら、無料プランでは足りないことが多いです。その場合、記録は無料ツール、金額換算は表計算という組み合わせでも成立します。月に1回エクスポートして掛け算するだけなら、30分で終わります。

Q2. 15分単位と30分単位、どちらで記録すべきですか

顧問料の妥当性検証が目的なら30分単位で十分になります。年間の合計で見るため、丸め誤差は相殺されます。

タイムチャージ請求が目的なら、契約書に定めた単位に合わせます。請求単位より細かく記録しておけば、丸め方は後から選べます。逆はできません。

Q3. 所長が入力を続けられません

現実的な解決策は2つあります。1つは、所長の入力粒度を極端に粗くすることです。「顧問先別に何時間」だけを週1回入れる形にします。区分は使いません。

もう1つは、予定表(カレンダー)を実績として使うことです。訪問と面談は予定表に入っているはずなので、それを実績とみなします。予定と実績のずれは、後から一括で調整すればいいです。精度より継続を優先します。

Q4. 職員に「監視されている」と思われませんか

型3(PC操作ログからの自動取得)を使う場合は、その懸念が現実的に生じます。導入前に、取得する情報の範囲と使い道を書面で説明し、同意を得る工程を必ず入れてください。個人情報の取扱いを含む論点になるため、判断に迷う場合は所属会または専門家に確認してください。

型2(事後入力)であれば、入力するのは本人であり、監視の性質は持ちません。士業事務所では型2から始めるほうが、摩擦が少ないです。

Q5. 手続きソフトや会計ソフトと連携できますか

多くの工数管理ツールは、士業向けの手続きソフトとの標準連携を持っていません。連携ありきで選ぶと候補がほぼなくなります。

実務では、月次でCSVを書き出して表計算で突き合わせる形が現実的になります。月30分程度の作業になり、この手間を許容できるかが判断の分かれ目になります。自社のドヤプロマネも、士業向け手続きソフトとの連携は用意していません。

Q6. 何ヶ月分のデータが溜まれば判断に使えますか

顧問先別の判定には、最低6ヶ月、できれば12ヶ月が必要になります。士業の業務量は季節で大きく変動するためです。年末調整、決算、算定基礎、労働保険の年度更新。これらの繁忙期を含まない期間のデータで判断すると、投入時間を過小に見積もります。

職員の業務量の偏りを見るだけなら、1ヶ月でも傾向は出ます。

何から始めるか

今日できることを1つ挙げます。作業区分コード表を開いて、自事務所に不要な行を削ります。15行を8行程度まで減らします。所要1時間で終わります。区分が決まっていない状態でツールを比較しても、選べません。

そのうえで、まず所長1人が1週間だけ入力してみます。ここまで無料で試せるツールがいくつもあります。

案件の進捗と収支・人件費を同じ画面で管理したい事務所なら、ドヤプロマネが候補になります。ドヤAIの統一プラン(月9,980円・税込、全14サービス使い放題、無料版あり)に含まれます。ただし請求書の発行機能と、士業向け手続きソフトとの連携は持ちません。タイムチャージ請求の書類作成まで1本で完結させたいなら、請求機能を持つツールを選んだほうがいいです。

ドヤプロマネ:https://doya-ai.surisuta.jp/promane

参照した一次情報(2026年8月6日確認)

  • e-Gov法令検索 所得税法(昭和40年法律第33号)第204条 https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033

  • TimeCrowd ヘルプ「チーム内単価を設定・確認する」https://help.timecrowd.net/setting-wage

  • TimeCrowd プラン(https://timecrowd.net/plans)

  • Toggl Track Pricing(https://toggl.com/track/pricing/)

  • Clockify Pricing(https://clockify.me/pricing)

  • Harvest Pricing(https://www.getharvest.com/pricing)

  • クラウドログ 料金(https://www.crowdlog.jp/pricing/)

  • ジョブカン 有料プランのご利用料金について(https://jobcan.zendesk.com/hc/ja/articles/360000365481)

  • TimeTracker NX 価格(https://www.timetracker.jp/price/)

  • board 料金について(https://the-board.jp/helps/help_about_price)

  • Backlog 料金プラン(https://backlog.com/ja/pricing/)

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この記事の著者

Katsuki.Mitsumori

三森 捷暉(みつもり かつき)

著者プロフィールはこちらから↓
 /author/mitsumori
ドヤマーケ運営・ドヤAI開発者|株式会社スリスタ 代表

ドヤマーケの運営者であり、AIツール群「ドヤAI」の開発者です。専門はBtoBマーケティング、SEO、コンテンツマーケティング、生成AI活用。
2021年、新卒第1号として株式会社Piece to Peace(CarryMe)に入社し、広報・マーケティング・デザイン・コンテンツ制作を横断的に担当。SEO記事、比較記事、ホワイトペーパー、ウェビナー、広告施策を組み合わせた商談創出の仕組み化を推進してきました。

その後、株式会社スリスタ(設立:2025年3月14日/代表:三森 捷暉)を設立。
現在はスリスタにて、オウンドメディア「ドヤマーケ」を運営しながら、記事作成・バナー・スライド・営業リストなどのマーケティング業務をAIで進める「ドヤAI」を開発しています。

スリスタでは、SEO記事制作、比較記事、一次情報設計、バナー制作、構成案作成といったマーケティング業務を、ユーザーが「選ぶだけ」「スワイプするだけ」で進められる設計思想をもとに、AIツールとして実務レベルで実装。
マーケティングを「1人でも回せる状態」にするための仕組みづくりを行っています。

YouTubeでは、AI活用の実務を発信する「【ドヤAI】ミツモリ」と、世の中のSaaSをAIで実際に作ってみる「SaaSは死にましぇん【AI開発】」を運営しています。
ウェビナー・登壇実績
CarryMe主催ウェビナー
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